05導入ガイド
冷凍保管設備と温度帯プレハブ・縦型・ストッカーの違い
急速冷凍機は凍らせる設備、冷凍庫やストッカーは凍った状態を保つ設備で、ストッカーに入れても急速冷凍にはなりません。保管側の設備は、保管単位、出し入れ頻度、保管日数、温度帯、設置条件を先に確定してから、プレハブ冷凍庫・縦型冷凍庫・チェスト型ストッカーを比べます。温度帯は法令の−15℃以下と協会自主基準の−18℃以下を区別し、外部倉庫に預けるときは営業冷蔵倉庫の級別で指定します。

要点
- 凍結機と保管庫は別物。ストッカーでは急速冷凍にならない
- 法令の保存基準は−15℃以下、−18℃以下は協会の自主基準
- 保管設備は保管単位・出し入れ頻度・保管日数・温度帯・設置条件で選ぶ
01
ストッカーに入れても急速冷凍にならない理由
急速冷凍機は「凍らせる工程」の設備、冷凍庫やストッカーは「凍った状態を保つ」設備で、役割が異なります。ストッカーに入れれば凍りはしますが、それは通常の冷凍であって急速冷凍ではありません。
日本冷凍食品協会は、家庭用冷凍室は−18℃程度で保存には適していても凍結には不十分で、解凍時に元の品質に戻らない場合があると説明しています。業務用ストッカーも保管温度を保つ設計で、同じ考え方が当てはまります。
急速冷凍は、氷結晶が大きく育つ最大氷結晶生成温度帯(協会の説明では−1℃から−5℃)を短時間で通過させる凍結方法です。この通過速度が品質を分けるため、凍結と保管は設備を分けて考えます。
- 急速冷凍機: 常温や加熱直後の食品を短時間で中心まで凍らせる。冷却能力と消費電力が保管庫より大きい
- 冷凍庫・ストッカー: 凍結済みの食品を−18℃前後で保つ。凍らせる能力は前提にしていない
- 凍結後に急速冷凍機へ入れっぱなしにすると、電気代、乾燥による目減り、処理能力の面で損になる
出典: 日本冷凍食品協会「よくある質問」、KOGASUN「急速冷凍機の入れっぱなしは電気代の無駄」

02
プレハブ・縦型・チェスト型の使い分け
在庫量が多くラックや台車の単位で動かすならプレハブ冷凍庫、出し入れが頻繁なら縦型冷凍庫、まとめ置きの予備保管ならチェスト型ストッカーが基本の使い分けです。いずれも保管庫であり、凍結工程を担う設備ではありません。
先に、何をどの単位(トレー、番重、台車)で保管し、1日に何回出し入れするかを決めます。決まると必要な容量と扉の形式が絞れます。
チェスト型は冷気が下にたまるため開けても逃げにくく省エネ性に優れますが、下段は取り出しにくい構造です。縦型は棚で整理しやすく頻繁な出し入れに向き、自動霜取り機能を備える機種もあります。
縦型・チェスト型の特性はKOGASUN「冷凍ストッカー徹底比較」に基づきます。プレハブ冷凍庫の仕様は施工会社の設計で決まるため、寸法・電源は個別に確認してください。
保管設備の種類
プレハブ冷凍庫
部屋型。台車ごと入れられ、まとまった量の保管に向く
縦型(リーチイン)冷凍庫
前扉と棚。厨房で日常的に出し入れする保管に向く
チェスト型ストッカー
上開き。開閉時に冷気が逃げにくいが、取り出しにくい
凍らせる機械と保つ設備は別です。ストッカーや冷凍庫では急速冷凍はできません。
03
庫内温度を乱す要因は扉の開閉と霜
保管庫の温度を乱す最大の要因は扉の開閉です。開けるたびに外気と湿気が入り、庫内温度が上がるだけでなく、湿気が冷却器に霜として付き、冷却能力そのものを落とします。
霜が厚くなるほど熱交換の効率が下がり、霜取り(デフロスト)の回数と時間が増えます。霜取り中は庫内温度が戻るため、食品の温度変動と電気代の両方に響きます。開閉回数を減らす運用が先です。
冷却方式にも差があります。直冷式は構造が単純で静かですが定期的な霜取りが必要で、冷気循環式(ファン式)は温度回復が速く自動霜取りの機種が多い反面、動作音と価格はやや上がります。
電気代は「年間消費電力量(kWh)×電力単価(円/kWh)」で概算します。周囲温度や開閉頻度で実際の値は上下します。
扉の開閉と霜
- 1扉の開閉
- 2湿気の流入
- 3冷却器に着霜
- 4霜取りで庫内温度が上昇
- 開閉の回数と時間を減らす
- 霜が厚くなる前に除去する
- パッキンとコンデンサーを点検する
04
法令は−15℃以下、業界の自主基準は−18℃以下
冷凍食品の保存温度は、食品衛生法に基づく規格基準では−15℃以下、日本冷凍食品協会の自主的な基準では−18℃以下です。−18℃は法律の数字ではなく、業界が国際基準に合わせて採用している数字です。
厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアル(別添1)も、冷凍食品や冷凍食肉製品の保存温度を−15℃以下としています。流通の実務は−18℃以下で運用されており、表示に「−18℃以下で保存」と書く事業者が多いのはそのためです。
温度が低いほど酵素反応や脂質の酸化、乾燥の進行は遅くなると考えられ、協会は−18℃以下で温度変化を少なく保てば、品目にもよるものの概ね1年は品質が保たれると説明しています。冷蔵倉庫にはF1級(−24℃を超え−18℃以下)より低い温度帯として、F2級(−30℃を超え−24℃以下)、F3級(−35℃を超え−30℃以下)もあります。
−25℃や−30℃で酸化や乾燥がどの程度遅くなるかの数値は、一次資料で確認できていないため記載していません。
保存温度帯
食品衛生法の規格基準では冷凍食品の保存は−15℃以下、日本冷凍食品協会の自主基準は−18℃以下です。3Dフリーザー®の庫内温度は標準−35℃です。
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営業冷蔵倉庫の級別はC3級からSF4級の10区分
営業用の冷蔵倉庫は保管温度で級別が定められており、2024年4月1日施行の改正後はC3級からSF4級までの10区分です。外部倉庫や3PLに預ける場合、この級別で温度帯を指定します。
根拠は倉庫業法施行規則第3条の11(冷蔵室の保管温度が常時10℃以下)と、国土交通省告示第43号「倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示」第19条です。改正前はC3級からF4級の7区分で、F4級は−50℃以下でした。
国土交通省は改正理由として、冷凍食品の保管量増加と電力料金の上昇を挙げ、過冷凍による品質劣化の防止と保管料・環境負荷の抑制のために温度帯を細分化したと説明しています。必要以上に低い級を指定しない判断が費用に直結します。
改正前(2024年3月まで)に登録済みの倉庫は従前の区分で扱われる経過措置があります。日本冷蔵倉庫協会はC級(クーラー級)とF級(フリーザー級)と呼び、倉庫により提供できる室温が異なると説明しています。
| 級別 | 保管温度 |
|---|---|
| C3級 | −2℃を超え、+10℃以下 |
| C2級 | −10℃を超え、−2℃以下 |
| C1級 | −18℃を超え、−10℃以下 |
| F1級 | −24℃を超え、−18℃以下 |
| F2級 | −30℃を超え、−24℃以下 |
| F3級 | −35℃を超え、−30℃以下 |
| SF1級 | −40℃を超え、−35℃以下 |
| SF2級 | −45℃を超え、−40℃以下 |
| SF3級 | −50℃を超え、−45℃以下 |
| SF4級 | −50℃以下 |
06
必要容積の概算。生産量×保管日数÷充填密度
必要な保管容積は「1日の生産量(kg)×保管日数÷充填密度」の考え方で概算し、余裕を見込んで決めます。充填密度は容器の形状と積み方で大きく変わるため、一般的な係数を当てはめるのではなく、自社の容器で実測します。
保管日数は、生産から出荷までのリードタイムに、繁忙期の在庫増や出荷の谷を足して決めます。KOGASUNの記事も、保管したい期間と使用量から容量を概算し、余裕を上乗せする手順を紹介しています。
急速冷凍機の処理量とも釣り合いが要ります。保管庫が足りないと凍結後の食品が急速冷凍機に滞留し、次のロットを入れられません。処理量は実機テスト、保管量は自社容器での実測で確定してください。
必要容積の概算
係数は商品と容器で変わるため、ここでは式だけを示しています。実際の容積は設備メーカーの提案で確認してください。
07
凍結完了の判定と保管庫への移し替え
運用の基本は、凍結完了を中心温度で判断し、完了したら速やかに保管庫へ移すことです。時間ではなく温度で判断し、移す担当と時刻を工程表に組み込むと、入れっぱなしが起きません。
急速冷凍機を保管庫代わりに使うと、保管庫より高い電気代を払いながら、乾燥による目減りと霜取りの増加を抱え、次のロットも凍結できません。凍結と保管の役割分担が、電気代と品質の両方を守ります。
保管庫側では温度計を庫内に置き、搬入時刻と庫内温度を記録します。厚生労働省のマニュアルも冷凍設備内温度の記録を求めています。3Dフリーザー®は、乾燥・目減り・ドリップを抑えたい商品には有力な選択肢です。
- 凍結完了の判定: 商品ごとの目標中心温度(例: −18℃)への到達で判断。到達時間は投入温度・サイズ・包装・段数で変わるため実機テストで確定
- 移し替え: 誰が、いつ、どこへ移すかを工程表に入れる
- 記録: 中心温度・凍結時間・投入量・搬入時刻・庫内温度をロットごとに残す
- 保管庫の容量不足を急速冷凍機で補っているなら、保管能力の見直しが先
KOGASUNの実機テストでは、多くの食品で中心温度−18℃到達を凍結完了の目安としています。凍結時間は条件で変わるため保証値ではありません。

08
設備比較の前に用意する自社の数字
保管設備は機種名から選ばず、保管単位、出し入れ頻度、保管日数、温度帯、設置条件を自社の数字で埋めてから比べます。
急速冷凍機と保管庫の組み合わせは、凍結の処理量と保管容量の釣り合いで決まります。処理量は投入温度や容器で、保管容量は容器と積み方で変わるため、どちらも自社の商品と容器で測った値で決めます。
外部倉庫を使う場合は、級別(F1級以上など)と入出庫の単位を契約前に確認してください。
| 確認項目 | 見る内容 | 用意する情報 |
|---|---|---|
| 保管単位 | トレー、番重、台車、ラックのどれで保管するか | 容器の外寸・重量、台車の寸法 |
| 出し入れ頻度 | 1日の開閉回数と1回の作業時間 | 工程表、出荷スケジュール |
| 保管日数 | 生産から出荷までの日数と繁忙期の在庫 | 生産計画、出荷実績 |
| 温度帯 | −18℃以下で足りるか、より低い温度帯が要るか | 商品の保存試験結果、取引先の指定温度 |
| 設置条件 | 設置面積、搬入経路、電源、排熱、排水 | 図面、現場写真、電気容量 |
FAQ
よくある質問
冷凍ストッカーで急速冷凍はできますか。
できません。ストッカーや冷凍庫は凍った状態を保つ設備で、常温の食品を短時間で凍らせる冷却能力は前提にしていません。日本冷凍食品協会も、家庭用冷凍室は保存には適していても凍結には不十分だと説明しています。凍らせる工程は急速冷凍機、保つ工程は保管庫と役割を分けてください。
冷凍食品の保存温度は、法令で−18℃以下と決まっているのですか。
法令の保存基準は−15℃以下です。食品衛生法に基づく規格基準(厚生省告示第370号)と厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルがこの温度を定めています。−18℃以下は日本冷凍食品協会の自主基準で、国際基準と整合させた数字です。実務では−18℃以下で運用する事業者が多く、表示にもその温度が書かれます。
プレハブ冷凍庫と縦型冷凍庫は、どちらを選べばよいですか。
保管単位と出し入れ頻度で決まります。台車やラックごと大量に保管するならプレハブ冷凍庫、トレー単位で頻繁に出し入れするなら棚で整理できる縦型冷凍庫が基本です。設置面積、搬入経路、電源や排熱の工事条件も分かれるため、用途、設置、運用を先に決めてから比較してください。
冷蔵倉庫のF1級やF2級は何を指しますか。
国土交通省告示で定められた営業冷蔵倉庫の温度区分です。2024年4月1日施行の改正後は、C3級(+10℃以下)からSF4級(−50℃以下)の10区分で、F1級は−24℃を超え−18℃以下、F2級は−30℃を超え−24℃以下です。外部倉庫に預ける際は、この級別で温度帯を指定します。改正前の登録倉庫には経過措置があります。
必要な保管容積はどのように計算しますか。
「1日の生産量(kg)×保管日数÷充填密度」の考え方で概算し、通路や放熱スペース、繁忙期の在庫増の余裕を上乗せします。充填密度は容器の形状と積み方で大きく変わるため、一般的な係数ではなく、自社の容器で1段に何個、何段積めるかを実測して求めます。
凍結が終わった食品を急速冷凍機に入れたままにしてもよいですか。
避けてください。急速冷凍機は凍らせるために大きな電力を使う設備で、保管に使うと保管庫より電気代が高くなるうえ、庫内で乾燥が進んで目減りし、扉の開閉で霜取りが増え、次のロットも凍結できません。凍結完了を中心温度で確認したら、速やかに保管庫へ移す動線を工程表に組み込みます。
ストッカーの霜取りはどのくらいの頻度で必要ですか。
機種と開閉頻度で変わります。KOGASUNの記事では、霜の厚みが1cmになる前に対処し、3から6か月を目安とすること、コンデンサーの埃を半年に1回は除去することを勧めています。直冷式は手動の霜取りが前提で、冷気循環式には自動霜取りの機種が多いため、運用の手間も含めて方式を選んでください。
出典
- KOGASUN 冷凍ストッカー徹底比較 https://kogasun.com/reitou-stocker/
縦型・チェスト型の特性、直冷式と冷気循環式の違い、霜取り・コンデンサー清掃の目安、電気代の概算式、容量の概算手順 - KOGASUN なぜ保存温度はマイナス18℃なのか https://kogasun.com/reito-hokan/
低温ほど酵素反応・酸化・乾燥が遅くなる考え方、−18℃が国際基準と整合する経緯 - KOGASUN 急速冷凍と食品衛生法 https://kogasun.com/rapid-freezing-food-sanitation-law/
食品衛生法の保存基準−15℃以下(厚生省告示第370号)と協会自主基準−18℃以下、Codexとの関係 - KOGASUN 急速冷凍機の入れっぱなしは電気代の無駄 https://kogasun.com/rapid-freezing-irepanashi-electricity-cost/
凍結機と保管庫の役割分担、入れっぱなしの損失、凍結完了は中心温度で判断、移し替え動線と記録 - 厚生労働省 大量調理施設衛生管理マニュアル(平成29年6月16日最終改正) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/
別添1の保存温度(冷凍食品・冷凍食肉製品−15℃以下)、検食−20℃以下2週間以上、冷凍設備内温度の記録 - 日本冷凍食品協会 よくある質問 https://www.reishokukyo.or.jp/faq-list/
−18℃以下保存、家庭用冷凍室は凍結には不十分、最大氷結晶生成温度帯−1℃から−5℃、−18℃以下で概ね1年、乾燥・脂肪の酸化防止 - 倉庫業法施行規則(昭和31年運輸省令第59号) e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800059
第3条の11 冷蔵倉庫の定義と保管温度常時10℃以下、別表第八類物品(e-Gov法令APIで条文取得) - 国土交通省 倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示(平成14年国土交通省告示第43号) https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001852131.pdf
第19条 冷蔵倉庫の級別C3級からSF4級と保管温度(F2級は−30℃を超え−24℃以下、F3級は−35℃を超え−30℃以下) - 国土交通省 告示の改正について(令和6年1月31日) https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001734002.pdf
旧区分C3級からF4級と新区分の対応、改正理由、2024年4月1日施行、経過措置 - 国土交通省 倉庫業法施行規則等運用方針 https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001851985.pdf
冷蔵室の級別と保管温度の表(申請書記載要領) - 国土交通省 倉庫業法ページ https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu05100.html
告示・運用方針PDFの所在確認 - 日本冷蔵倉庫協会 保管温度帯について https://www.jarw.or.jp/study/guardian/temperature
C級(クーラー級)・F級(フリーザー級)の呼称、倉庫により提供できる室温が異なる旨
機種選定の前に、自社の食材で無料の凍結・冷却テスト
凍結・冷却テストは無料で、訪問、来場(全国4拠点)、郵送の3種類です。食材500g〜2kg程度を用意いただくと、申込みから1〜2週間で実施し、中心温度の推移と品質を報告書でお渡しします。機種選定、見積、補助金の相談も、テストの申込みと同じお問い合わせフォームで承ります。
導入ガイドの項目
- 導入ガイド
- 01 冷凍機と冷却機の違い
- 02 積載数と処理量
- 03 商品形態と製造工程
- 04 包装の種類と荷姿
- 05 保管設備と温度帯
- 06 賞味期限の設定
- 07 解凍設計と表示
- 08 販路と凍結条件
- 09 高付加価値の商品化
- 10 凍結時間の目安
- 11 解凍方法の種類
- 12 導入費用と補助金
最終更新: 2026年9月2日。数値は製品ページ、テスト記事、一次資料に基づきます。3Dフリーザー®、3D凍結®、ACVCS®は株式会社コガサンの登録商標です。


