アユのように旬と漁期が限られる川魚は、獲れる時期に出荷が偏り、需要が続く時期に回す在庫を持てないため、有利な単価で売る機会を逃し、販路も広げにくくなりがちです。大分県日田市の日田漁業協同組合様(手島勝馬組合長・当時)は2016年、冷凍アユの高品質化を目指し、日田市の支援を受けてアユ約40kgを約1時間で凍結できるバッチ型の3Dフリーザー®を導入しました。凍結後は既存のマイナス35℃冷凍庫へ移して保管し、冷凍アユの品質向上と販路拡大に乗り出しました。この記事では、設備の処理能力・凍結時間・保管のかたちと、旬のアユを凍結して漁期を過ぎた時期にも売る体制づくりを整理します。あわせて、旬に出荷が集中する養殖・水産事業者がこの事例を自社に置き換えるときに確かめる点と、急速冷凍機の選び方・凍結テストの進め方まで解説します。
引用元:みなと新聞 2016年11月22日 掲載(社名・肩書は掲載当時のものです)
※本記事は、紙面で報じられた当時の内容をもとに、背景や現在の情報を補って読みやすく再構成しています。

結論:3Dフリーザー®はアユ約40kgを約1時間で凍結し、ドリップを抑えて漁期外の出荷を後押しする
要点は、1バッチ約40kgの処理量と約1時間の凍結時間を軸に、凍結後の保管に既存のマイナス35℃冷凍庫を生かした設備のかたちです。紙面の内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載紙 | みなと新聞(2016年11月22日付) |
| 紙面の見出し | 日田漁協、冷アユ販路拡大へ 3Dフリーザー導入 急速凍結で高品質化 |
| 報じられた組合(当時) | 日田漁業協同組合様(大分県日田市・手島勝馬組合長) |
| 導入設備(当時) | 古賀産業(現・株式会社コガサン)製の急速冷却・凍結装置「3Dフリーザー®」バッチ型。日田市の支援を受けて導入 |
| 処理能力(当時) | アユ約40kgを投入して約1時間で完全凍結。凍結後は既存のマイナス35℃冷凍庫へ移して保管 |
| 品質の評価(当時) | 手島組合長は「解凍時にドリップがなく、解凍後の身質は従来よりも良い」と評価 |
| 養殖・放流の体制(当時) | 毎年100万尾の稚アユを中間育成し、9割を河川へ放流、残る1割を1尾250〜270gに育てて市内の簗(やな)場や割烹へ出荷 |
| 今後の計画(当時) | 2016年度内に選別機と真空包装機を導入する計画。将来は組合員からの買い上げ体制を確立し、天然アユの冷凍製品化を推進 |
| 新たな取り組み(当時) | 2016年から本モロコの養殖に着手。京都市場への出荷を目指す |
独自の高湿度3D冷気で食品を包み、品質が落ちやすい最大氷結晶生成温度帯を短時間で通過させる3Dフリーザー®の凍結方式が、身のやわらかいアユの品質を守ります。旬に集中しがちな川魚を凍結してストックし、漁期を過ぎた時期にも出荷するこの流れは、季節性の制約で取引先を増やしきれない養殖・水産事業者の判断材料になります。
3Dフリーザー®を導入した背景(日田市のアユ養殖と漁期の制約)
大分県日田市でアユ養殖を手がける日田漁業協同組合様は、毎年100万尾の稚アユを中間育成し、その9割を河川へ放流、残り1割を養殖して1尾250〜270gに育て、市内の簗(やな)場や割烹へ出荷してきました。アユは漁期が限られるため、獲れる時期に出荷が集中し、それ以外の時期に回す在庫を持ちにくい構造があります。冷凍アユの品質を高めながら販路を広げるには、鮮度を保ったまま凍結・保管できる仕組みが欠かせませんでした。
そこで同組合は、日田市の支援を受けて、古賀産業(2022年10月に株式会社コガサン(KOGASUN)へ社名変更)製のバッチ型3Dフリーザー®の導入を決めました。
アユ約40kgを約1時間で凍結する設備構成と、漁期を過ぎても売るためのねらい
導入した3Dフリーザーは、アユ約40kgを投入して約1時間で完全凍結するバッチ型でした。凍結を終えたアユは既存のマイナス35℃冷凍庫へ移して保管するため、当時の同組合は、大規模な冷凍設備をゼロから用意せずに、既存の保管環境を生かして冷凍アユのストックを積み上げられる体制でした。1バッチあたりの処理量と凍結時間が明確なため、漁の状況に合わせて、獲れた日のうちに凍結して計画的にストックへ回す運用を組みやすくなります。
この設備によって、獲れた時期に売り切るしかなかったアユを、凍結してストックし需要のある時期に出すという選択肢が生まれました。旬に偏っていた出荷を平準化できれば、福岡や由布院といった日田市外の取引先にも、時期をずらして冷凍アユを届けやすくなります。品質面の手応えを、手島組合長は紙面でこう語っています。
「解凍時にドリップがなく、解凍後の身質は従来よりも良い。福岡や由布院に販路を広げたい」
(日田漁業協同組合・手島勝馬組合長の談話。引用元:みなと新聞 2016年11月22日 掲載)
解凍時のドリップが少なく身質が保たれるほど、冷凍品でも生に近い評価を受けやすく、域外の割烹や小売へ売り込む材料になります。通常冷凍と急速冷凍の違いは解凍後の品質差となって現れるため、身のやわらかい川魚ほど凍らせ方が仕上がりを左右します。同組合はさらに、冷凍アユの生産・販売体制を強化するため、2016年度内に選別機と真空包装機を導入する計画を示していました。将来は組合員からの買い上げ体制を確立し、天然アユの冷凍製品化も進める方針でした。また、2016年から本モロコの養殖にも着手し、京都市場への出荷を目指していました。
市内の簗(やな)場や割烹への出荷を軸としてきた同組合にとって、凍結してストックできる設備は、需要のある時期に合わせて出す選択肢を増やす一歩でした。
この事例を自社に置き換えるときに確かめる点(旬の偏り・処理量・出荷時期)
この取り組みを自社に当てはめるときは、「旬にどれだけ出荷が偏っているか」と「凍結してストックに回せると何が変わるか」を分けて考えると、判断が早くなります。旬に集中する魚を凍結し、需要期にずらして出荷できれば、単価が下がりやすい最盛期の安値販売を避け、域外や時期外の販路を広げられます。身質や食感が売価を左右する食材ほど、急速冷凍で品質を保つ効果が利益として表れやすくなります。
確かめる点は六つです。まず、出荷が漁期・旬にどれだけ偏っているかを、最盛期と閑散期の出荷量の差から把握します。次に、1回・1日にどれだけ凍らせたいかを、1バッチの投入量(例:約40kg)と凍結時間、最盛期の日量から見積もります。そのうえで、凍結後に保管する冷凍庫の容量と温度帯が足りるかを確認します。続いて、凍結したラウンド(丸魚)のまま売るか、選別・真空包装まで加工度を上げるかを決めます。あわせて、解凍後のドリップや身質の低下が売価を下げていないかを確かめ、最後に、ストックした魚をどの販路へどの時期に出すかを整理します。
整理がついたら、1日に凍らせたい量を基準に機種の候補を絞り、自社のアユを実機で凍結して仕上がりを確かめます。実機での確認手順は冷凍・冷却テスト・デモ相談で案内しています。
旬に出荷が偏る現場で急速冷凍機を選ぶ手順と凍結テストの進め方
急速冷凍機は、直売所・加工場向けの小型・バッチ型から食品工場のライン向け大型機まで選択肢が広く、本体価格も処理量・設置条件・仕様で大きく変わります。機種を絞る際は、検討の順番を決めておくと迷わず絞り込めます。まず、アユなど魚種・商品別に、最盛期の1日・1バッチあたりの処理量を見積もります。日田漁業協同組合様の例のように、アユ約40kgを約1時間で凍らせる規模から始め、必要量が増えた段階で装置を増設して運用体制を見直す進め方なら、初期投資コストを抑えやすくなります。次に、本体価格と設置工事費を分けて把握し、電源・排水・搬入経路や、凍結後に保管する冷凍庫の容量といった設置・保管条件を確認します。最後に、本体価格に電気代、目減り(歩留まりの低下)による損失、停止や段取り替えで凍結できない時間の損失を加えた数年単位の総コストで、投資回収を見通します。価格・性能の比較の進め方は業務用急速冷凍機の選び方を参考にしてください。
設備を絞り込んだ段階で、カタログや仕様だけに頼らず、自社のアユや川魚で凍結テストを行うのが確実です。アユは身がやわらかく、解凍後の身割れやドリップが出やすい魚種のため、投入温度・並べ方・包装・解凍条件で仕上がりが変わります。テストでは、解凍後のドリップ量と、凍結前後の重量から求めた歩留まり、身のしまり・色・においの変化、1バッチあたりの処理量、そして中心温度が目標温度(一般にマイナス18℃)まで下がるまでの時間を測ります。実際のアユで確かめておけば、機種と凍結条件を根拠のあるかたちで選べます。
冷凍アユ・川魚の品質を守る3Dフリーザー®が適する条件
事例のアユは、身がやわらかく旬と鮮度が価値を左右する川魚です。こうした食材でKOGASUNの3Dフリーザー®が品質面の効果を発揮しやすいのは、独自の高湿度3D冷気で食品全体を包み込み、品質が落ちやすい最大氷結晶生成温度帯(マイナス1〜マイナス5℃)を短時間で通過させられるためです。短時間で抜けるほど氷結晶は微細で均一にとどまり、組織の損傷が小さくなります。その分、解凍時のドリップ、食感の低下、目減り(歩留まりの低下)が出にくくなります。一般的なエアブラスト式のように乾いた強い冷風で表面の水分を奪う方式と違い、湿度を保ったまま凍らせるため、身の乾燥や霜付きを避けたいアユのような川魚に向いています。装置の仕組みと特長は3Dフリーザーとはにまとめています。
3Dフリーザーが向くのは、旬のアユの身質と鮮度を保ったまま凍結してストックし、漁期を過ぎた時期にも安定供給したい現場です。解凍後のドリップを抑え、身割れを防いでやわらかい食感を守りたい現場にも適しています。冷凍による目減りを抑えたい場合、天然アユ・養殖アユを選別・真空包装まで進めて冷凍製品として商品化したい場合、域外の割烹・小売・市場へ時期をずらして届けたい場合にも向いています。
冷凍アユの3Dフリーザー®導入に関するよくある質問
冷凍アユの品質を高め、販路を広げるためです。日田漁業協同組合様は2016年、アユ約40kgを約1時間で凍結できるバッチ型の3Dフリーザーを日田市の支援を受けて導入し、凍結後は既存のマイナス35℃冷凍庫で保管する体制を整えました。当時は解凍後の身質を保ちながら、福岡や由布院など日田市外への販路拡大をねらっていました。
凍結して品質を保てれば、漁期に集中しがちな出荷を需要期へずらして売りやすくなります。旬の限られる川魚は、獲れた時期に凍結してストックすれば、時期外や域外の販路にも回せます。日田漁業協同組合様も凍結でストックする体制を整え、2016年当時は福岡や由布院など域外への販路拡大を目指していました。
1回に凍らせられる量と時間がはっきりするため、獲れた日に凍らせて計画的にストックへ回す運用が組みやすくなります。日田漁業協同組合様は2016年、アユ約40kgを約1時間で凍結するバッチ型を既存のマイナス35℃冷凍庫と組み合わせ、冷凍アユをストックする体制を整えました。必要な処理量が増えた場合は、装置の増設や運用体制の見直しで処理能力を引き上げられます。
3Dフリーザー®の独自の高湿度3D冷気で凍らせれば、解凍後の品質低下は抑えられます。日田漁業協同組合様では2016年の報道当時、3Dフリーザーで凍結したアユについて、解凍時にドリップがなく身質は従来より良いという評価が紙面で示されました。最大氷結晶生成温度帯を短時間で抜けるほど氷結晶が微細になり、ドリップや身割れを抑えやすくなるため、身のやわらかいアユとの相性が良い凍らせ方です。
導入前に確かめられます。実際のアユや川魚で凍結テストを行い、解凍後のドリップ・身割れ・身質・色と、1バッチあたりの処理量、中心温度が目標温度まで下がるまでの時間を確認できます。アユは身がやわらかく凍り方で仕上がりが変わるため、実際の魚で試すと、自社に合った機種と凍結条件を選べます。冷凍・冷却テスト・デモ相談をご利用ください。
3Dフリーザー®は独自の高湿度3D冷気で凍らせるため、凍る速さと庫内の湿度の保ち方が違います。ゆっくり凍らせる冷凍庫では氷結晶が大きく育って組織を傷めるため、解凍時にドリップが増え、食感や歩留まりが落ちやすくなります。3Dフリーザーは最大氷結晶生成温度帯を短時間で抜け、庫内の湿度を保ちながら微細で均一な氷結晶にとどめるため、アユのような川魚の身質と歩留まりを守りやすくなります。
まとめ:旬のアユを漁期を過ぎても売るなら、3Dフリーザー®が有力な選択肢
みなと新聞が2016年に報じた日田漁業協同組合様の取り組みは、日田市の支援を受けて、アユ約40kgを約1時間で凍結するバッチ型の3Dフリーザー®を導入するものでした。凍結後は既存のマイナス35℃冷凍庫で保管し、解凍時のドリップを抑えた冷凍アユで福岡・由布院など日田市外の販路を見据えていました。2016年度内の選別機・真空包装機の導入計画、将来の天然アユの冷凍製品化、同年から着手した本モロコの養殖など、規模を抑えて始めた設備を軸に次の一手を重ねる進め方でした。自社に置き換える一歩は、旬の集中度と最盛期の処理量を見積もり、実物のアユで凍結後の身質を確かめることです。カタログ請求やテストのご相談は、以下からお問い合わせください。
