磯焼けで藻場が消えた海は、魚が生まれ育つ場と、海藻が二酸化炭素を蓄えるブルーカーボンの働きを同時に失います。山口県防府市では、山口県漁協吉佐統括支店様が鋳鉄製の藻礁を沖に沈め、2024年6月の紙面時点で藻場の再生が進んでいました。あわせて、藻場を食い荒らす食害魚アイゴをフィレーに一次加工し、急速冷凍機「3Dフリーザー®」で凍結して商品として販売する資源化の取り組みも進めていました。本記事では、みなと新聞が報じた藻場再生の経過と、アイゴを商品化する凍結の考え方を解説します。
引用元:みなと新聞 2024年6月14日 掲載(社名・肩書は掲載当時のものです)
※本記事は、紙面で報じられた当時の内容をもとに、背景や現在の情報を補って読みやすく再構成しています。

結論:約60平方メートルの藻礁が2260平方メートルの藻場を生み、アイゴは急速冷凍機で商品になる
山口県漁協吉佐統括支店様は、防府市沖の約60平方メートルの鋳鉄製藻礁を起点に2260平方メートルの藻場を再生し、2023年度Jブルークレジットの認証を受けました。藻場を食い荒らすアイゴはフィレーに加工して3Dフリーザー®で凍結し、フライなどの加工品で採算を探る計画でした。紙面の内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載紙 | みなと新聞(2024年6月14日付・連載「ブルーカーボン 『海の森』から未来開く新産業へ」④) |
| 紙面の見出し | 鋳鉄製藻礁で藻場再生試験 山口県漁協 防府の海を「聖地」へ |
| 取り組み主体 | 山口県漁協吉佐統括支店様(山口県防府市) |
| 藻場再生の手法 | スクラップ鉄が主成分の鋳鉄製藻礁を沈設し、食害防止網と栄養剤で生育を支える |
| 事業費(2022年8月開始時) | 藻礁8基と潜水調査費などを含めて総額500万円 |
| 再生の成果 | 中浦漁港沖で沈設から2年、藻礁を起点に周囲まで藻場が拡大 |
| ブルーカーボン評価 | ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が2023年度のJブルークレジットとして認証(対象の二酸化炭素吸収量0.3トン) |
| 食害魚アイゴの対策(2024年当時) | 環境省「令和の里海づくり」のモデル事業として駆除し、商品化・収益化へ |
独自の高湿度3D冷気で魚を包み込んで一気に凍らせる3Dフリーザー®の凍結方式が、臭みの出やすいアイゴを商品に変える工程を支えます。
鋳鉄製の藻礁を沈設してから2年で藻場が拡大するまでの経過
取り組みは2022年8月に始まりました。山口県漁協吉佐統括支店様は、防府市の「防府市漁場環境整備事業」を軸に、山口県の「単県農山漁村整備事業」による補助も加えて、まず小型の藻礁を同支店が管轄する海域へ沈設しました。総事業費は、藻礁8基と潜水調査費などを含めて500万円だったと紙面は伝えています。
藻礁の素材は、スクラップの鉄を主成分とする鋳鉄です。開発したのは、一般社団法人鋳田籠(ちゅうたろう)工法協会(松村憲吾代表理事)です。基本型は縦横1メートル、高さ50センチの箱形で、底面を持たず、4つの側面と天端のふたをパネル枠で組みます。素材の鋳鉄は海中でも強靭で、耐食性に優れているのが特長だと紙面は伝えています。
中浦漁港沖では基本型を3段に積み、最下層の四面をパネル枠工で囲んだうえで、紙面が「トライアングル状」と表現する配置に据えました。枠工の間は、アイゴなどの食害を防ぐ高耐久ポリエステルの亀甲網「STKネット」で覆って保護しました。内部には、海藻の幼体が付いた石に加え、二価鉄イオンやケイ素を溶かし出す鋳鉄と竹炭の溶出体、トリゼンクオリティオーシャンズ(福岡市)が開発した固形の海藻栄養剤「MOFU」を収め、経過を観察しました。
半年後にはアカモクやクロメなどの海藻類、フジツボやマガキなどの付着生物が藻礁に付き、メバルの稚魚やアジ、イワシ類も寄り付いていました。紙面によれば、約60平方メートルの藻礁を起点に、設置から2年で周囲を含め2260平方メートルの藻場が形成されました。この実績をもとに、山口県漁協吉佐統括支店様はJBEから2023年度のJブルークレジットとして認証を受けました。吸収量は0.3トンとまだ小さいものの、手応えを得た山口県漁協吉佐統括支店様は、この事例に続く富海、野島の2つの地先でも2024年6月の紙面時点までに藻礁の設置を終え、クレジット量の増量に挑戦すると紙面は伝えています。
食害魚アイゴを駆除で終わらせず、商品として販売する理由
山口県漁協吉佐統括支店様は、2024年6月の紙面時点で、藻場を再び失わないための対策も並行して進めていました。環境省「令和の里海づくり」のモデル事業に位置づけられた取り組みで、磯焼けの一因となるアイゴを漁獲して商品に変え、収益まで生み出すことを目指していました。駆除そのものが藻場の保全になり、獲った魚が売れれば活動を続ける原資になります。
アイゴは鮮度が落ちると臭みが出る魚です。そこで、かご網で獲れる魚を中心にフィレーへ一次加工し、鮮度のよいうちに3Dフリーザー®で凍結して品質を保っていました。フライなどの加工品まで品目を広げ、直売店や量販店で販売して採算性を探る計画でした。
アイゴの駆除により藻場がさらに広がれば、対象海域はカーボンクレジットの申請も可能になります。山口県漁協吉佐統括支店様は地元の海を藻場のサンクチュアリ(聖地)と位置づけ、里海づくりを学べる場に育てる考えを示していました。
臭みが出る前に凍らせ切る:急速冷凍機「3Dフリーザー®」がアイゴの品質を守る仕組み
鮮度落ちの早い魚を商品にできるかどうかは、凍結までの時間と凍結の速さで決まります。最大氷結晶生成温度帯とは、食品の水分が最も氷になりやすいマイナス1〜マイナス5℃の範囲を指す言葉です。ここに長くとどまるほど氷の粒が大きく育って細胞を壊し、解凍時のドリップや食感の低下、目減りを招きます。
3Dフリーザー®は、独自の高湿度3D冷気で食品を多方向から包み込み、表面から中心まで均一に冷やして、この温度帯を短時間で通過させる急速冷凍機です。氷結晶が微細なまま凍結が進むため組織の傷みが小さく、アイゴのフィレーのように臭みと食感が売価を左右する商品でも、解凍後の品質低下を抑えられます。装置の仕組みは3Dフリーザーの仕組みと特長にまとめています。
アイゴのように漁期にまとまって水揚げされる魚を凍結する場合は、連続して運転できるかどうかも実務上の条件になります。冷却器への着霜が進むと霜取りのために運転を止めることになり、その間は凍結が進まないためです。着霜が起こりにくい構造についてKOGASUNが東京海洋大学と実施した検証は、3Dフリーザーの着霜軽減の実証報道で紹介しています。
無料の凍結テストで、未利用魚の急速冷凍後の仕上がりを確かめる
未利用魚が商品になるかどうかは、解凍した実物で判断するのが確実です。KOGASUNの凍結テストは無料です。フィレーやフライなど売りたい形のまま凍らせ、解凍後のドリップ量と目減り、食感、臭みや色、中心温度の到達時間を確かめられます。
テストで残る温度記録と仕上がりの比較は、直売店や量販店へ品質を説明する材料になります。詳しい申し込み手順は冷凍・冷却テスト・デモ相談で案内しています。
防府の藻場再生とアイゴの急速冷凍に関するよくある質問
部材の状態で運び、海底で組み立てられる構造だからです。パネル枠を漁船に積んで設置地先まで運び、そのまま海中へ投入したうえで、海底に沈んだ部品を潜水士らが組み立てるため、クレーンや起重機船を用意せずに比較的軽い作業で完工できます。開発元の一般社団法人鋳田籠工法協会によると、鋳鉄は原価こそ鉄よりも高額なものの、この工法によって施工費を格段に抑えられます。
海藻が光合成で二酸化炭素を取り込み、海の中に炭素をためるためです。この吸収量を第三者機関が算定・認証してクレジットにする仕組みがJブルークレジットで、防府市の藻場も認証を受けました。藻場の広がりを環境価値として示せる制度です。
使えます。独自の高湿度3D冷気で短時間に凍らせるため、鮮度が落ちやすく臭みや変色の出やすい魚ほど、水揚げ後すぐに凍結して品質を保つ効果が大きくなります。魚種や大きさ、フィレーの厚みで凍り方は変わるため、実際の魚での凍結テストで確かめるのが確実です。
藻場を食べて減らす食害魚を取り除くと海藻が回復し、その海域の二酸化炭素吸収量が増えるためです。防府市では、2024年6月の紙面時点で藻礁の設置と駆除を並行させて藻場を広げていました。吸収量が増えた分は新たなクレジットとして申請できるため、駆除は藻場の保全と環境価値の創出を同時に進める手段になります。
まとめ:藻場を再生しながら、食害魚アイゴを商品に変える
防府市の事例が示したのは、約60平方メートルという小さな起点でも、2年で2260平方メートルの藻場とJブルークレジットの認証に届くということでした。同時に、藻場を脅かすアイゴを駆除で終わらせず、フィレーに加工して凍結し、フライなどの商品に変えれば、活動を続ける原資になります。臭みの出やすい魚を商品にできるかどうかは、最大氷結晶生成温度帯をどれだけ短時間で通過させられるかで決まります。3Dフリーザー®は、独自の高湿度3D冷気で食品を包み込み、氷結晶を微細に保ったままこの温度帯の通過を短時間で終えられる急速冷凍機です。まずは実際に扱っている魚を、売りたい形のまま凍らせて解凍後の品質をお確かめください。カタログ請求やテストのご相談は、以下からお問い合わせください。
