
洋菓子メーカー様には、他社数社の急速冷凍機を試してもケーキの品質を再現できなかった経緯があります。ケーキは当日売り切りが前提の商品で、作りすぎれば廃棄、足りなければ欠品になります。加えて、職人の労働時間は延び続けていました。同社が解決策として選んだのは冷凍化でした。しかし、生クリームとチョコレートの冷凍は「不可能」とされてきた領域です。本記事では、他社数社のテストでは不可能だった品質再現を実現した導入事例に加えて、クリームに「す」が入る仕組みと、チョコレートが白くなる理由まで解説します。
結論:不可能とされた生クリームとチョコレートの冷凍が実現し、生産調整が可能になり欠品もなくなった
洋菓子メーカー様は、3Dフリーザー®ラックインタイプの導入で、デコレーションケーキやショートケーキ、チーズケーキの冷凍ストック化を実現しました。他メーカー数社の急速冷凍機では再現できなかった品質が、実証テストでは冷凍前と変わらない仕上がりで再現され、驚きの声とともに導入が決まりました。各店舗の売れ行きを見ながら生産調整できる体制になり、大幅なコストダウン、欠品ゼロによる販売機会ロスの解消、売上増につながっています。導入の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 洋菓子メーカー様 |
| 対象食材 | デコレーションケーキ、ショートケーキ、チーズケーキなど |
| 導入目的 | 生産改善、品質向上、コストダウン |
| 導入機種 | 3Dフリーザー® ラックインタイプ |
| 導入の決め手 | 実証テストで、冷凍前と変わらない再現性を確認できた |
課題:時短と廃棄ロス低減のため冷凍化を検討したが、他社機では品質を再現できなかった
労働時間の短縮と廃棄ロスの低減という二つを目的に、同社は冷凍による商品化を検討してきました。越えられなかったのは品質でした。他メーカー数社の急速冷凍機でテストを重ねても、ケーキの品質は再現できませんでした。

その前提を変えたのが、3Dフリーザー®の実証テストです。仕上がりは冷凍前と変わりませんでした。テストに立ち会った現場から驚きの声が上がり、導入が決まりました。
なぜ生クリームは、冷凍で「す」が入りボソボソになるのか
ホイップした生クリームの正体は、泡です。クリームを泡立てると、乳脂肪の粒どうしがつながり合って細かな網目を作り、その網目が無数の空気の粒を抱え込みます。ふんわりとした軽さと、なめらかな口どけは、この泡の構造が生み出しています。
泡立てた状態を支えているのは、乳脂肪の網目と、その間を満たす水分です。ゆっくり凍らせると、この水分は少しずつ一か所へ集まりながら大きな氷の粒に育ちます。育った氷は泡の壁を内側から押し破り、抱えていた空気を逃がしてしまいます。氷が溶けたあとには、氷が占めていた場所が粗い気泡として残ります。これが「す」です。空気の抜けたクリームは、なめらかさを失ってボソボソとした舌触りになり、支えを失った水分は表面ににじみ出します。
乾燥も重なります。凍結中に乾いた風が当たれば、クリームの表面から水分が抜け、つやを失って白っぽくかさついた層ができます。生クリームの冷凍が不可能とされてきたのは、この二つが同時に起きるからでした。
なぜチョコレートは、冷凍で白く曇るのか
チョコレートには、また別の弱点があります。冷やして戻すと表面が白っぽく粉を吹いたようになる、ブルームと呼ばれる現象です。
チョコレートの光沢と、口に入れた瞬間のなめらかな溶け方は、カカオバターの結晶が細かく整った状態から生まれます。ところが温度が上下すると、この結晶は少しずつ形を変え、脂肪分が表面へ浮き出てきます。浮き出た成分が光を乱反射して、白い曇りとして見えるのです。表面に水滴が付いた場合も、糖分が溶けて再び結晶化し、同じように白くざらつきます。
つまりチョコレートの光沢を損なうのは、凍結そのものよりも温度の揺らぎと結露です。ゆっくり冷やして中途半端な温度帯に長くとどめたとき、そして冷やした後に温度が揺らいだときに、カカオバター由来の光沢は失われていきます。
3D凍結®が、生クリームの泡とチョコレートの光沢を守れる理由

守るべきものは違っても、対策は共通しています。氷結晶を成長させないこと、乾かさないこと、そして中途半端な温度帯にとどめないことです。
数社の急速冷凍機で結果が出なかったように、凍結は速ければよいわけではありません。多くの機種は強い風で速さを得ますが、ケーキにとってはその風そのものが負担になります。
3Dフリーザー®は、3次元の冷気を多方向から均一に当てて凍らせます。このため氷が育つ温度帯を短時間で通り抜けられ、水分は微細な粒のまま固まります。泡の壁は破れず、空気は抱えられたままです。解凍後も、なめらかな口どけが保たれます。
泡のきめをロット全体でそろえるうえでは、凍る速さが位置によって変わらないことも欠かせません。風が一方向だけだと、風上のクリームは速く、風下は遅く凍ります。凍りきるまでの時間が長い場所ほど、氷は角の張った大きな粒に育って気泡を包む脂肪の膜を破ります。同じラックで凍らせたケーキでも仕上がりに差が出るのはこのためです。3D凍結®では冷気が立体的に回り込むので、どの段のケーキも同じ速さで凍り、粗大な結晶が育つ余地が残りません。
強い風を一方向から吹き付けないことも、ケーキには欠かせません。デコレーションを崩さず、絞り出した形もそのまま保てます。しかも冷気が湿り気を保っているため、クリームの表面から水分を奪いません。乾かなければ、かさついた層もできません。
チョコレートについては、この速さそのものが対策になります。中途半端な温度帯に置かれる時間が短いほど、カカオバターの結晶の乱れは起きにくくなります。ナッペ済みのケーキを続けて凍らせても冷気が乾かないのは、冷却器への着霜を抑えるKOGASUN独自のACVCS®によるものです。凍らせ方による品質差は急速冷凍と通常冷凍の違いで解説しています。
成果:生クリームとチョコレートのケーキが、品質を保ったまま商品になった
生クリームは「す」(気泡)や乾燥、チョコレートは白い曇り(ブルーム)が起きるため、冷凍は不可能と判断されてきた食材です。繊細な口どけが商品価値そのものであるため、わずかな劣化も致命的です。

3Dフリーザー®はケーキの形状も壊さず、この前提を覆しました。他社機で再現できなかった品質が、方式を変えるだけで実現し、商品化につながっています。
運用:ナッペとカットで凍らせ、果物は最後に飾る
冷凍ストックの持ち方にも実務の知恵があります。生クリームやチョコレートはナッペした状態で凍結します。ナッペとは、スポンジ台にクリームを塗って仕上げる工程のことです。ショートケーキはカットした状態でストックし、いちごなどの生鮮果物は出荷の最終段階でデコレーションします。

凍らせる部分と、直前に仕上げる部分を分けます。この設計により、鮮度が価値を決める果物の美しさと、冷凍ストックの計画性が両立しています。
経営:生産調整、欠品ゼロ、働き手の確保
各店舗の売れ行きを見ながら生産調整できるようになったことで、大幅なコストダウンが実現しました。欠品はなくなり、販売機会のロスも解消して、売上の増加に直結しています。

もうひとつの成果が人です。労働時間の短縮により、パートなど働き手の確保が容易になりました。深夜早朝に偏らない仕事は、採用の入口を広げます。導入前後の変化をまとめます。
| 観点 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 生産 | 当日売り切り前提で作る | 売れ行きを見て生産調整 |
| 販売 | 廃棄と欠品のはざま | 欠品ゼロで販売機会ロス皆無 |
| 労働 | 職人の長時間労働 | 時短でパートの採用が容易に |
| 品質 | 冷凍は不可能とされる | 冷凍前と変わらない再現性 |
焼き菓子の冷却工程を刷新した製菓工場様の導入事例もあわせてご覧ください。
導入機種:ケーキをラックごと凍らせるラックインタイプ
導入機種は、3Dフリーザー®のラックインタイプです。ナッペ済みのケーキやカットしたショートケーキをトレーに並べ、ラックごと台車で庫内へ運びます。デリケートなデコレーションに触れることなく、まとめて凍結できます。急速冷却と急速凍結は1台で完結します。仕組みの詳細は3Dフリーザーの特徴にまとまっています。

生クリームの口どけとチョコレートのつやを見極める:無料の凍結テスト
生クリームやチョコレート、ムースなど、冷凍を諦めてきた商品には、それだけ大きな伸びしろがあります。KOGASUNの凍結テストは費用も出張費も無料です。自社のケーキそのもので、次の項目を確かめられます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| クリームの口どけ | 解凍後になめらかさが残るか、ボソつかないかを実食で確かめる |
| 気泡の状態 | 断面に粗い「す」が出ていないかを見る |
| 表面のつや | クリームがかさついていないか、チョコが白く曇っていないかを見る |
| 形状 | 絞り出しやデコレーションが崩れていないかを確かめる |
| 解凍の条件 | 冷蔵解凍の時間を変えて、結露の出方を比べる |
他社機のテストで断念した経験があっても、結果は方式で変わります。申し込みの流れは食品を持ち込める凍結テストでご確認ください。
ケーキの冷凍でよくある質問
できます。ホイップクリームは脂肪の網が空気を抱えた泡の構造で、冷凍で起きる「す」は、育った氷がその壁を破って空気を逃がすことで生まれます。多方向から包み込む3D冷気で微細な氷のまま凍らせれば泡は保たれ、本事例では冷凍前と変わらない再現性を確認しています。
いちごなどの生鮮果物は凍らせず、出荷の最終段階で飾るのが本事例の運用です。ケーキ本体は冷凍ストックで計画生産し、果物のみずみずしさは直前のデコレーションで守ります。分業の設計が仕上がりを決めます。
包装したまま冷蔵庫でゆっくり戻すのが基本です。低温のまま解凍すればクリームがだれず、表面の結露も抑えられます。急な温度変化は水滴と型崩れ、そしてチョコレートの白い曇りの原因になるため、常温での解凍は避けてください。解凍条件の違いは無料の凍結テストでも比較できます。
有効です。余力のある時期にケーキ本体を作りためて3Dフリーザー®で凍結しておけば、繁忙期は仕上げと販売に集中できます。欠品と過剰生産の両方を抑えられるため、繁閑差の大きい洋菓子業と相性のよい仕組みです。
生産性向上や労働時間短縮の投資として、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金が候補になります。公募回ごとの要件と締切は、KOGASUNの導入相談で最新情報をご確認ください。
まとめ:生クリームとチョコレートを凍らせる技術が、洋菓子メーカーの欠品ゼロと生産調整を実現した
生クリームの「す」も、チョコレートの白い曇りも、氷の育ち方と温度の揺らぎが生む現象でした。原因が分かれば、凍らせ方で防げます。生産調整によるコストダウン、欠品ゼロの売上増、働き手を確保しやすい労働環境と、ひとつの実証テストから始まった変化が経営全体に及んでいます。冷凍を諦めてきた看板商品がある洋菓子の現場は、まず無料の凍結テストで再現性をお確かめください。機種選定や設置のご相談は、以下からお問い合わせください。







