【水産事業者向け】急速冷凍機のメリット解説!品質向上と販路拡大

豊漁時の価格下落や人手不足、そして鮮度劣化によるフードロスは、多くの水産事業者が日々直面している深刻な課題ではないでしょうか。せっかく獲れた海の恵みを、最高の状態で消費者に届けたいという強い思いがありながらも、現実には様々な壁にぶつかっているのが現状かもしれません。

本記事では、そのような水産事業者の皆様が抱える悩みを解決に導く「急速冷凍機」について詳しく解説します。急速冷凍技術は、単なる魚の冷凍保存の手段ではありません。それは、獲れたての品質を維持し、新たな販路を開拓し、ひいては事業の安定化と収益向上を実現するための「戦略的な投資」となり得ます。

水産事業者が抱える課題|急速冷凍機が解決の鍵に

水産事業は、豊かな自然の恩恵を受ける一方で、多くの経営課題に直面しています。特に、漁獲量の変動や市場価格の不安定さ、そして鮮度保持の難しさは、長年の懸案事項です。

例えば、特定魚種が大量に水揚げされる「豊漁時」には、市場の供給過多により魚価が暴落し、「豊漁貧乏」と呼ばれる現象に陥ることが少なくありません。また、生鮮魚介類は時間とともに鮮度が急速に落ちるため、販売機会を逃すと品質が低下し、最終的には廃棄せざるを得ない「フードロス」が発生するリスクが常に伴います。さらに、地理的な制約から遠隔地の市場や海外への販路拡大を阻む「鮮度の壁」も大きな課題です。新鮮な状態での輸送はコストがかさみ、品質維持も困難を伴うため、販路を限定せざるを得ない状況が生まれています。

加えて、水産加工や選別作業は労働集約的な側面が強く、高齢化や若者の漁業離れが進む中で「人手不足」は深刻化の一途を辿っています。これらの複雑な課題は、水産事業者の経営を圧迫し、将来への不安材料となっています。しかし、これらの課題の多くは、急速冷凍技術を導入することで解決の糸口を見つけることが可能です。

急速冷凍とは?従来の冷凍との決定的な違い

急速冷凍とは、単に食品を速く凍らせることではありません。食品本来の品質を損なうことなく、長期保存を可能にするための「高度な凍結技術」を指します。水産事業者様にとって、この技術を理解することは、獲れたての鮮度を維持し、加工品の品質を向上させる上で不可欠です。

従来の冷凍方法では、食品の品質が大きく損なわれることが一般的でした。しかし、急速冷凍は、魚介類の細胞組織を極力壊さずに凍結させることを可能にします。この品質を左右する鍵となるのが「最大氷結晶生成帯」と呼ばれる温度帯です。この温度帯をいかに素早く通過させるかが、従来の冷凍との決定的な違いを生み、最終的な製品の品質を大きく左右します。

「最大氷結晶生成帯」の通過時間が品質を左右する

前章で触れた「最大氷結晶生成帯」とは、食品に含まれる水分が氷に変化する温度帯のことで、具体的には約-1℃から-5℃の間を指します。この温度帯で食品がゆっくりと凍結すると、水分が時間をかけて大きな氷の結晶へと成長してしまいます。例えば、魚の身を想像してみてください。ゆっくり凍らせることで、細胞の内側で大きくなった氷の結晶が、柔らかい細胞膜を物理的に突き破ってしまうのです。

急速冷凍の技術的な核心は、この最大氷結晶生成帯を極めて短時間、具体的には30分以内に通過させることにあります。この速度で凍結することで、水分は細胞内で非常に小さく、均一な氷の結晶として生成されます。まるで微細な砂粒のように細胞全体に散らばるため、細胞膜を破壊することなく、食品の組織を健全な状態で保つことが可能になるのです。この通過時間の短さが、解凍後の食品の品質を左右する最も重要な要素となります。

従来の緩慢冷凍で品質が落ちる理由:ドリップの発生

従来の緩慢冷凍では、最大氷結晶生成帯をゆっくりと通過するため、前述の通り食品の細胞内で大きな氷の結晶が形成されます。この大きな氷結晶が、魚の細胞膜を内部から破壊してしまうことが、品質低下の主な原因です。細胞膜が破壊されると、その内側に保持されていた水分や栄養素、旨味成分が細胞の外へと漏れ出しやすい状態になってしまいます。

その結果、食品を解凍した際に、破壊された細胞から赤みを帯びた水分が流れ出てしまいます。これが、水産事業者様が「ドリップ」と呼ぶ現象です。ドリップには、魚が本来持つ旨味成分や栄養分が大量に含まれているため、ドリップが多く発生するほど、食品は風味を失い、食感もパサつき、さらには重量が目減りするといった直接的な損失につながります。これが、緩慢冷凍で品質が著しく落ちる最大の理由なのです。

急速冷凍が「獲れたて」の品質を保つ仕組み

急速冷凍では、最大氷結晶生成帯を高速で通過させるため、食品の細胞内に形成される氷の結晶が極めて微細になります。これらの微細な氷結晶は、細胞膜を傷つけることなく、細胞の形状や構造を保ったまま凍結させることを可能にします。

細胞が破壊されないため、解凍時にもドリップの流出を最小限に抑えることができます。これにより、魚介類が持つ本来の旨味成分や栄養素がしっかりと細胞内に保持され、獲れたてと変わらないジューシーな食感、豊かな風味、そして鮮やかな色合いを維持することが可能になります。消費者に高品質な製品を提供できることはもちろん、水産事業者様にとっては、品質の安定による高単価販売やブランド価値の向上に直結する大きなメリットとなります。

【メリット徹底解説】急速冷凍機が水産事業にもたらす7つの変革

急速冷凍機の導入は、単に魚を凍らせて保存するだけではありません。この技術は、水産事業の収益構造を根本から改善し、新たな市場の開拓を可能にし、さらには働き方改革にまで貢献する、まさに「変革」をもたらす戦略的投資です。これからご紹介する7つの具体的なメリットを通じて、急速冷凍機がどのように貴社の未来を力強くサポートするのかをぜひご検討ください。

メリット1:獲れたての鮮度と品質を維持し、ブランド価値を向上させる

急速冷凍機を導入する最大のメリットは、獲れたての鮮度と品質を限りなくそのまま維持できる点にあります。従来の冷凍では避けられなかったドリップの発生が極めて少なく、解凍後も生に近いみずみずしい食感と豊かな風味を保つことが可能です。例えば、透明感のある白身魚の刺身や、プリッとした食感のエビなど、冷凍品でありながら「獲れたて同然」と感じさせる品質は、消費者や取引先からの揺るぎない信頼を築き上げます。

このような高品質な製品を提供し続けることで、「あの会社の冷凍魚は他とは違う」という確固たる評判が確立されます。これにより、価格競争に巻き込まれることなく、高単価での販売が可能となります。結果として、自社ブランドの価値は飛躍的に向上し、品質の高さが新たな顧客を呼び込む好循環が生まれるのです。

メリット2:出荷調整で収益を最大化!豊漁時の価格暴落を回避

水産事業において長年の課題とされてきたのが「豊漁貧乏」です。特定の魚種が一度に大量に水揚げされると、市場価格が暴落し、せっかくの豊漁が収益に結びつかないという状況に陥りがちでした。しかし、急速冷凍機を導入することで、この課題を根本的に解決し、年間を通じた収益の最大化が実現します。

豊漁で価格が低迷している時期に、高品質を保ったまま冷凍ストックしておくことで、需要が高まる時期や漁獲量が減少する不漁期に高値で販売することが可能になります。これにより、季節や市場の変動に左右されにくい安定した収益構造を確立でき、経営の安定化に大きく貢献します。また、計画的な出荷調整は、市場全体の供給バランスを安定させ、地域全体の漁業経済にも良い影響をもたらすでしょう。

メリット3:「鮮度の壁」を越え、国内遠隔地・海外への販路拡大を実現

従来の生鮮流通では、鮮度保持の観点から遠隔地への販売は困難でした。しかし、急速冷凍技術は、この「鮮度の壁」を完全に打ち破ります。高品質な冷凍品であれば、これまで流通の難しかった大都市圏の高級レストランや、遠く離れた地域のスーパーマーケットなど、国内の新たな販路を積極的に開拓できます。

さらに、急速冷凍品は海外市場への扉を開く鍵となります。日本の高品質な水産物は世界中で高く評価されており、適切な冷凍技術と国際的な衛生基準(例:EU-HACCP)への対応を組み合わせることで、付加価値の高い商品を世界市場へ安定して供給することが可能になります。これは、国内市場の縮小が懸念される中で、水産事業が持続的に成長するための非常に重要な戦略となるでしょう。

メリット4:規格外品や未利用魚を高付加価値化し、フードロスを削減

水産業界では、サイズが不揃いな「規格外品」や、漁獲されても市場価値が低く扱われにくい「未利用魚」が、品質には問題がなくとも流通に乗らずに廃棄されてしまうケースが少なくありませんでした。これは貴重な水産資源の無駄であるだけでなく、事業の収益機会の損失にも繋がります。急速冷凍機は、これらの水産資源を有効活用し、新たな収益源へと転換させる大きな可能性を秘めています。

品質の良い規格外品や未利用魚を急速冷凍することで、加工品の原料として利用したり、新たなブランド商品として開発・販売したりすることが可能になります。例えば、これまで価値がつきにくかった魚をフィレ加工して冷凍し、学校給食や惣菜メーカー向けに販売するなど、これまでは考えられなかった用途が生まれます。これは、社会的な課題であるフードロスの削減に貢献するだけでなく、事業の収益性を高め、持続可能な漁業の実現に繋がる重要な取り組みとなるでしょう。

メリット5:計画生産で業務を平準化し、人手不足に対応

水産業は、漁獲量や加工量が特定の時期に集中しやすく、季節的な人手不足に悩まされることが多い業界です。繁忙期には従業員の労働負荷が過度に高まり、閑散期には業務量が減少するといった、業務の偏りが大きな課題となっています。急速冷凍機の導入は、この人手不足問題に対する有効な解決策となり、業務の平準化を実現します。

豊漁期や漁が集中する時期に、獲れた魚を高品質な状態でまとめて加工・急速冷凍し、ストックしておくことができます。これにより、閑散期にその冷凍在庫を用いて、ラベル貼りやパッケージング、小分け作業、出荷準備などを行うといった「計画生産」が可能になります。年間を通じて従業員の労働負荷を均一化できるため、繁忙期に一時的に人を増やす必要が減り、安定した雇用環境の構築にも寄与します。これは、従業員の定着率向上や採用コスト削減にも繋がるメリットです。

メリット6:在庫管理を最適化し、安定供給とコスト削減を実現

急速冷凍機を導入することで、高品質な冷凍在庫を安定して保有できるようになり、在庫管理の最適化が可能になります。これにより、例えば天候不順による不漁時でも、事前に確保しておいた冷凍在庫を活用することで、顧客への「安定供給」を維持できます。これは取引先からの信頼を高め、長期的なパートナーシップを築く上で極めて重要な要素となります。

また、計画的な生産と出荷が可能になることで、無駄な運送コストや、急な発注によるスポットでの高額な輸送費、長期保管による品質劣化のリスクを削減できます。サプライチェーン全体の効率が向上し、結果として全体的なコスト削減に繋がります。適切な在庫戦略は、市場変動に対するレジリエンス(回復力)を高め、事業経営の安定性を一層強化するでしょう。

メリット7:衛生管理を強化し、食の安全・安心を提供(アニサキス対策・HACCP対応)

近年、消費者の「食の安全・安心」に対する意識はますます高まっています。特に魚介類においては、寄生虫であるアニサキスへの対策が事業者にとって大きな課題の一つです。急速冷凍機による適切な冷凍処理は、このアニサキス対策に極めて有効な手段となります。具体的には、-20℃以下で24時間以上の冷凍を行うことで、アニサキスを完全に死滅させることが可能です。

さらに、急速冷凍は細菌の増殖を効果的に抑制し、製品の鮮度を長く保つことで、食品全体の安全性を高めます。これにより、HACCP(ハサップ)のような国際的な衛生管理基準を導入する際にも、急速冷凍プロセスは重要な管理点(CCP)として位置づけられ、より強固な衛生管理体制の構築に貢献します。安心・安全な製品を提供できることは、消費者からの信頼獲得はもちろんのこと、国内外の新たな販路開拓においても強力な武器となるでしょう。

【失敗しない】水産事業者が業務用急速冷凍機を選ぶ3つのポイント

高額な設備投資となる急速冷凍機の導入は、水産事業者様にとって大きな決断です。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、導入前にしっかりと検討し、自社に最適な一台を選ぶことが何よりも重要になります。ここでは、急速冷凍機選びで失敗しないために、特に押さえておくべき3つの重要なポイントを詳しく解説いたします。自社の製品や経営状況に本当に合うのか、投資に見合う効果が得られるのか、そして導入後のサポートは万全なのかという視点から、具体的な検討ステップへと進むためのヒントを提供します。

ポイント1:凍結する水産物との相性で選ぶ(凍結テストの重要性)

急速冷凍機を選ぶ上で最も大切なのは、自社が主に扱う水産物との「相性」です。一口に魚と言っても、脂の乗り具合(ブリやサンマなどの青魚と、タイやヒラメなどの白身魚)、身の柔らかさ、さらに丸魚か切り身か、あるいは殻付きの貝類かといった形状によって、最適な凍結方法は大きく異なります。例えば、繊細な身質の魚には細胞破壊を最小限に抑える液体凍結や窒素凍結が向いているかもしれませんし、大量の丸魚を処理するならエアブラスト式が効率的です。

この相性を見極める上で不可欠なのが「凍結テスト」です。多くの急速冷凍機メーカーでは、導入を検討している事業者様のために、自社の製品を持ち込んで実際に凍結を試せるテストサービスを提供しています。このテストを必ず利用し、解凍後の製品の品質、例えば身崩れの有無、ドリップの量、食感、色合い、風味などを、ご自身の目と舌でしっかりと確かめてください。複数のメーカーの機種でテストを行い、比較検討することで、投資失敗のリスクを格段に減らし、自社の製品を最高の品質で顧客に届けるための最適な一台を見つけることができます。

ポイント2:導入・運用コストの費用対効果で選ぶ

急速冷凍機の導入を検討する際、多くの方がまず初期の購入費用(イニシャルコスト)に目が行きがちですが、本当に重要なのはその後の「運用コスト」も含めたトータルでの費用対効果です。電気代などのランニングコスト、定期的なメンテナンス費用、そして将来的な部品交換費用なども含めて、長期的な視点で比較検討する必要があります。機種によってはイニシャルコストは安くても、ランニングコストが高くつくケースや、逆に初期費用は高くても省エネ性能に優れ、長い目で見れば経済的な機種もあります。

また、このコストに対して、導入によってどのくらいのリターンが見込めるのかを具体的にシミュレーションすることも極めて重要です。例えば、品質向上による販売単価のアップ、フードロス削減による廃棄ロスの減少、販路拡大による売上の増加額などを具体的に算出してみてください。補助金や助成金制度の活用、あるいはリース契約や中古市場の活用など、導入コストを抑える選択肢も視野に入れ、多角的に検討することで、自社の経営に最も貢献する投資計画を立てることが可能になります。

ポイント3:設置スペースとメーカーのサポート体制で選ぶ

急速冷凍機の導入は、設置スペースの確保から始まります。工場の限られたスペースに本体だけでなく、関連するコンプレッサーや配管、冷却塔などが無理なく収まるか、事前にメーカーや施工業者と綿密な打ち合わせが必要です。また、必要な電源容量が確保できるか、給排水設備は十分かといった物理的な制約も確認しておきましょう。これらの条件が合わない場合、大規模な改修工事が必要となり、想定外の費用が発生する可能性もあります。

さらに、導入後の安心感を大きく左右するのが「メーカーのサポート体制」です。高額な設備投資だからこそ、長期的なパートナーとして信頼できるメーカーを選ぶことが成功の鍵となります。具体的には、設置時の立ち会いや操作指導、従業員へのトレーニング、万が一のトラブル発生時の迅速な対応、定期的なメンテナンスサービスの有無などをしっかりと確認してください。地域に根差したサポート体制や、担当者の専門知識や対応力なども、安心して運用を続ける上で非常に重要な要素となります。

【種類別】業務用急速冷凍機の特徴と水産物への適性

業務用急速冷凍機と一口に言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれ得意とする凍結方式や適した水産物が異なります。自社で扱う魚種や生産量、目指す品質、そして予算に応じて最適な一台を選ぶためには、それぞれの凍結方式の特性を理解しておくことが重要です。この章では、代表的な凍結方式とその水産物への適性について詳しくご紹介します。各方式の特徴を比較検討することで、貴社のビジネスに最も貢献する急速冷凍機を見つける手助けとなれば幸いです。

エアブラスト凍結:汎用性が高く様々な魚種に

最も一般的で広く普及しているのが、このエアブラスト凍結(冷風凍結)です。マイナス30℃からマイナス40℃といった強力な冷風を庫内に吹き付け、対象物を一気に凍結させる仕組みです。この方式の最大のメリットは、その汎用性の高さにあります。

丸魚から切り身、すり身などの加工品まで、様々な形状や種類の水産物に対応できるため、多くの水産事業者にとって導入を検討する際の第一の選択肢となります。バッチ式でラックに並べた魚を凍結するタイプや、コンベアで連続的に製品を送りながら凍結するトンネルフリーザーなど、生産量や設置スペースに応じて様々な機種が提供されています。

液体凍結:個包装品やむき身の凍結に

液体凍結(リキッドフリーザー)は、アルコールやブライン液などの冷却媒体に直接製品を浸して凍結させる方式です。空気よりも熱伝導率が高い液体を使うため、エアブラスト凍結よりもさらに高速での凍結が可能となります。

特に、真空パックされた切り身や、エビ、カキのむき身、ホタテの貝柱など、水分が多くデリケートな製品の凍結に適しています。

窒素凍結:希少価値の高い付加価値の高い商品に

窒素凍結は、マイナス196℃という極低温の液体窒素の気化熱を利用して、文字通り瞬間的に製品を凍結させる方式です。凍結速度が非常に速いため、氷の結晶が極めて微細に抑えられ、食品の細胞破壊がほとんど発生しません。これにより、「獲れたて」と遜色のない最高の品質を維持できる点が最大のメリットと言えます。

しかし、液体窒素のコストが高価であるため、ランニングコストも高くなる傾向があります。そのため、ウニや高級魚の寿司ネタ、希少価値の高いエビなど、特に付加価値の高い商品や、細胞が壊れやすいデリケートな製品の凍結に限定して使用されることが多いです。

コンタクト凍結:加工品など均一な形状の製品に

コンタクト凍結(プレートフリーザー)は、金属製の冷却板で製品を上下から挟み込み、直接接触させて熱を奪い凍結させる方式です。熱伝導効率が非常に高く、短時間で凍結できるのが特徴です。この方式は、凍結ムラが少なく、均一な品質に仕上げやすいというメリットもあります。

ただし、製品を冷却板で挟むという構造上、形状が平らで均一な水産加工品に適しています。例えば、すり身や魚の切り身をブロック状に凍結するような、大量生産される製品の凍結に多く用いられます。立体的な形状の魚介類には適さないため、用途が限られる点には注意が必要です。

3D凍結:汎用性が高く様々な魚種を高品質に

3D凍結は、比較的新しい凍結技術として注目されています。従来のエアブラスト凍結のように冷風を当てるだけでなく、湿度を保ちながら全方位から製品を包み込むように均一に冷却することで、食品の乾燥(冷凍焼け)を最小限に抑えつつ、ムラなく高品質に凍結できるのが特徴です。独自の冷却技術により、液体凍結や窒素凍結のように食品に急激な温度変化を与えず表面温度と中心温度をバランスよく均一に凍結させることで細胞へのダメージをさらに低減し、ドリップの発生を抑制します。

エアブラスト凍結の持つ汎用性の高さと、窒素凍結に匹敵するような高品質な仕上がりを両立できる選択肢として、多様な水産物に高いレベルで対応できます。特に、魚本来の旨味や食感を損なわずに冷凍したい場合に有効で、高付加価値な製品づくりを目指す事業者におすすめの方式です。

▼実際に3Dフリーザーをお使いいただいている水産加工様の導入事例▼

急速冷凍機の導入成功事例【水産業界編】

急速冷凍機が水産事業にもたらす変革について、理論や仕組みをここまで解説してきましたが、実際の現場でどのような成果に結びついているのか、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。このセクションでは、急速冷凍機を導入することで、これまで抱えていた課題をどのように解決し、事業を成功に導いたのかを、異なる業態の3つの実例を通してご紹介します。これらの事例から、自社の状況と照らし合わせながら、急速冷凍機導入後の未来を具体的に想像するヒントを見つけていただけると幸いです。

事例1:【漁業協同組合】旬の魚を通年出荷し、地域のブランド化に成功

とある地域の漁業協同組合では、特定の時期に特定の魚種が大量に水揚げされる「豊漁」が、必ずしも喜ばしいことばかりではありませんでした。せっかくたくさんの魚が獲れても、市場価格が暴落してしまい、漁師さんたちの収入が不安定になるという長年の課題を抱えていたのです。水揚げされた鮮魚は急いで出荷しなければならず、ゆっくりと加工する時間もありませんでした。

そこで、この漁協は急速冷凍機の導入を決定しました。旬の時期に水揚げされた魚を、獲れたての鮮度と品質を保ったまま急速冷凍し、ストックすることにしたのです。結果として、価格が不安定だった豊漁時の魚も安定した価格で出荷できるようになり、漁師さんたちの収入は大きく安定しました。高品質な冷凍品が一年を通して流通することで、地域ブランドとしての認知度と信頼性も向上し、地域経済の活性化にも貢献しています。

事例2:【水産加工会社】海外輸出を実現し、売上が前年比150%アップ

国内市場の縮小傾向を見据え、海外への販路拡大を目標としていた水産加工会社がありました。しかし、生鮮品での輸出は鮮度保持の難しさや物流コストの高さから断念せざるを得ず、既存の冷凍技術では海外の厳しい品質基準や顧客の求める高水準な鮮度感をクリアできずにいました。まさに「鮮度の壁」に阻まれ、海外展開の道が閉ざされている状況だったのです。

この会社は、高性能な急速冷凍機を導入するとともに、国際的な衛生管理基準であるHACCP認証も取得しました。これにより、解凍後も獲れたてに近い品質を維持できる冷凍品を安定して生産することが可能になりました。現地の高級レストランやホテル、富裕層向けの小売店が求める高い品質基準を満たしたことで、アジア諸国や欧米への輸出が本格化。結果として、海外からの受注が急増し、全体の売上は前年比150%アップを達成しました。急速冷凍機は、まさにグローバル市場への扉を開く鍵となったのです。

事例3:【養殖業者】高付加価値な冷凍商品を開発し、ECサイトで販路拡大

特定の魚種の養殖を営む事業者は、これまで育てた魚を主に活魚や鮮魚として市場や仲卸業者に卸していました。安定した生産はできていたものの、常に市場価格に左右されるため、事業の収益性に限界を感じていました。中間マージンの問題や、自分たちの魚の価値を直接消費者に伝えられないことに課題意識を持っていたのです。

そこで、この養殖業者は急速冷凍機を導入し、自社でフィレ加工や味付けを施した高付加価値な冷凍商品の開発に着手しました。養殖段階から徹底した品質管理を行っているため、急速冷凍によってその高品質を維持したまま、切り身や加工品として販売できるようになったのです。さらに、自社でECサイトを立ち上げ、消費者への直接販売(D2C)を開始。中間業者を介さないことで利益率が向上しただけでなく、商品のこだわりや生産者の想いを消費者に直接届けられるようになり、多くのファンを獲得することに成功しました。急速冷凍は、養殖業者が自らの手でブランドを築き、新たな収益源を確保するための強力なツールとなったのです。

導入コストを抑えるには?補助金・助成金の活用も検討しよう

急速冷凍機の導入は、水産事業の未来を大きく変える可能性を秘めていますが、高額な設備投資となるため、初期費用に不安を感じる経営者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、ご安心ください。国や都道府県、市町村といった公的機関では、中小企業の設備投資を支援するための様々な補助金や助成金制度が用意されています。

例えば、代表的なものとしては、中小企業庁が実施する「ものづくり補助金」や、事業構造の転換を支援する「事業再構築補助金」などがあります。これらは、急速冷凍機の導入が生産性向上や新たな事業展開に繋がる場合に適用される可能性があります。また、農林水産省や各自治体でも、水産分野の振興や食品加工業の競争力強化を目的とした独自の補助金・助成金制度を設けていることがあります。

まとめ:急速冷凍機は水産事業の未来を拓く戦略的投資

本記事では、急速冷凍機が水産事業にもたらす多岐にわたるメリットを詳しく解説してきました。急速冷凍機は、単に魚を凍らせるための機械ではありません。それは、獲れたての鮮度と品質を維持し、貴社のブランド価値を向上させるための「品質戦略」であり、豊漁時の価格暴落を回避し、収益を安定させるための「経営戦略」です。

さらに、これまで不可能だった国内遠隔地や海外への販路拡大を可能にする「成長戦略」であり、規格外品や未利用魚に新たな価値を与え、フードロスを削減する「持続可能性戦略」でもあります。計画生産による業務の平準化は、人手不足に悩む現場の働き方改革に繋がり、HACCP対応などの衛生管理強化は、消費者に安心と安全を届け、貴社の信頼を一層強固なものにします。

貴社の課題に合わせた最適な急速冷凍ソリューションをご提案します

この記事を通じて急速冷凍機に興味を持たれたものの、「どの冷凍機が自社の製品に最適なのか」「具体的な投資対効果はどれくらいになるのか」「まずは自社製品でテストをしてみたい」といった疑問やご要望をお持ちではありませんか?貴社の製品や生産規模、目指すビジネスモデルに合わせて、最適な機種の選定から導入後の運用サポートまで、一貫して支援させていただきます。

まずはお客様の現状を詳しくお伺いし、具体的なシミュレーションや、凍結テストの機会をご提供することも可能です。カタログだけでは分からない、実際の品質変化や導入効果を、ぜひご自身の目でお確かめください。急速冷凍機の導入は、貴社の事業を次のステージへと押し上げる強力な一手となるでしょう。まずはお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。貴社からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

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