
「とにかく初期費用を抑えたい」 「本格的な導入の前に、まずは中古で試してみたい」
設備投資を検討する際、魅力的な選択肢として浮かび上がるのが「中古品」です。新品に比べて圧倒的に安価な中古のトンネル型フリーザーは、特に予算が限られている企業や、スタートアップ企業にとって、大きな助けとなる可能性があります。
しかし、価格の安さだけで中古のトンネル型フリーザーに飛びつくのは非常に危険です。トンネル型フリーザーは、長年にわたり過酷な環境で稼働する精密な産業機械です。目に見えない部分の劣化や、過去の不適切な使用が、購入後の思わぬトラブルや高額な修理費に繋がるケースが後を絶ちません。
この記事では、中古のトンネル型フリーザーの購入で失敗しないために、専門家が必ずチェックする5つの重要ポイントを徹底解説します。「安物買いの銭失い」を避け、賢い設備投資を行うための羅針盤としてご活用ください。
▶ トンネル型フリーザー完全ガイド|仕組み・価格・選び方から17の疑問に答えます
Contents
なぜ中古はリスクが高いのか?
中古のフリーザーには、新品にはない特有のリスクが存在します。
•隠れた劣化: 外観は綺麗でも、断熱パネルの内部や、冷凍機のコンプレッサーなど、見えない部分が寿命を間近に迎えている可能性があります。
•サポートの欠如: 製造メーカーのサポートが終了していたり、交換部品が手に入らなかったりする場合があります。
•衛生上の問題: 以前の使用環境が悪く、分解洗浄しても取り切れない汚れや菌が潜んでいる可能性があります。
•性能の低下: 本来の冷却能力や省エネ性能が、経年劣化により大幅に低下していることがあります。
これらのリスクを理解した上で、慎重に個々の物件を見極める必要があります。
中古購入で失敗しないための5つのチェックポイント

1. 年式と稼働時間を確認する(耐用年数)
まず、その機械が「あと何年使えるのか」を把握します。
•法定耐用年数: 税法上の「食料品製造業用設備」の法定耐用年数は10年です。これはあくまで税務上の基準ですが、一つの目安になります。
•実質的な寿命: 適切なメンテナンスが行われていれば15年~20年稼働することも可能ですが、一般的には10年を超えた物件は要注意と考えましょう。
•稼働時間の確認: 制御盤のアワーメーターで、総稼働時間を確認します。年式が新しくても、24時間フル稼働していた機械は劣化が進んでいる可能性があります。
2. メンテナンス履歴を取り寄せる
人間で言えば「健康診断書」です。これまでの使われ方や健康状態を知る上で最も重要な書類です。
•定期点検記録: メーカーや保守業者が作成した定期点検の報告書があるか確認します。
•修理履歴: これまでにどのような故障があり、どの部品を交換したかの記録を確認します。特にコンプレッサーやファンモーターなどの主要部品の交換履歴は重要です。
•履歴がない物件は避ける: メンテナンス履歴が一切ない物件は、どのような使われ方をされてきたか不明であり、リスクが非常に高いため、避けるのが賢明です。
適切なメンテナンスがなぜ重要なのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応
3. メーカーサポートの可否を確認する
購入後に故障しても、修理できなければただの鉄の箱です。
•メーカーへの問い合わせ: その物件の型式と製造番号をメーカーに伝え、「現在も保守サポートの対象か」「交換部品の供給は可能か」を必ず確認してください。
•倒産・事業撤退したメーカー: 非常に安価で出回っていることがありますが、サポートが一切受けられないため、絶対に手を出してはいけません。
4. 主要コンポーネントの状態を実機で確認する
書類だけでなく、必ず実機を見て、触って、状態を確認します。
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| ①断熱パネル |
表面に大きな凹みや傷はないか? パネルの継ぎ目に隙間や錆はないか?(内部の断熱材が劣化している可能性) |
| ②冷却器(クーラー) | フィンに潰れや腐食はないか?(熱交換率が低下している可能性) |
| ③コンベア |
ベルトに破れや摩耗はないか? チェーンやローラーに錆やガタつきはないか? |
| ④制御盤 |
配線に焼け焦げた跡はないか? タッチパネルは正常に反応するか? |
| ⑤ドアパッキン | 硬化して弾力がなくなっていたり、切れていたりしないか?(冷気漏れの原因) |
5. 必ず「試運転」させてもらう
可能であれば、実際に電源を入れてもらい、動作を確認します。自動車の中古車選びで、エンジンをかけずに買う人がいないのと同じです。
•冷却テスト: 実際に温度が設定値まで下がるか、時間はどのくらいかかるかを確認します。
•異音・振動のチェック: 運転中に異音や異常な振動がないか、五感を使って確認します。
•コンベアの動作確認: スムーズに動き、速度調整が正常に行えるかを確認します。
中古のメリット・デメリットまとめ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ◎ 初期費用が圧倒的に安い | × 隠れた劣化のリスク |
| ○ 短納期で導入できる場合がある | × メーカーサポートが受けられない可能性 |
| × 最新の省エネ性能ではない | |
| × 衛生基準が古い可能性がある | |
| × 最適なカスタマイズができない | |
| × 補助金の対象外になることが多い |
まとめ:中古は選択肢の一つ。ただし、専門家との相談が必須
中古のトンネル型フリーザーは、初期投資を抑えられる大きな魅力がある一方で、安易に手を出すと大きな損失に繋がりかねない、ハイリスク・ハイリターンな選択肢です。
もし中古品の購入を検討する場合は、必ず冷凍設備の専門知識を持った信頼できるパートナーに相談し、物件の選定から状態のチェックまで、同行してもらうことを強くお勧めします。
【中古購入の鉄則】
1.価格だけで判断しない
2.メンテナンス履歴のない物件は避ける
3.メーカーサポートの可否を必ず確認する
4.必ず実機確認と試運転を行う
5.専門家の意見を聞く
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