
ふぐ刺しの繁忙期は冬に集中します。注文が重なる時期に生産が追いつかず、販売機会を逃します。この構造的な課題に対し、水産加工工場様は冷凍による在庫化で対応しました。ただし、他社の急速冷凍機では乾燥による劣化が激しく、一度は商品化を断念しています。本記事では、ISO22000の導入を機に3Dフリーザー®を選び、飾り盛りのまま凍結して全国配送を実現した事例を紹介します。あわせて、薄造りが冷凍で白く濁る仕組みと、冷凍ストックで繁忙期に備える計画生産の考え方まで解説します。
結論:ふぐ刺しは3Dフリーザー®で飾り盛りのまま凍結でき、冷凍前と変わらない美味しさで全国へ届けられた

水産加工工場様は、3Dフリーザー®カートインタイプの導入で、ふぐ刺しを容器に飾り盛りしたまま急速冷凍し、全国のご家庭へ配送する体制を実現しました。他社製品のテストでは乾燥による劣化が激しく、商品化を断念していたものです。閑散期に仕込んで冷凍ストックする計画生産も可能になり、繁忙期の販売機会のロスが減っています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 水産加工工場様 |
| 対象食材 | ふぐ刺し、水産加工品 |
| 導入目的 | 鮮度維持、販路拡大、働き方改革 |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® カートインタイプ |
| 導入の決め手 | 他社機で断念した商品が、テストで冷凍前と変わらない美味しさに仕上がった |
導入前の課題:繁忙期に生産が追いつかず、他社機のテストでは乾燥で断念
繁忙期のふぐ刺しは、作るそばから出荷されていきます。生産が間に合わなければ、その分がそのまま販売機会のロスです。この構造を変えるため、同社は高品質な急速冷凍による冷凍ストックでの計画生産を検討しました。
ところが、他社の急速冷凍機で複数回テストを行った結果は、乾燥による激しい劣化でした。同社は商品化をいったん断念しました。
なぜ薄造りは、冷凍で白く濁りパサつくのか
ふぐ刺しは、器の絵柄が透けて見えるほど薄く引かれます。この透明感が商品価値そのものであり、同時に冷凍を難しくしている理由でもあります。薄造りが冷凍で失うものは、二つあります。
一つは水分です。1枚が薄いほど、身の量に対して空気に触れる面は大きくなります。凍結の最中に乾いた強風を当てれば、表面から水分が奪われていきます。水分が抜けた身は縁から反り、白っぽく乾いてパサついた食感になります。他社機のテストで起きた「乾燥による激しい劣化」は、風で凍らせる方式は薄物と相性が悪いことを示していました。
もう一つは透明感です。身の中の水分がゆっくり凍ると、水分は少しずつ大きな氷の粒へ育ち、筋繊維を包む細胞膜を内側から押し破ります。細胞膜が破れると解凍しても水分を抱え直せず、旨味ごとドリップとなって流れ出ます。水分の抜けた身は張りを失って濁り、箸で持ち上げたときのしなやかさも消えます。氷の粒が育つのは、身の温度が-1〜-5℃の帯にとどまる間です。この帯を素早く抜けるかどうかが、透明感の分かれ目になります。
3D凍結®が、ふぐ刺しの透明感を保ったまま凍らせられる理由

失うものが二つなら、凍らせ方も二つの条件を満たす必要があります。3Dフリーザー®は、強い風に頼らずに冷やすという一つの設計で、その両方に応えています。
乾燥への答えは、冷気の湿度です。冷気が製品の熱だけを奪い、庫内の湿度は保たれるので、薄く引かれた身の表面も乾きません。縁が反らず、白い乾いた斑も出ません。他社機で商品化断念の原因になった劣化が、方式を変えるだけで起きなくなりました。繁忙期に盛り付け済みの商品を続けて入れても冷気の湿度が保たれるのは、冷却器への着霜を抑えるKOGASUN独自のACVCS®によるものです。
透明感への答えは、包み込む冷気で一気に凍らせる速さです。多方向から均等に冷やすため、薄い身は表と裏の差なく凍ります。結晶が成長する温度帯を短時間で抜けるので、粒は微細なままです。細胞膜が破れなければ、解凍しても水分と旨味は身の中に残り、張りと透明感が保たれます。

加えて、凍り方の均一さが仕上がりを決めます。容器の手前と奥とで冷気の通りが違うと、遅い場所では氷結晶が大きく、角の張った歪な形に育ちます。角の立った結晶は薄い身を裂き、その一枚だけ濁って見えます。飾り盛りの皿は一枚でも濁れば商品価値を失うため、凍り方の均一さは見た目に直結します。冷気が盛り付けの重なりのあいだにも入るので、どの一枚も凍り上がりまでの時間が変わりません。
そして同じ設計が、三つ目の恩恵をもたらしました。強い風を使わないため、軽い容器を吹き飛ばさないのです。ここから、飾り盛りのままの凍結という商品設計が生まれました。凍結方式で品質が分かれる理由は急速冷凍と通常冷凍の違いで解説しています。
導入の決め手:ISO22000への取り組みと、冷凍前と変わらない美味しさ
転機はISO22000の導入でした。ISO22000とは、食品安全マネジメントシステムの国際規格のことです。マネジメントシステムによる工場運営を目指すなかで、凍結工程にも安全と品質の裏付けが求められるようになりました。

そこで3Dフリーザー®をテストしたところ、仕上がりは冷凍前と変わらない美味しさでした。乾燥で一度あきらめた商品が、凍結方式を変えるだけで商品になりました。この確認が導入の決め手になりました。
飾り盛りのまま凍結:軽い発泡スチロール容器を飛ばさない冷気で、盛り付けごと凍らせられる
ふぐ刺しの容器は発泡スチロール製で非常に軽く、一般的な急速冷凍機では庫内を循環する強い風で飛んでしまいます。3Dフリーザー®の冷気は風速を抑えて多方向から食品を包み込むため、飾り盛りの容器をカート(ラック台車)に載せたまま凍結できます。

盛り付けてから凍らせられることの意味は大きく、盛り付けの美しさをそのまま商品として届けられます。バラで凍らせて解凍後に盛り直す方式と違い、手間も身崩れの心配もありません。
閑散期に仕込み、繁忙期に売る:冷凍ストックによる計画生産
冷凍ストックしても品質を維持できるため、閑散期に仕込み、繁忙期に売る計画生産が可能になりました。冷凍による品質低下を補う保水剤などを使わずに保存できる点も、素材で勝負する商品には重要です。

作業が年間で平準化されたことはコストダウンにつながり、販路拡大を支えています。繁忙期だけ人員を集中させる働き方からの転換は、導入目的のひとつだった働き方改革の実践でもあります。導入前後の変化をまとめます。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 繁忙期の生産 | 間に合わず販売機会をロス | 閑散期の冷凍ストックで対応 |
| 冷凍商品化 | 他社機のテストで乾燥劣化し断念 | 冷凍前と変わらない美味しさで実現 |
| 盛り付け | 軽い容器が風で飛び凍結不可 | 飾り盛りのまま容器ごと凍結 |
| 作業とコスト | 繁忙期に作業が集中 | 平準化によりコストダウン |
冷凍ふぐの事例は、福岡の老舗卸によるトラフグの導入事例でも紹介しています。
導入機種:カートごと運び入れるカートインタイプ
導入機種は、3Dフリーザー®のカートインタイプです。盛り付けた容器を載せたカートを、そのまま庫内へ運び入れて凍結できます。積み替えがないため、飾り盛りを崩さない今回の運用と相性のよい構造です。急速冷却と急速凍結を1台でこなし、処理量に合わせたオーダーメイド設計にも対応します。仕組みは3Dフリーザーの特徴にまとまっています。

盛り付けたままの薄造りを凍らせ、解凍後の透明感と飾り盛りの形を試す:無料の凍結テスト
乾燥や型崩れで商品化を断念した製品でも、凍結方式を変えると結果が変わることがあります。本事例がまさにそうでした。KOGASUNの凍結テストは費用も出張費も無料です。いつもの容器・いつもの盛り付けのまま持ち込めば、次の項目を確かめられます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 身の透明感 | 解凍後に器の絵柄が透けるか、白く濁っていないかを見る |
| 縁の反り | 薄い身の縁が乾いて反っていないかを確かめる |
| 解凍後のドリップ | 容器にたまる量と、身の張りの残り方を比べる |
| 盛り付けの形 | 飾り盛りが崩れず、凍結前の姿を保っているかを見る |
| 容器の安定 | 軽い容器がラック上で動かず凍結できるかを確かめる |
あきらめた商品を持ち込めば、仕上がりを導入前に確認できます。流れは食品を持ち込める凍結テストでご案内しています。
ふぐ刺し・水産加工品の冷凍でよくある質問
薄い刺身は表面積が大きく、強い風を当てる凍結ほど乾燥しやすくなります。風で凍らせるのではなく、3Dフリーザー®のように高湿度の冷気で包んで凍らせる方式なら、水分を奪われにくく透明感を保ちやすくなります。本事例でも、他社機で乾燥により断念した商品が、方式を変えて商品化に至りました。
冷蔵庫での低温解凍をご案内するのが基本です。常温で急いで戻すと身が水っぽくなりやすいためです。盛り付けたまま凍結した商品なら、容器のまま冷蔵庫に移すだけで、盛り付けの形のまま食卓に出せます。
ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金などが候補になります。対象要件や締切は公募回ごとに変わるため、設備計画の初期段階から確認しておくと選択肢が広がります。KOGASUNの導入相談で最新の公募状況を案内しています。
凍結工程の温度と時間を安定させることは、マネジメントシステムが求める工程管理と記録の土台になります。本事例でも、ISO22000の導入をきっかけに凍結工程を見直し、安全と品質の両面から3Dフリーザー®を選定しました。
品目ごとに保存試験を行い、品質を保てる期間を確かめたうえで、繁忙期の販売量から逆算して仕込むのが基本です。閑散期の生産能力と繁忙期の需要の差が大きい商品ほど、早めの計画が効果を発揮します。保存試験の設計は、無料の凍結テストとあわせてKOGASUNにご相談いただけます。
まとめ:飾り盛りのまま凍る技術が、繁忙期の販売機会ロスを減らした
同社は3Dフリーザー®カートインタイプの導入で、他社機では商品化できなかったふぐ刺しの冷凍を実現し、閑散期に仕込んで繁忙期に売る生産体制を手に入れました。乾燥も濁りも、突き詰めれば冷気の湿度と凍る速さの問題です。強い風に頼らない凍らせ方が、飾り盛りのままの商品化を可能にしました。乾燥で一度あきらめた商品がある方は、無料の凍結テストで仕上がりをお確かめください。機種選定や設置のご相談は、以下からお問い合わせください。







