
生産量日本一の広島牡蠣を全国の百貨店やスーパーへ届けてきたのが、広島市の水産卸、株式会社カネウ様です。生鮮の鮮度で勝負してきた同社にも、悩みがありました。従来の冷凍では、どうしても「普通の冷凍牡蠣」の味にしかならないのです。本記事では、緩慢凍結から3Dフリーザー®への転換で縮まない冷凍牡蠣を実現した事例に加えて、冷凍牡蠣が縮み、黄ばむ原因と、旬の大量加工を通年供給につなげる考え方まで解説します。
結論:牡蠣は縮まずに冷凍でき、1時間70〜80kgの凍結力が旬の通年供給を支えた
株式会社カネウ様は、3Dフリーザー®の導入で、解凍してもドリップがほとんど出ず、加熱しても身がふっくらしたままの冷凍牡蠣を実現しました。1バッチ(1回の稼働)約1時間で70〜80kgを急速凍結できる生産力により、鮮度が落ちる前に加工を完了できます。身入りの良い旬の時期に大量に加工してストックする体制が整い、価格変動や漁獲量に左右されない年間供給が可能になりました。冷凍カキフライなどの加工品も高い評価を得ています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 株式会社カネウ様(広島県広島市) |
| 事業 | 広島牡蠣を中心とした水産物の卸売・加工販売 |
| 対象食材 | 牡蠣(むき身、カキフライなどの加工品) |
| 導入目的 | 冷凍品質の向上、生産効率の改善、旬の通年供給 |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® ラックインタイプ |
| 導入の決め手 | 縮まない品質保持と、短時間で芯まで凍らせる生産スピードの両立 |
導入企業:広島牡蠣を全国の百貨店・スーパーへ届ける水産卸
株式会社カネウ様は、広島特産の牡蠣を中心とした水産物の卸売・加工販売を行う企業です。生きた牡蠣の鮮度を落とさずに届けることを使命に、厳重な衛生管理のもとで全国の百貨店やスーパーへ出荷しています。近年は生鮮だけでなく、むき身やカキフライなどの冷凍加工品にも注力し、国内外へ販路を広げています。
導入前の課題:普通の冷凍では、普通の味にしかならない
冷凍商品の製造は以前から行っていましたが、一般的な緩慢凍結(冷凍庫へ入れて、そのまま凍るのを待つ方法)には限界がありました。
- 品質の限界。解凍時にドリップが出て身が縮み、風味も落ちる。仕上がりはあくまで「普通の冷凍牡蠣」の域を出なかった。
- 加工時間の長さ。凍結までに時間がかかって生産効率が上がらず、繁忙期の大量注文に応えるうえでの制約になっていた。
- 旬の維持。牡蠣が最も美味しい冬場の品質のまま、年間を通じて安定供給できる体制が必要だった。
なぜ冷凍した牡蠣は縮み、黄ばむのか
冷凍牡蠣の評判を落とす劣化には、原因の違う二つの系統があります。身が縮んで味が薄くなること、そして表面が黄ばんでパサつくことです。
縮みを決めるのは、身の中にできる氷の粒の大きさです。牡蠣の身はほとんどが水分で、その水分は細い繊維と、一つひとつの細胞を包む細胞膜が抱え込んでいます。ゆっくり凍らせると水分は少しずつ大きな氷の粒に育ち、体積を増して細胞の膜を内側から押し破ります。分かれ目になるのは、水分が最も氷へ変わりやすい-1〜-5℃付近を抜けるまでの時間です。この帯に長くとどまるほど氷は粗く育ち、一気に抜ければ粒は細かいまま収まります。

破れた細胞も、凍っている間は形を保っています。問題は解凍のときです。氷が溶けても破れた細胞は水分を抱え直せず、旨味成分ごとドリップとなって流れ出します。水分の抜けた身は一回り小さくなり、加熱するとさらに縮みます。冷凍牡蠣は縮む、味が薄いと言われる原因はここにあります。
黄ばみを招くのは、表面の乾燥です。凍った身の表面の氷は、強い風に当たり続けたり保管中に庫内の温度が上下したりすると、溶けないまま水蒸気になって抜けていきます。水分が抜けたあとには細かい空隙が残り、そこへ空気が入り込みます。空気に触れた脂質やたんぱく質は時間とともに酸化し、表面は白っぽい乾いた斑や黄ばみへ変わり、風味も落ちていきます。これが冷凍焼けです。むき身は殻という覆いがないうえに表面積も大きいため、この影響を受けやすい食材といえます。
縮みも黄ばみも、牡蠣という食材のせいではありません。氷の粒を大きく育て、表面から水分を逃がしてしまう凍らせ方と保管のしかたに原因があります。凍結方式による差は急速冷凍と通常冷凍の違いで整理しています。
なぜ3D凍結®なら、縮みも黄ばみも抑えられるのか

原因が二つあるなら、対策も二つ必要です。3Dフリーザー®による3D凍結®は、凍る速さと冷気の湿度の両方でこれに応えます。
縮みへの対策は、速さです。高湿度の3D冷気を全方向から当て、身の外側と内側に大きな温度差を作らないまま一気に凍らせます。氷が育ちやすい温度帯を短時間で通り抜けるため、水分は大きな粒になる時間を与えられず、微細なまま身の中に散らばって固まります。細かな氷は細胞膜を破りません。その結果、解凍しても水分と旨味は身に残ります。

凍る速さは、トレーのどの位置でも揃っていなければなりません。冷気の当たり方に偏りがあると、トレーの手前と奥で凍結の進み方が変わります。遅い位置ほど氷結晶は大きく、角の張った歪な形に成長し、その角が細胞膜を突き破ります。同じ日に凍らせた牡蠣なのに、縮む個体と縮まない個体が混ざるのはこのためです。3D冷気は全方向から均一に当たるため、どの段のどのむき身もほぼ同じ速さで凍り、結晶はどれも歪まず、微細なまま揃います。
黄ばみへの対策は、湿度です。強い風だけで凍らせる一般的な急速冷凍機は、凍結の最中から身の表面の水分を奪ってしまいます。3D冷気は湿度を高く保ったまま熱だけを奪うため、むき身のやわらかい表面も乾きません。乾かなければ空隙もできず、酸化の起点そのものが生まれにくくなります。
高い湿度を保てるのは、冷却器への着霜を抑えるACVCS®という独自方式によるものです。一般的な急速冷凍機は運転中に冷却器へ霜が付き、その霜として庫内の水分が奪われ、冷却能力も落ちていきます。

霜の付着を抑え込めれば、湿り気のある冷気のまま連続で運転できます。仕組みの詳細は3Dフリーザーの特徴にまとまっています。
導入の決め手:品質とスピードの両立
数ある冷凍技術から3Dフリーザー®を選んだ理由は、この凍らせ方を、業務で必要な量のまま実行できることでした。細胞を壊さず、表面を乾かさず、しかも従来よりはるかに短い時間で芯まで凍結できます。品質と生産回転率のどちらも妥協せずに済むと判断しました。
効果1:解凍してもドリップがほとんど出ない品質になった
3Dフリーザー®で冷凍した牡蠣は、解凍してもドリップがほとんど出ず、加熱しても身がふっくらしたままです。冷凍カキフライなどの加工品でも揚げた後のジューシーさが際立ち、お客様から美味しいと高い評価を得ています。

効果2:1時間で70〜80kg、鮮度が落ちる前に凍らせ切れるようになった
1バッチあたり約1時間で70〜80kgを急速凍結できるため、製造スピードは格段に上がりました。短時間で処理できることは、効率だけの話ではありません。鮮度が落ちる前に加工を完了できるため、結果として品質の向上にも直結しています。

効果3:旬の時期に大量加工してストックし、年間の安定供給を実現した
身入りが良く美味しい旬の時期に大量に加工し、ストックしておけるようになりました。価格変動や漁獲量に左右されず、年間を通じて旬の品質の牡蠣を安定供給できる平準化生産の体制です。導入前後の変化をまとめます。

| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 品質 | ドリップと身縮みで「普通の冷凍牡蠣」 | ドリップがほとんど出ずふっくら |
| 生産 | 凍結が遅くボトルネックに | 1時間70〜80kgで回転率向上 |
| 供給 | 旬の品質は季節限定 | 旬をストックし年間安定供給 |
カネウ様の生鮮出荷の取り組みは広島カキ生鮮出荷のニュース記事でも紹介しています。魚介類のほかの実例は魚介類の導入事例一覧にまとまっています。
導入機種:1時間70〜80kgを支えるラックインタイプ
導入機種は、3Dフリーザー®のラックインタイプです。むき身を並べたトレーをラックごと庫内へ入れ、1バッチ約1時間で70〜80kgを凍結する生産力を支えています。カキフライなどの加工品も同じラックで扱え、旬の大量加工に対応します。機種の一覧は3Dフリーザーの製品ラインナップで確認できます。

お客様の声:株式会社カネウ様より
「以前は緩慢冷凍で、時間もかかり品質も『普通』でしたが、3Dフリーザーを導入したことで『高品質』と『時間短縮』の両方を達成できました。鮮度・品質・風味は生鮮のままで出荷できるようになり、すごく満足しています。KOGASUNさんは細かい注文にも迅速に対応してくれるので、今後も長くお付き合いしたいです。」
ご協力いただいた企業様

株式会社カネウ様
- 牡蠣を中心とした水産物の卸売業
- 広島県広島市中区江波南1丁目32-17
- 株式会社カネウ様 ウェブサイト
- 公式オンラインショップ
自社の牡蠣でドリップと身の縮みを測る:無料の凍結テスト
ドリップによる歩留まりの低下や解凍後の品質劣化は、凍結方式を変えれば改善できます。KOGASUNの凍結テストは費用も出張費も無料です。いつも扱っている状態のまま持ち込めば、次の項目を実物で確かめられます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 解凍後のドリップ | 一定時間置いたあとの流出量を、同じ条件で比べる |
| 身の張りと縮み | 解凍後の大きさ、加熱したときのふっくら感を見る |
| 表面の状態 | 凍結直後と保管後で、色や乾いた斑の出方を確かめる |
| 加工品の仕上がり | カキフライなど、加熱調理まで通して評価する |
| 量産時の再現性 | トレーの段、中央と端で仕上がりに差が出ないかを見る |
牡蠣をはじめとする魚介類を持ち込み、ドリップの量と解凍後の食感を、仕入れのプロの目でお確かめください。申し込みの流れは食品を持ち込める凍結テストでご確認ください。
牡蠣の冷凍でよくある質問
凍結が遅いと氷の粒が細胞を壊し、解凍時に水分がドリップとして流れ出て身がやせるためです。細胞破壊の少ない3D凍結®なら水分が身の中に残り、加熱してもふっくらとした食べごたえを保てます。
表面の乾燥が原因です。凍結中の強い風や保管中の温度変動で身の表面から水分が抜けると、残った空隙に空気が入り、脂質やたんぱく質の酸化が進みます。これが冷凍焼けの正体です。高湿度の3D冷気は凍結中に表面を乾かさないため、酸化の起点ができにくくなります。凍らせた後は、空気を抜いた包装と、温度変動の小さい保管を組み合わせてください。
揚がります。本事例で3Dフリーザー®を使った冷凍カキフライは、揚げた後のジューシーさで高い評価を得ています。衣の中に牡蠣の水分と旨味が残っているかどうかは、凍結品質でほぼ決まります。
身入りの良い旬に大量加工してストックする体制です。短時間で大量を凍らせ切る能力と、品質を保つ凍結方式の両方がそろって初めて、旬の通年供給が成立します。本事例では1バッチ約1時間で70〜80kgを凍結できる生産力を土台に、平準化生産まで到達しました。
変わります。殻付きは殻ごと凍らせる時間設計、むき身は身の表面を乾かさない凍結が重要になります。殻付き牡蠣の検証は殻付き牡蠣の冷凍テストで紹介しています。
販路拡大や生産性向上の設備投資として、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金が候補になります。輸出向けの支援施策が使える場合もあるため、KOGASUNの導入相談で計画段階からご確認ください。
まとめ:縮まない冷凍が、旬の広島牡蠣を一年中の商品にした
カネウ様の事例は、正しい凍結技術を使えば牡蠣は縮まないことを示しています。ドリップの出ない品質と、旬のうちに凍らせ切る生産力、一年を通じた平準化が、同社の商品価値を高めています。縮みも黄ばみも、突き詰めれば凍らせ方と保管のしかたの問題です。歩留まりの低下や解凍後の劣化に悩む水産加工の現場は、無料の凍結テストで解凍後の身の張りをお確かめください。機種選定や設置のご相談は、以下からお問い合わせください。







