
真空パックしたホルモン肉をコンテナに段積みし、プレハブ冷凍庫で1日かけて凍らせます。精肉加工場様もこの方法で凍らせてきましたが、出荷量が増えるにつれて限界を迎えました。本記事では、牛肉・ホルモンの凍結を3Dフリーザー®へ切り替えた精肉加工場様の導入事例を紹介します。あわせて、肉の凍結でドリップと冷凍ムラが生まれる原因と、切り替え後に処理量と商品の幅がどう変わったかまで解説します。凍結工程の見直しを検討する食肉加工の現場に役立つ実例です。
結論:牛肉・ホルモンの急速冷凍への切り替えで、冷凍ムラのクレームが解消し出荷拡大に対応できた
精肉加工場様は、プレハブ冷凍庫で1日かけていた緩慢冷凍を、3Dフリーザー®ラックインパススルータイプへ切り替えました。時間あたりの冷凍処理量は格段に増え、コンテナの置き方しだいで生じていた冷凍ムラも解消しました。これで品質クレームの原因そのものがなくなっています。ホルモン以外の部位やバラ凍結へ対応の幅も広がり、新商品の提案から新規顧客の獲得、売り上げ拡大へつながっています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 精肉加工場様(食肉加工業) |
| 対象食材 | 牛肉、ホルモン |
| 導入目的 | 冷凍品質の向上、販路拡大、ドリップ改善 |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® ラックインパススルータイプ |
| 導入の決め手 | KOGASUNショールームの凍結テストで、解凍後のドリップの少なさを確認 |
導入前の課題:段積みの緩慢冷凍が、出荷拡大の妨げになっていた
導入前の凍結工程は、真空パックしたホルモン肉をコンテナに入れ、プレハブ冷凍庫で段積みにして1日かけて凍らせるものでした。緩慢冷凍とは、庫内の自然な冷気で食品をゆっくり凍らせる、通常の冷凍方法のことです。庫内の冷気の通り方は場所ごとに違うため、コンテナの重なり方しだいで凍り方に差が出ます。この差が品質のばらつきとなり、取引先からのクレームを招いていました。

処理能力の不足も深刻でした。取引先の焼肉店への出荷量が増えるほど、凍結待ちの肉が冷凍庫の前に滞留していきます。このままでは、増えた注文に応えられません。品質と処理量を同時に立て直す設備として、急速冷凍機の検討が始まりました。
なぜ段積みの緩慢冷凍では、ドリップと冷凍ムラが出るのか
肉の冷凍で問題になる劣化には、原因の違う二つの種類があります。解凍のたびに流れ出るドリップと、同じ冷凍庫で凍らせたはずなのに商品ごとに出来が違う冷凍ムラです。
ドリップとは、解凍した肉から流れ出る赤い液体のことです。

正体は、細い筋繊維が細胞膜の内側に抱えていた水分とうま味成分です。肉の重さの大半はこの水分が占めています。凍結がゆっくり進むと、水分は繊維のすき間でまず凍り、周囲の水分を吸い寄せながら大きな氷の塊へと育ちます。育った氷は、水分を抱えていた筋繊維の細胞膜を外側から押し破ってしまいます。壊れた細胞膜は解凍しても元に戻らず、抱えきれなくなった水分がうま味ごと流れ出します。これがドリップの発生源です。重量が減って歩留まりは下がり、焼けば縮み、味も薄くなります。
氷の育ち方を分けるのは、水分が氷へ変わりやすい-1〜-5℃前後の温度帯を通り抜ける時間です。この帯を何時間もかけて進む緩慢冷凍では、氷に育つ時間をたっぷり与えることになります。
一方の冷凍ムラの正体は、熱の逃げ道の偏りです。コンテナを段積みにすると、冷気が触れるのは積み荷の外側だけで、中心部には熱がこもります。外側のパックが凍り終えても、中心のパックはまだ凍り始めてもいません。同じ冷凍庫で同じ時間をかけても、置かれた場所で氷の育ち方がまるで違うため、外側と中心が別物の品質に仕上がります。置き方しだいでクレームを招く冷凍ムラは、こうして生まれます。凍結方式による品質差は急速冷凍と通常冷凍の違いで整理しています。
3D凍結®がドリップと冷凍ムラを同時に抑えられる理由

原因が凍る速さと熱の偏りにあるなら、対策は速く、均一に凍らせることに尽きます。凍結を速めるだけなら、強い風を吹き付ける一般的な急速冷凍機でも可能です。ただし一方向からの強風は、風の当たる面と当たらない面で凍る速さの差を生み、ムラを解消しきれません。3Dフリーザー®による3D凍結®は、速さと均一さを1台で実現します。
ドリップへの答えは速さです。高湿度の3D冷気が食品を全方向から包み込み、氷結晶が成長する温度帯を短時間で通過します。氷のもとになる微細な核が肉のあちこちで同時にでき、それぞれが大きくなる前に凍結が終わります。残るのは筋繊維を傷つけない微細な粒だけです。細胞膜が壊れなければ、解凍後も水分は肉の中にとどまり続けます。同社がショールームのテストで確かめた解凍後のドリップの少なさは、この仕組みの表れです。
ここで重要なのは、速さだけでなく凍り方がそろっていることです。冷気の当たり方に偏りがあると、場所ごとに凍る速さが変わり、遅い部分では氷結晶が大きく、角の張った歪な形に育ちます。角の立った結晶ほど細胞膜を突き破る力が強いため、冷凍ムラはそのままドリップのムラになります。3D凍結®では冷気が段と段のあいだまで回り込むので、外側のパックも中心のパックも同じ速さで凍り、粗大な結晶が育つ余地が残りません。ムラの解消と品質の安定は、同じ仕組みから生まれています。
この均一さを支えているのが、冷気の回り方です。従来の急速冷凍機のように一方向の風だけで凍らせると、風の当たる面と当たらない面、ラックの上段と下段で凍結の進みに差が出ます。3Dフリーザー®の3D冷気は庫内を立体的に循環するため、ラックのどの段のどの位置にもほぼ同じ強さで届きます。
脂の多いホルモンでは、冷気の湿度も品質を左右します。乾いた強風で凍らせると肉の表面から水分が抜け、冷凍焼けと脂の酸化が始まりやすくなります。高湿度の冷気なら、表面を乾かさずに熱だけを奪えます。この高湿度運転を連続で支えているのが、冷却器への着霜を抑えるKOGASUN独自のACVCS®です。仕組みの詳細は3Dフリーザーの特徴にまとまっています。
導入の決め手:凍結テストで確認した、解凍後のドリップの少なさ
数ある冷凍設備の中で同社が重視したのは、カタログの数値ではなく実物の仕上がりです。KOGASUNのショールームで実際に肉を凍結し、解凍後のドリップの少なさを確認したことが、導入の決め手になりました。

導入機種:ラックごと出し入れできるラックインパススルータイプ
導入機種は、3Dフリーザー®のラックインパススルータイプです。パススルータイプとは、本体の前後両面に扉を備え、搬入側と搬出側を分けられる構造のことです。ラックを台車ごと庫内へ入れられるため、トレーを1枚ずつ移し替える手間がありません。生の肉を入れる動線と、凍った商品を取り出す動線が交差しない運用を組めます。


3Dフリーザー®は、急速冷却と急速凍結の両方に1台で対応します。ラックインタイプのような規格モデルのほか、処理量や工程に合わせたオーダーメイド設計にも対応できるため、加工場の規模や増産の計画に合わせて凍結能力を選べます。
導入後の変化:処理量が伸び、商品の幅が広がった
処理能力に余裕が生まれたことで、これまで凍結を見送っていたホルモン以外の部位も冷凍できるようになり、商品構成の幅が広がっています。

バラ凍結や加工製品の凍結に対応できるようになった点も、大きな変化です。バラ凍結とは、切り分けた肉を1枚ずつ離した状態で凍らせる方法のことで、使う分だけ取り出せるため納品先の店で扱いやすくなります。これまでになかった新商品を提案できるようになり、競合他社との差別化につながりました。導入前後の変化をまとめます。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 凍結方法 | プレハブ冷凍庫にコンテナを段積みする緩慢冷凍 | ラックごと投入する3D急速冷凍 |
| 凍結時間 | 1日 | 大幅に短縮 |
| 品質 | 置き方しだいで冷凍ムラが発生 | ばらつきのない安定した凍結 |
| 商品展開 | ホルモン中心 | ホルモン以外の部位、バラ凍結、加工製品へ拡大 |
効果:安定した冷凍品質が会社の信用となり、新規顧客の獲得と売り上げ拡大につながった
品質が安定したことで、高品質・高効率な冷凍を自社の強みとして取引先へ示せるようになりました。凍結品質は営業の説得材料となり、会社の信用が増し、新規顧客の獲得、売り上げの拡大につながっています。

凍結品質の評価は、加工場の中では完結しません。取引先の焼肉店で網に載った一枚がどう焼き上がるかまで含めて、肉の評価は決まります。ドリップの少ない肉は、加熱したときの縮みやうま味の流出を抑えやすく、店で焼いたときの満足度まで支えます。焼肉用の肉の凍結前後の状態は焼肉の冷凍品質比較テストで写真から確認できます。肉・食肉加工品のほかの実例は肉・食肉加工品の導入事例一覧にまとまっています。
自社の肉で仕上がりを確かめる:無料の凍結テスト
同じ牛肉でも、部位・厚み・味付けで凍り方は変わります。KOGASUNの凍結テストは費用・出張費とも無料です。主力商品をいつも出荷する状態のまま持ち込めば、次の項目を導入前に実物で確かめられます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 解凍後のドリップ | 受け皿にたまる量を、いまの凍結品と同じ解凍条件で比べる |
| 肉の色 | 解凍後の赤みと、脂の白さが保たれているかを見る |
| 焼いたときの縮み | 加熱後の縮み方とうま味の残り方を、実食で確かめる |
| バラ凍結のほぐれ | 1枚ずつ離れて取り出せるか、くっつきを確かめる |
| ラック内の均一性 | 上段と下段、奥と手前で出来に差がないかを確かめる |
結果はそのまま、取引先への品質説明の根拠にも使えます。持ち込みの流れは食品を持ち込める凍結テストでご確認ください。
精肉・食肉加工の急速冷凍でよくある質問
ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金など、食肉加工業でも活用を検討できる制度があります。公募回ごとに要件と締切が変わるため、機種選定と並行して確認するのが確実です。KOGASUNの導入相談では、最新の公募状況を踏まえた補助金サポートを受けられます。
保ちやすくなります。脂の酸化や表面の乾燥は、凍結に時間がかかるほど進みやすいためです。素早い凍結と高湿度の3D冷気の組み合わせは乾燥を抑える方向に働き、丸腸のようなぷりっとした食感の部位でも持ち味を残しやすい仕上がりになります。
原料側と製品側の衛生区画をはっきり分けたい加工場に向いています。前後の扉を区画の境界として使えるため、HACCPに沿った区分け運用と作業効率を両立しやすい構造です。設置には本体の前後に通路が必要なので、工場図面をもとに設置可否からご相談いただけます。本事例の精肉加工場様もこのラックインパススルータイプを導入し、冷凍ムラの解消と処理量の拡大につなげています。
期限は、包装と保管温度で商品ごとに保存試験を行って設定します。急速冷凍は品質の劣化を遅らせる方向に働きますが、脂の多い部位では包装の密封性も品質を左右するためです。期限設定の考え方は、導入時のご相談で一緒に組み立てられます。
問い合わせフォームまたはお電話で、テストしたい部位と量をお知らせください。凍結から解凍後の確認までを実際の設備で行い、商品化の可否を判断する材料として結果をお渡しします。
まとめ:凍結工程の切り替えが、品質と販路の両方を伸ばした
同社は、プレハブ冷凍庫での緩慢冷凍を3Dフリーザー®ラックインパススルータイプへ切り替え、冷凍ムラの解消と処理量の拡大を同時に実現しました。ドリップもムラも、突き詰めれば凍らせる速さと冷気の回り方の問題です。安定した冷凍品質は取引先からの信用となり、新商品の提案、新規顧客の獲得、売り上げの拡大を支えています。自社の肉がどこまで仕上がるかは、無料の凍結テストで導入前に確かめられます。機種選定や設置のご相談は、以下からお問い合わせください。







