
「しっとり感が以前と違います。原料を変えたのですか?」。製菓工場様に届いたこの問い合わせは、クレームではなく賞賛でした。変えたのは原料ではなく、焼成後の冷却工程です。本記事では、自然冷却を高湿度の3D急速冷却へ切り替えた導入事例に加えて、焼き菓子が冷めるだけでパサつく仕組みと、包装後にカビが出る理由まで解説します。
結論:スポンジケーキは高湿度の3D急速冷却で水分ロス7%以下になり、原料を変えず品質が向上した
製菓工場様は、焼成後の冷却を3Dフリーザー®のラックイン(パススルータイプ)へ切り替えました。庫内の湿度を保ちながら冷却する構造のため、冷却中の乾燥を抑え、水分ロスは7%以下に収まっています。顧客からは「原料を変えたのですか」と問われるほどのしっとり感が生まれました。価格そのままの品質向上が商品価値を押し上げ、新規取引の獲得につながっています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 製菓工場様(中規模以上の洋菓子工場) |
| 対象食材 | スポンジケーキ、カステラ、ブランデーケーキなど |
| 導入目的 | 生産効率の改善、歩留まりの改善 |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® ラックイン(パススルータイプ) |
| 導入の決め手 | 予備冷却なしで80〜90℃のまま投入でき、量産の処理量にも対応 |
課題:焼成後の自然冷却が、工場の無駄を生んでいた
中規模以上の洋菓子工場の製造工程は、トンネルオーブンでの焼成、冷却、デコレーション、カット、包装と流れます。ボトルネックは冷却でした。自然冷却や強制冷却では、焼きたての熱が工場内へ放たれ、仕上げ工程までのタイムロスも大きい状態でした。ラインの前後はつながっているのに、冷却だけが流れを止めていました。

複数社の急速冷却機を検討するなかで出会ったのが3Dフリーザー®です。投入前の予備冷却が不要で、80〜90℃の高温からそのまま投入でき、量産に足る処理量を備えています。この条件が決め手になりました。
なぜ焼き菓子は、冷めるだけでパサついてしまうのか
オーブンから出したばかりのスポンジは、たっぷりの水分を抱えて湯気を上げています。この湯気こそ、製品から抜けていく水分そのものです。
熱いものは、表面から水分を水蒸気として放出し続けます。焼き上がりから常温近くまで下がるあいだ、その放出は止まりません。冷めるまでの時間が長いほど、失われる水分は増えていきます。スポンジやカステラのようにきめの細かい生地は、この損失がそのまま口当たりの違いとして表れます。しっとりしていたはずの断面が、冷めきったときにはパサついています。原料も配合も変えていないのに味が落ちるのは、冷却という工程が水分を持ち去っているからです。
同社が従来、カット後のしっとり感を出すためにブランデーを噴霧してから包装していたのも、この損失を後から補うための工夫でした。逆に言えば、冷却で水分を失わなければ、補う必要はなくなります。
なぜ焼き菓子は、包装した後にカビが出てしまうのか
冷却にはもう一つ、見落とされがちな役割があります。包装できる状態まで、中心の熱を抜ききることです。
表面が冷えていても、厚みのある焼き菓子は中心にまだ熱を残していることがあります。この状態で袋に入れて閉じると、中心の熱で製品から出た水蒸気が袋の中にこもり、冷えた袋の内側で水滴になります。密閉された袋の中で、製品の表面はずっと湿ったままです。カビが発生しやすい条件がそろってしまいます。
冷却が不十分だったころ、包装後の結露によるカビが発生していたのは、この連鎖によるものでした。加えて、放冷している時間そのものが、空気中を漂う菌が製品に落ちてくる時間でもあります。冷却の遅さは、品質だけでなく衛生の弱点でもありました。
3D急速冷却が、焼き菓子のしっとり感と衛生を同時に守れる理由

冷却で損なわれるのは水分と衛生状態の二つです。対策もその二つに向ける必要があります。粗熱を早く取るだけなら、強い風を当てる冷却装置でも可能です。しかし乾いた強風は、焼きたての菓子から水分ごと熱を奪い、しっとり感を損ないます。3Dフリーザー®は、その両方に一つの工程で応えます。
しっとり感への答えは、冷気の湿度です。3Dフリーザー®は庫内の湿度を保ちながら冷却する構造のため、乾いた風のように製品から水分を奪いません。熱だけを奪って水分は残します。焼き上がり重量に対する冷却後の減少が7%以下という数字は、この性質から生まれています。
衛生への答えは、速さです。焼きたてから出る大量の水蒸気が冷却器へ霜として付くのを、KOGASUN独自のACVCS®が抑えます。

そのため80〜90℃の焼きたてをそのまま投入できます。予備冷却を挟まないので、水分が抜け続ける時間も、菌が落ちてくる時間も生まれません。しかもラックごと全方向から3D冷気を当てるため、厚みのある製品でも中心まで確実に温度が下がります。中心に熱を残さず包装できれば、袋の内側で水滴が生まれることもありません。
冷え方がそろうことは、品質の均一さにも直結します。ラックの手前と奥、上段と下段で冷気の量が違えば、冷却の速さもそこで変わります。冷却の遅い位置では中心温度が下がりきるまでの時間が延び、そのあいだ表面から水分が抜け続けます。同じ日に焼いた同じ製品なのにロット内でしっとり感がばらつく、という事態の原因です。3Dフリーザー®はどの面にも同じ量の冷気を届けるので、ラックのどの段でも、どの位置でも仕上がりがそろいます。
3Dフリーザー®は、高温のまま投入でき、製品を乾かさず、中心まで冷やしきる設備です。この三つが、冷却工程の品質を決めます。凍結・冷却方式による品質差は急速冷凍と通常冷凍の違いで解説しています。
品質:水分ロス7%以下、顧客が原料変更を疑ったしっとり感
導入の最大のメリットは、冷却中の乾燥を抑えられることでした。従来の冷却はパサつきがひどく、カット後のしっとり感を出すためにブランデーを噴霧してから包装する製品もあったほどです。3Dフリーザー®は庫内の湿度を保ちながら冷却するため、水分ロスを7%以下に抑えられます。


変化を証明したのは顧客の反応でした。1パック5カット200円という価格帯の商品で、「しっとり感が以前と違います。原料を変えたのですか?」という問い合わせが届いたのです。原料も価格もそのままで品質だけが上がったという事実が、商品価値を高め、新規取引の獲得につながりました。
効率:冷却時間の短縮が、生産効率と衛生を同時に改善した
冷却が速くなり、放冷のための待ち時間と場所が不要になったことで、工場スペースの有効活用が進み、生産効率は大幅に向上しました。効果は品質と効率だけではありません。冷却不足のまま包装したときに起きる結露、それによるカビの発生が皆無になり、クレームは激減しました。冷却中の落下菌などの衛生上の問題もなくなりました。

焼成から包装までの流れが止まらなくなったことで、冷却は工場のボトルネックから、品質をつくる工程へ変わっています。導入前後の変化をまとめます。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 冷却 | 自然・強制冷却で待ち時間が長い | 高温のまま投入し短時間で完了 |
| 品質 | 噴霧で補うほどのパサつき | 水分ロス7%以下のしっとり感 |
| 衛生 | 結露によるカビ・落下菌の懸念 | 結露によるカビ皆無・クレーム激減 |
| 取引 | 価格競争の中で横ばい | 品質向上が新規取引の獲得へ |
パン・菓子類のほかの実例はパン・菓子類の導入事例一覧で確認できます。
導入機種:搬入と搬出を分けるラックイン(パススルータイプ)
導入機種は、3Dフリーザー®のラックイン(パススルータイプ)です。前後両面の扉でオーブン側から入れて包装側へ出す一方通行の動線を組めるため、量産工場のラインに組み込みやすい構造です。ラックごと台車で投入でき、急速冷却と急速凍結を1台でこなします。仕組みの詳細は3Dフリーザーの特徴にまとまっています。

焼き菓子のしっとり感を確かめる:無料の凍結テスト
冷却工程を変えるだけで品質がどこまで変わるかは、自社の製品で確かめるのが確実です。KOGASUNの凍結テストは出張費を含めて無料です。焼きたてのスポンジやカステラを持ち込めば、次の項目を比較できます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 冷却前後の重量 | 焼き上がりと冷却後を量り、水分ロスの差を確かめる |
| 断面のきめ | カットしたときのきめの細かさと、しっとり感を見る |
| 中心温度 | 何分で包装できる温度まで下がるかを実測する |
| 包装後の結露 | 袋の内側に水滴が付いていないかを確かめる |
| 厚物の均一性 | カステラのような厚みのある製品で、中心と端の差を見る |
焼成直後の高温からのテストにも対応します。申し込みの流れは食品を持ち込める凍結テストでご確認ください。
焼き菓子の冷却・冷凍でよくある質問
変わります。パサつきの一因は、熱い製品が冷めるあいだに水分を水蒸気として放出し続けることです。冷める時間が長いほど失われる水分は増えます。3Dフリーザー®のように湿度を保った庫内で素早く冷やせば水分の逃げ道が減り、焼きたてのしっとり感を保てます。本事例では原料を変えずに水分ロス7%以下を達成し、品質が向上しました。
投入できる温度は、冷却器への着霜をどこまで抑えられるかで決まります。本事例では80〜90℃の高温のまま投入しています。予備冷却が不要になると、放熱スペースと待ち時間が消え、焼成から包装までの流れが止まりません。投入できる温度の上限は、ライン全体の設計を左右する分岐点です。
原因の多くは、中心に熱が残ったまま包装することです。残った熱で製品の水分が水蒸気となって出ていき、冷えた袋の内側で水滴になります。中心までしっかり冷やしてから包装すれば、この連鎖は起きません。冷却時間を短縮しながら中心温度を確実に下げられる設備が、品質と衛生の両方を守ります。
できます。本事例の対象はスポンジケーキ、カステラ、ブランデーケーキなどの量産品です。厚みのある製品は中心まで時間がかかるため、ラックごと全方向から均一に3D冷気を当てられる構造が向いています。
生産効率や歩留まりの改善を目的とした投資は、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金の候補になります。公募回ごとの要件と締切は、KOGASUNの導入相談で最新情報をご確認ください。
まとめ:冷却工程への投資が、価格を変えずに商品価値を高めた
同社が変えたのは冷却だけです。それでも、結露によるカビが消え、顧客が原料の変更を疑うほどのしっとり感が生まれました。パサつきの原因が冷める時間の長さに、カビの原因が残った熱にあると分かれば、どちらも冷却工程で防げます。同社は価格を上げずに品質で差をつけました。その最短ルートが焼成後の冷却工程にあることを示す事例です。自社の焼き菓子がどこまで変わるかは、無料の凍結テストで導入前に確かめられます。ラインへの組み込みや機種選定のご相談は、以下からお問い合わせください。







