トンネル型フリーザーのサイズ・容量の選び方|生産量に合わせた計算方法

トンネル型フリーザーの導入を検討する際、最も重要な決定事項の一つが「サイズと容量」です。自社の生産計画に対して小さすぎる「アンダースペック」な機械を選んでしまえば、生産のボトルネックとなり機会損失を生みます。逆に、大きすぎる「オーバースペック」な機械は、無駄な初期投資とランニングコストを招き、経営を圧迫します。

「自社には、どのくらいの処理能力が必要なんだろう?」 「コンベアの幅や長さは、どうやって決めればいい?」 「機械全体の寸法は、どのくらいになるのだろう?」

この記事では、トンネル型フリーザーのサイズ・容量を選定する上で不可欠な「処理能力(kg/h)」「コンベア寸法」の基本的な計算方法を、分かりやすく解説します。この計算式を理解することで、メーカーとの打ち合わせもスムーズに進み、自社の生産計画に完璧にフィットした、費用対効果の高い一台を選ぶことができるようになります。

失敗しないフリーザー選びの全体像については、こちらの記事も併せてご覧ください。

トンネル型フリーザーの選び方|失敗しないための5つの重要ポイント

ステップ1:必要な「凍結処理能力(kg/h)」を計算する

まず、1時間あたりに何キログラムの製品を凍結させる必要があるのかを計算します。これがすべての基本となります。

計算式: 1日の総生産量(kg) ÷ 1日の稼働時間(h) = 必要な処理能力(kg/h)

【計算例】

•1日の生産目標:コロッケ 8,000個

•コロッケ1個あたりの重量:80g (0.08kg)

•1日の総生産重量:8,000個 × 0.08kg = 640kg

•フリーザーの稼働時間:8時間

必要な処理能力 = 640kg ÷ 8h = 80kg/h

この場合、「80kg/h」以上の処理能力を持つフリーザーが必要となります。将来的な増産計画がある場合は、その分を見越して1.2~1.5倍程度の余裕を持たせた能力(例: 100kg/h)を選定するのが一般的です。

ステップ2:必要な「コンベア面積」を計算する

次に、ステップ1で算出した処理能力を満たすために、どのくらいのコンベア面積が必要になるかを計算します。

2-1. コンベア上の製品密度(kg/m²)を求める

コンベアの1平方メートルあたりに、何キログラムの製品を載せられるかを計算します。

計算式: 製品1個の重量(kg) ÷ 製品1個あたりの占有面積(m²) = 製品密度(kg/m²)

※製品同士の間隔も考慮して、少し余裕を持った占有面積で計算するのがポイントです。

【計算例】

•製品:ハンバーグ(直径10cmの円形)

•製品1個の重量:120g (0.12kg)

•製品1個あたりの占有面積:0.12m × 0.12m = 0.0144 m² (間隔を考慮し、12cm四方の正方形と仮定)

製品密度 = 0.12kg ÷ 0.0144m² = 8.33 kg/m²

2-2. 必要なコンベア面積(m²)を求める

製品密度が分かれば、必要なコンベアの総面積を計算できます。

計算式: 必要な処理能力(kg/h) ÷ 製品密度(kg/m²) × 凍結時間(h) = 必要なコンベア面積(m²)

※凍結時間は、製品の種類、厚み、目標とする中心温度によって大きく異なります。メーカーのテストキッチンで実測するのが最も確実です。

【計算例】

•必要な処理能力:100kg/h

•製品密度:8.33 kg/m²

•凍結時間:20分(約0.33時間)

必要なコンベア面積 = 100kg/h ÷ 8.33kg/m² × 0.33h = 3.96 m²

この場合、フリーザーの庫内に、常に約4m²以上のコンベア面積が存在している必要がある、ということになります。

ステップ3:コンベアの「幅」と「長さ」を決める

必要なコンベア面積が分かったら、それを実現するためのコンベアの幅と長さを決定します。

計算式: コンベア幅(m) × コンベア有効長(m) = 必要なコンベア面積(m²)

•コンベア幅: 前後の生産ラインのコンベア幅と合わせるのが一般的です。また、製品を何列で流すかによっても決まります。(例: 600mm, 900mm, 1200mmなど)

•コンベア有効長: 必要なコンベア面積と、選択したコンベア幅から算出されます。

【計算例】

•必要なコンベア面積:4 m²

•選択したコンベア幅:0.9m

必要なコンベア有効長 = 4m² ÷ 0.9m = 約4.44m

この結果から、「コンベア幅900mm、機長(フリーザーの長さ)5m程度」のトンネル型フリーザーが候補となります。

まとめ:計算はあくまで目安。最後はプロとの相談が不可欠

今回ご紹介した計算方法は、自社に必要なフリーザーのサイズ・容量を把握するための、あくまで基本的な考え方です。

ステップ 計算すること 計算式
1 必要な処理能力 1日の総生産量 ÷ 稼働時間
2 必要なコンベア面積 処理能力 ÷ 製品密度 × 凍結時間
3 コンベアの幅と長さ 面積 ÷ 幅 = 長さ

実際には、製品の形状、包装形態、熱量、工場のレイアウトなど、様々な要素が複雑に絡み合います。特に「凍結時間」は、製品の品質と生産性を左右する最も重要なパラメータであり、これは実機でテストしてみないと正確には分かりません。

オーバースペックによる無駄な投資や、アンダースペックによる機会損失を避けるためにも、自己判断で仕様を決めてしまうのは危険です。

KOGASUNでは、お客様の生産計画や製品について詳しくヒアリングさせていただいた上で、最適なサイズ・容量を算出いたします。また、無料の凍結テストを通じて、実際の製品で最適な凍結時間や品質を確認し、計算だけでは分からないリアルな数値を基に、完璧にカスタマイズされた一台をご提案します。

「うちの工場にぴったりのサイズは?」「この製品、どのくらいで凍る?」 そんな疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。

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