08導入ガイド

冷凍商品の販路と凍結条件通販・卸・ふるさと納税・輸出

冷凍化で商圏が広がるのは、出荷日、配送距離、製造日を切り離せるためです。ただし遠くへ届けるほど、解凍後に店頭と同じ品質が戻るかが問われます。通販、卸、ふるさと納税、輸出の販路ごとに求められる品質を凍結条件に置き換え、自社商品の実機テストで確かめてから設備を決めます。

冷凍で出荷できる寿司ケーキ

要点

  • 冷凍化で外れる制約は出荷日・配送距離・製造日
  • 通販・卸・ふるさと納税・輸出の要求品質と凍結条件
  • キンパ、とらふぐ、洋菓子など実名の導入事例と販路別のテスト項目

01

出荷日・配送距離・製造日を切り離す

当日製造・当日消費の商品は店頭か近隣配送に限られますが、凍結して保管する商品は全国の冷凍配送網で届けられます。

製造面では、注文に追われて作るのではなく、空いた時間に作って在庫を持つ計画生産に移れます。アゴラキッチン様は冷凍ストックで早朝出勤をなくし、ふくます水産様は養殖業者からの仕入れを通年に切り替えました。

ただし、商圏が広がるのは、解凍後に店頭と同じ品質が戻る商品に限られます。凍結で味や食感が落ちる商品は、遠くへ届くほど評価を下げます。販路の拡大は、凍結品質の確認から始まります。

−18℃以下は日本冷凍食品協会の自主基準で、食品衛生法の保存基準は−15℃以下です。法令が−18℃以下を定めているわけではありません。

商圏が広がる理由

当日製造・当日消費

店頭・近隣

  • 出荷日に縛られる
  • 配送距離に縛られる
  • 製造日に縛られる
急速冷凍

冷凍商品

全国・通年

  • 通販
  • 卸・業務用
  • ふるさと納税
  • 輸出

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販路別の要求品質と凍結条件

販路が変わると、求められる品質の中身と、凍結時に守る条件が変わります。通販は解凍後の見た目と食感、卸はロット内の品質のそろい、ふるさと納税は初対面の家庭での再現性、輸出は温度記録の一貫性が問われます。

凍結条件で共通するのは、最大氷結晶生成温度帯を短時間で通過させることと、凍結中に表面を乾かさないことです。日本冷凍食品協会は急速凍結をおおむね30分以内の通過と説明しており、ドリップや乾燥はこの通過時間と冷気の湿度に左右されます。

下の図は、販路ごとの要求品質を凍結条件に置き換えたものです。自社の主力商品がどの販路に向くかを、この対応で確認してください。

販路別の要件

EC・通販卸・業務用ふるさと納税輸出
販路が求めること1個から全国へ配送ロットと規格のそろい自治体経由・通年出品手続き・温度記録
求められる品質解凍後の見た目と食感ロット内のばらつきの少なさ家庭での解凍で再現−18℃以下の温度履歴
凍結の条件短時間通過と乾燥の抑制均一な凍結包装の前後を含む冷却設計全区間で−18℃以下

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通販の評価は解凍後の見た目と食感

自社ECとモールECでは、購入者が受け取って解凍した後の状態が、そのまま評価とリピートを決めます。商品ページの写真より、到着時の霜付き、解凍後のドリップ、再加熱後の食感が問われます。

価格は、冷凍便の送料、外箱と緩衝材、モール手数料、冷凍保管費を原価に入れて決めます。乾燥や目減りが少ない凍結は販売重量と見た目を守るため、単価を上げるより利益に効く商品もあります。

アゴラキッチン様は、通常の冷凍では米が白く硬くなり商品化できませんでしたが、米が水分を保ったまま凍る品質を試食で確かめて通販を伸ばし、楽天市場の韓国惣菜部門で売上1位になりました。1日400本以上を製造しています。

  • 原価に入れる項目: 原材料費、製造費(冷却・凍結・包装・検品)、包装費、冷凍保管費、配送費(冷凍便・地域別送料・再送)、販売費(モール手数料・決済手数料・広告)、管理費(問い合わせ・返品対応)
  • 商品ページと同梱案内でそろえる情報: 配送温度帯、解凍方法、再加熱方法、保存方法、アレルゲン、内容量と入り数
  • 包装の順序: 包装前に急速冷却するか、包装後に急速冷凍するかを商品ごとに決めます

送料、冷凍便の区分、モール手数料の数値は配送会社と各モールの最新条件で確認してください。

巻かれた出来立てのキンパ
アゴラキッチン様のキンパ。通販では、解凍後に巻きたての米の食感が戻るかが評価を決めます

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卸・業務用の条件はロットと規格のそろい

卸や業務用の取引先が見るのは、一回の納品量と規格を毎回そろえられるかです。業務用の厨房は仕入れ品質のぶれを嫌い、同じロットの中にドリップの多い個体と少ない個体が混ざると、取引条件に響きます。

出荷先別では、外食・給食向けは解凍後の食感と歩留まりと品種切替時の清掃性、量販向けはバラ凍結の仕上がりと小分けが重視されます。凍結機側では、冷気が一方向に偏らず、どの位置でも凍る速さがそろう均一性が要件になります。

ふくます水産様は、複数メーカーの比較テストで解凍後のドリップ量が最も少なかった凍結を選び、養殖業者との通年仕入れと、全国のホテル・料亭・百貨店への出荷を両立しました。季節商材を通年の取引に変えた例です。

水産加工の出荷先別に重視される品質と凍結側の要件(KOGASUN水産加工記事より)
出荷先重視される品質凍結側の要件
外食・給食(業務用加工)解凍後の食感、歩留まり、品種切替時の清掃性処理量、洗浄性、前後工程のバランス
量販(スーパー・生協・コンビニ)バラ凍結の完成度、見た目、小分けバラ凍結の仕上がり、包装前後の工程
高級料理店・寿司店生食品質、鮮度感、色・艶生食対応の凍結条件、超低温物流への適合

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ふるさと納税の評価は寄附者の家庭での再現性

ふるさと納税の返礼品は、店を知らない寄附者の家庭で解凍された瞬間が最初の接点になり、解凍後の品質がそのまま店の評価になります。自治体を経由して届くため、解凍方法を事業者が直接説明しにくい点も考慮します。

制度面では、返礼品は自治体が提供するもので、総務省告示第179号は返礼品の基準として、区域内で生産されたもの、原材料の主要部分が区域内で生産されたもの、製造・加工の主要工程を区域内で行い相応の付加価値が生じているもの等を定めています。

坂本洋菓子店様は、冷凍するとカスタードから水が出てパイが湿る課題を抱えていましたが、焼きたてから一気に−35℃まで冷やす凍結で離水ゼロを確かめ、通販とふるさと納税で全国へ届けています。

  • 返礼品に求められる品質: 冷凍配送を経て家庭で解凍された瞬間に、店の味が再現されていること
  • 事業者側で準備するもの: 家庭の冷蔵庫や電子レンジでの解凍手順、同梱の案内、賞味期限内で届く出荷計画
  • 地場産品の該当判断や受付条件は、寄附先の自治体の募集要項で確認します

出典: 総務省告示第179号(特例控除対象寄附金の対象となる都道府県等の指定に係る基準等)第五条。

モンブランやバスクチーズケーキ、ロールケーキが並ぶ店内のショーケース
洋菓子店のショーケース。返礼品は、解凍後にこの姿が寄附者の家庭で再現されるかが問われます

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輸出の前提は温度記録と認定施設

輸出では、凍結品質に加えて、保管と輸送の温度記録の一貫性と、相手国が求める施設要件が前提になります。対米・対EU向けの水産食品は、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律に基づく認定施設で加工する必要があります。施設認定や証明書の申請窓口は、2020年4月から農林水産省輸出・国際局に一元化されています。

凍結工程で事業者が担えるのは、凍結後の品温を−18℃以下で一貫させる履歴づくりと、長距離輸送でも乾燥や酸化を抑える凍結品質です。手続き、相手国規制、商談については、JETROの農林水産物・食品の相談窓口に相談します。

認定の要否や取得手順は、農林水産省輸出・国際局(証明書や施設認定の申請)とJETROの最新情報で確認してください。

輸出の要件

−18℃以下の温度記録を全区間で連続
  1. 1前処理
  2. 2急速冷凍
  3. 3冷凍保管
  4. 4輸送
  5. 5通関・販売
認定施設(対米・対EU)は前処理〜保管の工程
輸送〜販売の手続きは公的な相談窓口へ

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販路を広げた導入事例

通販、卸、ふるさと納税、産地からの県外販売のいずれも、凍結品質を実機テストで確かめた事業者が販路を広げています。公開している導入事例から、販路別に挙げます。

上越漁協様は、コンブ締めフィレーを真空パック後に急速凍結し、−20℃前後まで下がる小型冷凍ケースを販売先に貸し出す方法で、東京・築地場外市場など県外へ販路を広げました(みなと新聞2018年1月5日掲載の再構成記事)。

  • 通販: アゴラキッチン様。早朝労働をなくし、楽天1位の冷凍キンパを商品化して通販を伸ばした事例
  • 通販・ふるさと納税: 坂本洋菓子店様。カスタードの離水ゼロを確かめ、通販とふるさと納税に広げた事例
  • 卸・ギフト通販: 株式会社ふくます水産様。ドリップが最も少なかった凍結を選び、冷凍とらふぐを通年の取引にした事例
  • 県外販路: 上越漁協様。漁獲物を製品にして6次産業化し、付加価値を取り込んだ3Dフリーザー®の導入事例
  • ふるさと納税・通販: 株式会社ONE GO様。規格外のあまおうを氷臭さのない冷凍商品に変えた事例
  • 通販: 千草ホテル様。ホテルの味のまま商圏を全国へ広げた事例
ふぐのイラスト看板を掲げた、市場内にあるふくます水産の白い工場外観
福岡市中央卸売市場内のふくます水産様。比較テストで選んだ凍結品質が通年取引と全国出荷を支えています

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販路を広げる前に確認するのは、乾燥、目減り、ドリップ、冷凍ムラです。いずれも商品ページには写らず、購入者や取引先が解凍したときに現れます。通常冷凍で起きやすいのは、氷結晶が大きく育つことによる細胞の破壊です。

急速冷凍は、最大氷結晶生成温度帯を短時間で通過させて氷結晶を小さく保ちます。乾いた強い気流で速さを得る方式は、表面乾燥や目減りが販売重量と見た目に響く場合があるため、通販や量販向けの商品ほど、高湿度の冷気で包む方式との比較が判断材料になります。

乾燥・目減り・ドリップを抑えたい商品には、3Dフリーザー®が有力な選択肢です。カット済みキンパの実機テストでは品温24℃から中心−18℃まで31分が目安でしたが、凍結時間は厚みと積載量で変わるため、実機テストで確定します。

凍結時間や処理量は商品・投入温度・積載量で変わる目安であり、保証値ではありません。

マグロ刺身の解凍後ドリップ比較。3Dフリーザー®で急速冷凍した刺身はドリップが出ていない、通常冷凍はドリップが出ている
解凍後のドリップ比較。取引先や購入者が見るのは、この解凍後の状態です

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販路を決めてからの凍結テスト

設備より先に主な販路を決め、その販路の要求品質を凍結テストの確認項目に置き換えます。販路が定まらないまま設備を選ぶと、処理量や包装の前後工程が合わず、導入後に見直しが必要になる場合があります。

KOGASUNの凍結テストでは、実際の商品で中心温度、凍結時間、重量変化、ドリップ、包装状態、再加熱後の品質を確認できます。配送テストまで行い、到着後と保管後の状態を見てから商品化を判断してください。

販路別にテストで見る項目
販路テストで見る項目確認の観点
通販(自社EC・モール)解凍後のドリップ、再加熱後の食感、包装内の霜付き店頭と同じ見た目と食感が家庭で戻るか
卸・業務用ロット内の個体差、歩留まり、規格の安定個体ごとのばらつきがなく毎回そろうか
ふるさと納税家庭の解凍条件での再現性、同梱案内の分かりやすさ指定した解凍方法で味が戻るか
輸出保管後の表面乾燥と酸化、温度履歴の記録長期保管後も表面と色を保てるか

FAQ

よくある質問

冷凍にすれば、同じ商品をどの販路にも出せますか。

同じ商品でも、販路ごとに荷姿と条件を変える必要があります。通販は個包装と同梱案内、卸は納品ロットと規格、ふるさと納税は自治体経由での受け取り、輸出は温度記録と施設要件が前提です。主な販路を一つ決め、その要求品質を凍結テストの確認項目に置き換えてから次の販路へ広げる順番が、手戻りを減らします。

通販を始めるとき、最初に確認することは何ですか。

解凍後と再加熱後に商品価値が残るかを、実際の商品で確認することです。あわせて、冷凍便の送料、外箱と緩衝材、モール手数料、冷凍保管費を原価に入れて利益が残るかを見ます。商品ページ、ラベル、同梱案内で解凍方法や保存方法の説明をそろえると、到着後の問い合わせや低評価を減らせます。

ふるさと納税の返礼品にするには、何が必要ですか。

返礼品は自治体が提供するもので、総務省告示第179号は、区域内で生産されたもの、原材料の主要部分が区域内で生産されたもの、製造・加工の主要工程を区域内で行うもの等を基準として定めています。該当するかの判断と受付条件は寄附先の自治体が示すため、募集要項で確認してください。品質面では、家庭で解凍した瞬間に店の味が再現されることが求められます。

輸出には急速冷凍機があれば足りますか。

足りません。輸出では、凍結品質に加えて、保管と輸送で−18℃以下を一貫させた温度記録と、相手国が求める施設要件が前提になります。対米・対EU向けの水産食品は、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律に基づく認定施設での加工が必要で、施設認定や証明書の申請窓口は農林水産省輸出・国際局に一元化されています。手続きや相手国規制は、JETROの農林水産物・食品の相談窓口や所管官庁で確認してください。

冷凍すると賞味期限はどのくらいになりますか。

一律には言えません。期限は表示責任者(製造業者等)が保存試験の結果をもとに設定するもので、消費者庁の期限表示ガイドライン見直し(2025年3月)では、安全係数はできるだけ1に近づけることが望ましいと示されています。冷凍したから何日と決まるわけではなく、商品ごとの保存試験と表示の確認が必要です。販路を広げる際は、期限内に届き、家庭で食べ切れる出荷計画も合わせて設計します。

卸先から「ロットごとに品質を一定にしてほしい」と言われました。何を見ればよいですか。

解凍後のドリップ量と、同じロット内の個体差を見ます。冷気が一方向からしか当たらない凍結では、風の当たる面と陰になる面で凍る速さに差が出て、同じロットにドリップの多い個体と少ない個体が混ざります。ふくます水産様のように、同じ重量・同じ解凍条件で機種ごとの流出量を量る比較テストを行うと、取引先に説明できる根拠になります。

小さな店でも通販から始められますか。

始められます。アゴラキッチン様も坂本洋菓子店様も、厨房に収まるトレーインタイプ(1枚扉モデル)から通販とふるさと納税を広げました。最初から大量生産にせず、代表商品で凍結テストと配送テストを行い、品質と利益を確認してから販路を広げる順番が、失敗を減らします。設備の処理量や積載数は、実機テストで確定してください。

出典

機種選定の前に、自社の食材で無料の凍結・冷却テスト

凍結・冷却テストは無料で、訪問、来場(全国4拠点)、郵送の3種類です。食材500g〜2kg程度を用意いただくと、申込みから1〜2週間で実施し、中心温度の推移と品質を報告書でお渡しします。機種選定、見積、補助金の相談も、テストの申込みと同じお問い合わせフォームで承ります。

本社(山口)
東京営業所
関西営業所
札幌営業所

電話受付 9:00〜17:00(土・日・祝を除く)

導入ガイドの項目

  1. 導入ガイド
  2. 01 冷凍機と冷却機の違い
  3. 02 積載数と処理量
  4. 03 商品形態と製造工程
  5. 04 包装の種類と荷姿
  6. 05 保管設備と温度帯
  7. 06 賞味期限の設定
  8. 07 解凍設計と表示
  9. 08 販路と凍結条件
  10. 09 高付加価値の商品化
  11. 10 凍結時間の目安
  12. 11 解凍方法の種類
  13. 12 導入費用と補助金

最終更新: 2026年9月2日。数値は製品ページ、テスト記事、一次資料に基づきます。3Dフリーザー®、3D凍結®、ACVCS®は株式会社コガサンの登録商標です。

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