緩慢冷凍と急速冷凍の違いや色々な冷凍方式について解説!

今回は、一般的な冷凍(緩慢冷凍)と急速冷凍の違いについて説明していきます。

緩慢冷凍と急速冷凍の違い

緩慢冷凍とは?

緩慢冷凍とは、一般的な家庭用冷凍庫や業務用プレハブ冷凍庫などで行われる冷凍方法です。冷却温度は通常-18℃から-20℃程度と比較的高めで、食品が凍結するまでに数時間以上かかることが特徴です。この冷凍方法では、食品内部の温度がゆっくりと下がるため、最大氷結晶生成温度帯(通常の場合-1℃~-5℃の間)を通過するのに長い時間がかかってしまいます。そのため氷結晶が大きく成長しやすくなります。

また、緩慢冷凍の最大の特徴は手軽さにあります。特別な設備が不要で、ほとんどの家庭や飲食店で利用できるため、コストを抑えつつ冷凍保存が可能です。しかしその一方で、氷結晶の成長によって細胞組織が破壊されやすく、解凍後にドリップが多く出たり、食感や風味が損なわれることがあります。特に、肉や魚などの繊細な組織を持つ食品では、緩慢冷凍が品質劣化の原因となることがあります。

急速冷凍とは?

急速冷凍とは、食品を短時間で一気に冷却して凍結させる冷凍方法です。冷却温度は通常-30℃から-50℃の範囲で行われることが多く、食品内部の氷結晶が微細なサイズに留まるため、細胞組織が破壊されにくいというメリットがあります。

この技術の最大のメリットは、食品の品質をほぼ新鮮な状態に保てることです。急速冷凍では、氷結晶が微細になるため、解凍後のドリップ(食品から出る水分)が少なく、食感や風味を損なわずに保存できます。特に、魚介類や肉、野菜、果物などの食材の鮮度保持において優れており、食品製造業や高級レストランで広く活用されています。

急速冷凍は、食品ロスの削減や物流の効率化といった課題を解決する技術として注目されています。例えば、旬の食材を急速冷凍することで、その時期特有の新鮮さや美味しさを損なわずに保存できるため、季節に関係なく高品質な食品を消費者に届けることが可能です。

緩慢冷凍、急速冷凍の解凍時の違い


このように、最大氷結晶生成温度帯を急速に通過すれば氷結晶が微細になり、ゆっくり通過すれば氷結晶が肥大化します。氷結晶が肥大化すると食品の細胞膜を破壊し、ドリップ(アミノ酸や栄養など)の流出が発生します。

このようにドリップでアミノ酸や栄養が失われてしまうことにより品質低下が起こり、美味しくなってしまうのが一般的な冷凍です。しかし急速冷凍加工を行うことで、写真にあるようにドリップを抑えることができます。
(写真は3Dフリーザー®で凍らせたもの)

急速冷凍の種類について

急速冷凍には、様々な種類があります。

エアーブラスト方式

空気冷凍、空気凍結、ショック、ショックフリーザーなどの名称で呼ばれる

リキッド方式

液体冷凍、液体凍結、リキッドフリーザーなどの名称で呼ばれる

コンタクト方式

接触式冷凍、接触式凍結、コンタクトフリーザーなどの名称で呼ばれる

液化ガス方式

窒素冷凍、窒素凍結、窒素ガス冷凍などの名称で呼ばれる

3Dフリーザー®方式

3D冷凍、商標である3D凍結®、3Dフリーザー®と呼ばれる。

瞬間冷凍機、瞬間凍結機急速冷凍機、急速凍結機のことで、種類は上記の通りとなります。

それでは、各種類について解説していきたいと思います。

エアーブラスト方式(空気凍結)

エアーブラスト方式は、食品を急速に冷却するために効率的な方法です。この方式では、高速で冷たい空気を当て、食品の温度を急速に下げます。エアーブラスト方式は、食品の品質を維持しながら保存期間を延ばすために非常に効果的です。

エアブラスト方式のメリットとは?

食品に対し、一方向から-25℃~-60℃の冷気を勢いよく吹き付けて急速冷凍します。
この方式は、プレハブ冷凍庫や家庭用冷蔵庫などでも使用されています。利便性が非常に良い方式です。

エアブラスト方式のデメリットとは?

一方向から強冷風を吹き付けて急速冷凍する過程で、食品が乾燥するため工夫が必要であり、冷却ムラが起こったりします。

リキッド方式(液体凍結)

リキッド方式は、食品を冷却した液体の中に入れて、急速に冷やす方法です。この方式では、食品表面から内部まで均一な冷却が行われ、品質の劣化を最小限に抑えることができます。

リキッド方式(液体凍結)のメリットとは?

-30℃~-35℃の冷却された液体の中に食品を漬け込み急速冷凍する方法です。空気より伝導率が高く液体の中で均一に冷やされるので凍結速度が非常に速いのが特徴です。

リキッド方式(液体凍結)のデメリットとは?

液体の中に食品を漬け込む必要があるため冷凍前に必ず製品を袋に入れる必要があるためアイテムが限定されます。
形状が崩れやすいもの(ケーキや米飯などなど)は圧縮すると変形するため、不向きです。刺身などでは、角が潰れた状態で冷凍することになるため品質低下を招きます。

メーカーによっては、漬け込んだ食品を浴槽から取り出した後、液体を拭き取る作業などが発生します。電気代とは別にアルコール液も定期購入する必要があります。後は、袋に穴があくピンホールなどには重々気を付ける必要があり、ピンホールがある食品を液体の中に漬け込むと液体の中に食品が流れこむ恐れもあります。

コンタクト方式(接触式凍結)

コンタクト方式は、食品と冷却された板を直接接触させる方法です。この方式では、冷却された板の温度を食品に伝えることで急速に冷却します。食品と冷却された板の接触面積が広いため、食品全体が均一に冷えることが特徴です。コンタクト方式は、食品の凍結時間を短縮し、品質の劣化を防ぐために使用されます。

コンタクト方式(接触式凍結)のメリット

パウチされた原料(例えば、スケソウダラの袋など)をコンタクト方式(接触式凍結)で急速冷凍することにより
均一に平べったい仕上がりで冷凍することができるため、積み重ねしやすい状態で仕上がります。また肉などの場合は、プレスされながら冷凍されることでスライスしやすくなるなどあります。

コンタクト方式(接触式凍結)のデメリット

用途が限定され、応用が利かないという点が上げられます。他の方式と比較して使い勝手が悪いという点です。

液化ガス方式(窒素凍結)

液化ガス方式は、超低温の液体ガスを使用して食品を冷却する方法です。液化ガスは食品に直接接触することで急速に冷却効果を発揮します。また凍結速度も非常に早く超低温の液体ガスを使用して冷却するので、非常に効果的です。

液化ガス方式のメリット

-196℃の超低温のガスを直接吹き付け対象物を超急速に凍らせる方法のため凍結速度が早く氷結晶の生成も小さく抑えられ高品質な冷凍食品が製造できます。

液化ガス方式のデメリット

窒素ガスのランニングコストは非常に高く、-196℃の超低温を製品に直接吹き付けるのでアイテムによっては皮割れなどが発生することもあります。

3Dフリーザー®方式(ACVCS®)

通常のエアーブラスト方式は、一方向から強冷風を吹き付けて急速冷凍する過程で、食品が乾燥するため工夫が必要であり、冷却ムラが起こったりするデメリットが存在しましたが、3Dフリーザー®はそれを改善した次世代フリーザーです。

3Dフリーザー®方式(ACVCS®)のメリット

従来の急速冷凍に使われるエアブラスト式フリーザーは、乾燥した冷気を高速で食材に吹き付け冷凍を行うため、食品表面の水分も奪っていました。しかし、3Dフリーザー®は食材の水分を守ることで、食材の品質低下を防いでいます。
さらに、3D凍結®は3D冷気(高湿度冷気)で全方位から食材を包み込むように均一に急速冷凍するので、氷結晶は小さく歪になりません。だから食材の細胞膜も守られ、解凍後も高品質を保つことができます。省エネ性も高く利便性が高いのもポイントです。

3Dフリーザー®方式(ACVCS®)のデメリット

凍る時間が早い液化ガス方式(窒素凍結)には、凍結時間が劣ります。
しかし、そこまで大きな差ではないので冷凍テストで試されてみてはいかがでしょうか?

まとめ

・エアーブラスト方式(空気冷凍、空気凍結)
・リキッド方式(液体冷凍、液体凍結)
・コンタクト方式(接触式冷凍、接触式凍結)
・液化ガス方式(窒素冷凍、窒素凍結)
・3Dフリーザー®方式(高湿度空気冷凍、高湿度空気凍結)
について、解説させていただきました。

方式によってメリット、デメリットが存在するので自社に合う適切な急速冷凍設備のご検討をお勧めします。

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