
寿司づくりは手作業です。1日に作れる量には限度があり、受注が読めなければ、作りすぎた分は廃棄になります。さば寿司や巻寿司を製造する米飯メーカー様は、この廃棄ロスと長く向き合ってきました。突破口は冷凍です。ただし数種類の急速冷凍機を試しても、米飯の白蝋化と解凍後の再現性という課題が残りました。本記事では、その課題を解決した導入事例に加えて、一つの寿司の中で素材ごとに壊れ方が違う理由と、解凍方法を選ばない商品にできた仕組みまで解説します。
結論:さば寿司・いなり寿司・巻寿司の冷凍が実現し、廃棄ロスの解消と売上増につながった
米飯メーカー様は、3Dフリーザー®ラックインタイプの導入で、さば寿司・いなり寿司・細巻・太巻の冷凍商品化を実現しました。数種類の急速冷凍機を試すなかで、冷凍寿司を実現できたのは3Dフリーザー®だけでした。自然解凍・冷蔵解凍・加湿解凍のいずれでも冷凍ダメージがなく、安定した品質でストックを持てるようになり、計画生産によって販売機会の損失と廃棄ロスが同時に解消しています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 米飯メーカー様 |
| 対象食材 | さば寿司、いなり寿司、細巻寿司、太巻寿司 |
| 導入目的 | 廃棄ロス改善、販路拡大、計画生産、品質向上 |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® ラックインタイプ |
| 導入の決め手 | 試した急速冷凍機のなかで、唯一冷凍寿司を実現できた |

開発の課題:米飯の白蝋化と、解凍後の再現性
冷凍寿司の開発は、順調ではありませんでした。数種類の急速冷凍機を試したものの、冷凍中に米飯が白蝋化したり、解凍後の再現性に問題が残ったりと、商品と呼べる水準に届きません。白蝋化とは、米粒の表面が白く濁り、蝋のように見えてしまう現象です。

なぜ一つの寿司の中で、素材ごとに壊れ方が違うのか
寿司の冷凍が難しい理由は、一言でいえば「別々の弱点を持つ素材が、一つの商品として組み上がっている」ことにあります。同社の商品を構成する四つの素材を並べると、その難しさがはっきりします。
酢飯の弱点は乾燥です。炊いた米粒は水分を抱えた状態にあり、表面から水分が抜けると、その跡にできる微細な空隙で光が乱反射し、白く濁ります。これが白蝋化です。同時に粒はまとまる力を失い、ぼそぼそと崩れます。
海苔は逆に、水分に弱い素材です。巻寿司の海苔はパリッと乾いた状態に価値があります。凍結や解凍の過程で酢飯の水分が海苔へ移れば、たちまちしんなりとベタつきます。同じ商品の中で、乾かしてはいけない素材と、湿らせてはいけない素材が隣り合っているのです。
いなり寿司の油揚げで注意すべきは、油の劣化です。油は空気に触れる時間が長いほど風味を損ないます。そしてさば寿司のさばは、脂とうま味を抱えた身です。氷の粒が育てば繊維が壊れ、抱えていた水分が解凍時にドリップとなって流れ出ます。
四つの素材には、それぞれ別の弱点があります。どれか一つに合わせた凍らせ方では、ほかの素材が犠牲になります。数種類の急速冷凍機で商品にならなかったのは、この同時達成が難しかったからでした。
なぜ解凍方法を選ばない商品にする必要があるのか
もう一つ、寿司ならではの要件があります。届け先で、どんな戻し方をされるか分からないという点です。
売り場や催事の会場に、解凍のための設備が必ずあるとは限りません。自然解凍で並べる場合もあれば、冷蔵庫でゆっくり戻す場合も、加湿しながら戻す場合もあります。そして解凍のしかたが変われば、温度が上がる速さも、表面に付く水滴の量も変わります。
ここでも一番弱いのが海苔です。急に温度が上がれば、冷たい表面に水滴が付き、パリッとした食感は失われます。逆にゆっくりすぎれば、酢飯から海苔へ水分が移る時間が長くなります。どの戻し方でも耐える商品にするには、そもそも凍結の段階で素材どうしの水分が動かない状態を作っておくしかありません。三つの解凍法すべてでダメージがないという結果は、凍結品質の高さがそのまま表れたものです。
3D凍結®が、酢飯・海苔・油揚げ・さばの品質を同時に保てる理由

相反する要求に見えても、答えは一つに収れんします。素材の間で水分を動かさないことです。
数種類の急速冷凍機で越えられなかった白蝋化も、乾いた強風が露出した酢飯から水分を奪うことで起きていました。3Dフリーザー®の冷気は乾きません。冷却器への着霜を抑えるKOGASUN独自のACVCS®により、計画生産で一日中稼働させても湿度が保たれるためです。湿った冷気は、酢飯から水分を奪わずに熱だけを持ち去ります。
この高湿度の冷気が、寿司の上面と側面に同時に当たります。トレーに並んだ寿司は上からも横からも同時に冷やされ、氷が育つ温度帯を短時間で通り抜けます。水分はどこへも移らないまま、その場で微細な粒になります。その結果、酢飯の水分は酢飯にとどまり、海苔へ移りません。乾かしてはいけない素材と湿らせてはいけない素材が、それぞれの状態のまま固定されます。
性質の違う素材が同居していても仕上がりがそろうのは、凍り方に偏りがないからです。巻寿司は太さがあるぶん、何もしなければ外側が先に凍り、中心は最後まで残ります。遅れる中心側の結晶は大きく角張って米粒の細胞やネタの細胞膜を突き破ります。切り分けたときに端と中央で食感が違ってくるのは、この中心の遅れが残るためです。冷気が巻寿司の側面にも回り込むので、外側も中心もほとんど差なく凍り、結晶はどこも微細にそろいます。
凍結の速さは、さばと油揚げの品質も左右します。氷の粒が微細なら身の繊維は壊れずドリップが出ず、空気に触れる時間が短ければ油の風味も損なわれにくくなります。酢の香りが揮発する時間も同じく短くなります。四つの弱点への対策が、一度の凍結でまとめて成り立ちました。凍結方式による差は急速冷凍と通常冷凍の違いで解説しています。
導入後の品質:自然解凍・冷蔵解凍・加湿解凍のいずれでも品質を維持できた
3Dフリーザー®で凍らせた寿司は、自然解凍・冷蔵解凍・加湿解凍のどの方法でも冷凍ダメージがありません。解凍手段を選ばないことは、売り方の自由度に直結します。

素材ごとの弱点にも対処できています。油分を含んだいなり寿司は油の劣化がなく、巻寿司の海苔はベタつきません。酢飯の酢の風味も飛ばず、本来の味を保っています。ネタ・油揚げ・海苔・酢飯という条件の異なる素材の組み合わせが、まとめて商品になりました。さば寿司の凍結前後の詳細はさば寿司の冷凍テストでも紹介しています。
廃棄ロスの解消:受注の波を冷凍ストックで吸収する
寿司づくりは手作業のため、日産量には限度があります。導入前は受注量の増減に生産を合わせきれず、廃棄ロスが解消できませんでした。作りすぎれば捨てることになり、作り足りなければ売り逃します。いずれの場合も損失です。

冷凍寿司の実現で、この構造が変わりました。安定した品質で十分なストックを持てるため、計画生産が可能になり、販売機会の損失がなくなり、売上が増加しました。廃棄ロスの解消はコストダウンにもつながっています。導入前後の変化をまとめます。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 生産 | 手作業の日産量に縛られる | 冷凍ストックで計画生産 |
| 受注対応 | 増減に合わせきれず売り逃し | 販売機会の損失なし |
| 廃棄 | 作りすぎ分がロスに | 廃棄ロスが解消しコストダウン |
| 品質 | 白蝋化と再現性の問題 | 3つの解凍法すべてでダメージなし |
米飯類のほかの実例は米飯類の導入事例一覧で確認できます。
導入機種:寿司をトレーごと凍らせるラックインタイプ
導入機種は、3Dフリーザー®のラックインタイプです。トレーに詰めた寿司をラックごと台車で庫内へ運び、形を崩さずまとめて凍結します。棒寿司・いなり寿司・巻寿司と形の違う商品が混在しても、トレー単位で柔軟に運用できます。粗熱取りから凍結までを1台でまかなえ、生産量の拡大にはオーダーメイド設計や増設で対応できます。仕組みは3Dフリーザーの特徴にまとまっています。

他社機で断念した寿司を、解凍まで含めて再検証する:無料の凍結テスト
寿司のように素材の組み合わせが難しい食品は、凍結だけでなく解凍まで含めて検証する必要があります。KOGASUNの凍結テストは費用も出張費も無料です。持ち込んだ商品を実機で凍結すれば、次の項目を確かめられます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 酢飯の状態 | 白く濁っていないか、粒が崩れていないかを見る |
| 海苔の食感 | しんなりしていないか、パリッと感が残るかを確かめる |
| ネタのドリップ | 容器に水が出ていないかを見る |
| 酢と油の風味 | 酢の香りが飛んでいないか、油揚げの味が落ちていないかを確かめる |
| 解凍法ごとの差 | 自然解凍・冷蔵解凍など、想定する戻し方で比べる |
他社機で断念した商品の再検証にも向いています。申し込みの流れは食品を持ち込める凍結テストでご確認ください。
冷凍寿司の商品化でよくある質問
できます。凍結の品質が高ければ、解凍設備のない売り場でも自然に溶かすだけで提供できます。本事例の3Dフリーザー®で凍らせた寿司は自然解凍・冷蔵解凍・加湿解凍のすべてでダメージがなく、催事や弁当需要など販売シーンの幅が広がります。
ベタつきの原因は、酢飯の水分が海苔へ移ることです。凍結が遅いほど、また保管中に温度が上がるほど、この移動は進みます。3D凍結®で水分が動く前に微細な氷として固定すれば、パリッとした状態を保てます。本事例でも海苔のベタつきは出ていません。
油揚げは油の酸化による劣化が心配な素材ですが、本事例では油の劣化なく商品化できています。凍結までの時間を短くし、素早く低温へ移すことが、油の風味を守るうえで重要です。
香りの成分は時間とともに揮発するため、凍結までの時間が長いほど失われます。急速な3D凍結®であれば、酢の風味を保ったまま凍らせられます。凍結後は低温で安定するため、本来の風味のまま届きます。
ロス削減や生産性向上を目的とした投資は、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金の対象になり得ます。公募回ごとの要件と締切は、KOGASUNの導入相談で最新情報をご確認ください。
まとめ:冷凍寿司の実現が、廃棄ロスと販売機会の損失を同時に解消した
寿司の難しさは、乾かしてはいけない素材と湿らせてはいけない素材が一つの商品に同居していることでした。必要なのは、素材の間で水分を動かさずに凍らせることでした。その一点を満たした結果、さば寿司・いなり寿司・巻寿司は三つの解凍法すべてに耐える商品となり、計画生産が廃棄ロスと販売機会の損失を同時に解消しています。売上増とコストダウンが同時に実現しました。冷凍が難しくて諦めていた商品がある方は、解凍まで含めた無料の凍結テストでお確かめください。機種選定や設置のご相談は、以下からお問い合わせください。







