トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応

トンネル型フリーザーは、食品工場の生産ラインを支える基幹設備です。その安定稼働は、生産計画の遵守、製品品質の維持、そして企業の収益性に直結します。万が一、予期せぬトラブルでラインが停止してしまえば、その損失は計り知れません。

「最近、凍結時間が長くなった気がする」「異音がするが、どこをチェックすればいいのかわからない」「メーカーに頼む前に、自社でできることはないか?」

このような課題を抱える生産管理者や保全担当者様は多いのではないでしょうか。

本記事では、トンネル型フリーザーのダウンタイムを最小限に抑え、常に最高のパフォーマンスを発揮させるためのメンテナンスについて、網羅的に解説します。日常的に行うべき点検から、専門家による定期的な保守、そしてよくあるトラブルとその対処法まで、この一記事で全てがわかります。

適切なメンテナンスは、装置の長寿命化だけでなく、省エネによるランニングコスト削減にも繋がります。この記事を参考に、ぜひ貴社のメンテナンス体制を見直し、生産性の最大化を実現してください。

トンネル型フリーザーの基本的な選び方や仕組みについては、まずこちらの完全ガイドをご覧ください。

トンネル型フリーザー完全ガイド|仕組み・価格・選び方から17の疑問に答えます

なぜメンテナンスが重要なのか?

トンネル型フリーザーのメンテナンスを怠ると、以下のような様々なリスクが発生します。

•品質の低下: 冷却能力が落ち、凍結に時間がかかるようになると、食品の品質(ドリップ量、食感、風味)が悪化します。

•生産性の低下: 予期せぬ故障によるライン停止は、生産計画に大きな遅延をもたらします。

•ランニングコストの増大: 冷却効率の悪化は、消費電力の増加に直結します。また、小さな不具合を放置した結果、大規模な修理が必要になり、多額の修繕費が発生することもあります。

•安全性の問題: 電気系統の不具合や機械部品の劣化は、漏電や作業員の負傷といった重大な事故に繋がる危険性があります。

定期的なメンテナンスは、これらのリスクを未然に防ぎ、設備投資の効果を最大化するために不可欠な活動なのです。

【チェックリスト付】日常点検と定期点検

メンテナンスは、現場のオペレーターが毎日行う「日常点検」と、保全担当者やメーカーが定期的に行う「定期点検」に大別されます。ここでは、それぞれの点検項目をチェックリスト形式でご紹介します。

日常点検(始業前・終業後)

オペレーターが毎日、始業前と終業後に五感(見る、聞く、嗅ぐ、触る)を使って行う簡単な点検です。異常の早期発見に繋がります。

点検項目 確認内容 異常時の対応
外観 装置周辺に油漏れ、水漏れ、部品の脱落はないか? すぐに保全担当者に報告
異音・異臭 運転中に普段と違う音や焦げたような臭いはしないか? 直ちに運転を停止し、原因を調査
計器類 制御盤の温度表示、圧力計、電流計などの値は正常範囲内か? 正常範囲から外れている場合は、保全担当者に報告
コンベアベルト ベルトに破れ、蛇行、異常な張りはないか? 運転を停止し、調整または交換を検討
安全装置 非常停止ボタン、扉のインターロックは正常に作動するか? 正常に作動するまで運転しない

定期点検(月次・年次)

保全担当者またはメーカーの専門技術者が、月に一度、年に一度といった頻度で、より詳細に行う点検です。

点検項目 確認内容 点検頻度
冷却器(クーラー) フィンに霜が過剰に付着していないか?汚れや目詰まりはないか? 月次
ファン・モーター 異音、異常な振動はないか?モーターの温度は正常か? 月次
コンベア駆動部 チェーンやギアの摩耗、潤滑油の状態は適切か? 月次
電気系統 制御盤内の配線に緩みや損傷はないか?端子に焦げ付きはないか? 年次
冷凍機 冷媒の量は適正か?オイルの汚れや量は正常か? 年次
断熱パネル パネルに隙間や損傷はないか?(冷気漏れの原因) 年次

KOGASUNでは、お客様の装置を常に最適な状態に保つための年間保守契約をご用意しています。専門技術者が定期的に訪問し、点検・調整を行うことで、予期せぬトラブルを未然に防ぎます。

消耗品の交換目安とポイント

トンネル型フリーザーには、定期的な交換が必要な消耗品があります。適切なタイミングで交換することが、性能維持の鍵となります。

消耗品名 交換目安 交換を怠るとどうなるか?
コンベアベルト 3~7年(使用状況による) 破断によるライン停止、蛇行による製品落下
モーター・減速機のオイル 1~2年 潤滑不良によるギアの摩耗、故障
各種センサー類 5~10年 誤作動による温度制御不良、ライン停止
パッキン類 2~5年 冷気漏れによる冷却効率の低下、消費電力の増大

よくあるトラブルと対処法(トラブルシューティング)

日常の運転で遭遇しやすいトラブルと、その原因・対処法をまとめました。メーカーに連絡する前に、まずはこれらを確認してみてください。

トラブル1:「冷えが悪い・凍結に時間がかかる」

考えられる原因 対処法
1. 冷却器の霜付き デフロスト(霜取り)運転を行う。デフロストの頻度や時間が適切か設定を見直す。
2. 冷却器のフィン詰まり 冷却器を清掃する。特に油分や粉塵が多い製品を扱う場合は注意。
3. 冷媒不足 メーカーまたは専門業者に連絡し、冷媒の補充と漏れ箇所の特定・修理を依頼する。
4. 扉やパネルの隙間 扉のパッキンが劣化していないか確認し、必要であれば交換する。パネルの隙間を補修する。

トラブル2:「コンベアが動かない・蛇行する」

考えられる原因 対処法
1. モーターの不具合 制御盤のブレーカーが落ちていないか確認。モーター本体の故障が疑われる場合はメーカーに連絡。
2. ベルトの張り調整不良 ベルトの張りが緩すぎたり、張りすぎていないか確認し、テンションを調整する。
3. 駆動部への異物混入 駆動部のチェーンやギアに製品カスなどが噛み込んでいないか確認し、取り除く。

トラブル3:「異音がする」

考えられる原因 対処法
1. ファン・モーターのベアリング摩耗 「ゴロゴロ」「キーキー」といった音はベアリング摩耗のサイン。早めにメーカーに連絡し、交換を依頼する。
2. コンベア駆動部の潤滑油切れ チェーンやギアに注油する。
3. 部品の緩み 各部のボルトやナットに緩みがないか点検し、増し締めを行う。

衛生管理を徹底したい方は、こちらの記事もおすすめです。

トンネル型フリーザーの洗浄・衛生管理マニュアル|HACCP対応の実践ガイド

まとめ:計画的なメンテナンスで、フリーザーの価値を最大化する

トンネル型フリーザーのメンテナンスは、単なるコストではなく、生産性を維持し、製品品質を守り、長期的な収益を確保するための重要な投資です。

【メンテナンス成功の3つの鍵】

1.日常点検の徹底: 現場のオペレーターが「いつもと違う」に気づける体制を構築する。

2.計画的な定期点検: 専門家による定期的な診断で、潜在的なリスクを未然に防ぐ。

3.消耗品の適時交換: 故障してから交換する「事後保全」ではなく、計画的に交換する「予防保全」を実践する。

高価な設備だからこそ、日々の適切なメンテナンスによってその寿命を延ばし、常に最高の状態で稼働させることが、投資効果を最大化する最も確実な方法です。

KOGASUNでは、装置の販売だけでなく、導入後のアフターサービスにも力を入れています。全国のサービス拠点から、経験豊富な専門技術者がお客様の安定稼働をサポートします。

メンテナンス計画の策定、保守契約のご相談、緊急時のトラブル対応まで、お困りのことがあればいつでもお気軽にご相談ください。

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