トンネル型 vs スパイラルフリーザー|どちらを選ぶべきか徹底比較

連続式の急速冷凍機を検討する際、多くの担当者様が直面するのが「トンネル型とスパイラル型、どちらを選ぶべきか?」という問題です。どちらも大量生産に対応できる優れたフリーザーですが、その構造や特性は大きく異なり、それぞれに得意・不得意があります。

設置スペース、凍結したい食品、生産計画、そして衛生管理やメンテナンス性への要求レベルによって、最適な選択は変わってきます。もし選択を誤ると、「設置はできたが、洗浄に時間がかかりすぎて生産性が落ちた」「省スペースで導入したが、多品種生産に対応しきれない」といったミスマッチが生じかねません。

この記事では、両者の違いを構造・設置面積・得意な食品・価格・メンテナンス性という5つの観点から徹底的に比較し、どちらが自社に適しているかを判断するための明確な基準を提示します。

この記事を読めば、それぞれのメリット・デメリットを正確に理解し、自信を持って最適なフリーザーを選ぶことができるようになります。

フリーザーの基本的な知識や全体像については、まずこちらの完全ガイドをご覧ください。

トンネル型フリーザー完全ガイド|仕組み・価格・選び方から17の疑問に答えます

【一覧比較表】トンネル型とスパイラルの違いが一目でわかる

まずは、両者の主な違いを一覧表で確認しましょう。詳細な解説は、この後のセクションで行います。

比較項目 トンネル型フリーザー スパイラルフリーザー
構造 直線的なベルトコンベア らせん状のコンベア(ドラム式)
設置面積 長さが必要(△) 省スペース(◎)
得意な食品 IQF(バラ凍結)、形状が不安定なもの 包装済み製品、長時間凍結が必要なもの
メンテナンス性 構造がシンプルで洗浄・保守が容易(◎) 構造が複雑で洗浄に手間がかかる(△)
価格(初期費用) 比較的安価(○) 比較的高価(△)
多品種対応 得意(○) 比較的苦手(△)

構造と設置面積の違い

両者の最も大きな違いは、食品を搬送するコンベアの構造です。この構造の違いが、設置面積に直接影響します。

直線搬送の「トンネル型」:シンプルな構造とメンテナンス性

トンネル型フリーザーは、その名の通り、直線的なトンネルの中をベルトコンベアが水平に移動します。構造が非常にシンプルであるため、後述するメンテナンス性や洗浄性に優れています。

一方で、必要な凍結時間に応じてコンベアの長さを確保する必要があるため、設置にはある程度の直線的なスペースが必要になります。

らせん搬送の「スパイラル型」:省スペースでの大量処理

スパイラル型フリーザーは、大きなドラム(円筒)の周りをコンベアがらせん状に上昇または下降しながら食品を搬送します。コンベアを垂直方向に展開することで、限られた床面積でも長い搬送距離を確保できるため、省スペース性に非常に優れています。

工場のスペースに制約があるものの、大量の処理能力が必要な場合に適しています。

処理能力と得意な食品の違い

構造の違いは、それぞれが得意とする食品の種類にも影響を与えます。

トンネル型:形状が不安定なもの、IQF(バラ凍結)が得意

直線的で安定した搬送が可能なトンネル型は、形状が崩れやすいデリケートな食品や、液体を多く含む製品の搬送に適しています。また、強力な下からの吹き上げ風とベルトの振動を組み合わせることで、IQF(個別急速冷凍)を行うことが得意です。

•得意な食品の例: カット野菜、ひき肉、むきエビ、アサリ、唐揚げ、フライドポテト、パン生地

スパイラル型:包装済み製品、長時間凍結が必要な製品が得意

長い搬送距離を確保できるスパイラル型は、じっくりと時間をかけて凍結させる必要がある、比較的大きな製品や包装済みの製品に適しています。コンベアがカーブするため、形状が不安定なものや、バラ凍結にはあまり向きません。

•得意な食品の例: 包装された弁当、調理済みパスタ、ホールケーキ、食パン一斤

価格とランニングコストの違い

一般的に、初期費用(イニシャルコスト)とランニングコストには以下の傾向があります。

初期費用はスパイラル型の方が高価な傾向

スパイラル型は、ドラムやカーブコンベアなど、構造が複雑で部品点数も多いため、同程度の処理能力であればトンネル型よりも初期費用が高価になる傾向があります。

ランニングコストは構造や断熱性により変動

ランニングコスト(主に電気代)は、一概にどちらが有利とは言えません。フリーザーの断熱性能や、冷凍機の効率、デフロスト(霜取り)の頻度など、個別の機種の設計思想によって大きく左右されます。

メンテナンス性と衛生管理の違い

日々の運用において、メンテナンス性と衛生管理のしやすさは生産効率に直結する重要なポイントです。この点において、両者には明確な差があります。

トンネル型:構造がシンプルで洗浄・メンテナンスが容易

トンネル型は、直線的でシンプルな構造のため、部品の分解・組み立てが容易で、内部に死角が少なく、非常に洗浄しやすいという大きなメリットがあります。特に、KOGASUNが採用するダクトレス構造やCIP(自動洗浄)装置を備えたモデルは、HACCPが要求する高い衛生レベルを容易に維持できます。

品種の切り替えが多い工場や、アレルゲン管理が厳しい工場では、この洗浄性の高さが大きなアドバンテージとなります。

スパイラル型:コンベアが複雑で洗浄に手間がかかる傾向

一方、スパイラル型は、らせん状に何層にも重なったコンベアや、それを駆動させるドラムなど、構造が非常に複雑です。そのため、内部に洗浄が困難な死角が生まれやすく、全ての部品を完全に洗浄・殺菌するには多くの時間と手間がかかります。ベルトの裏側やドラムの内部などは、特に汚れが溜まりやすい箇所です。

【ケース別】おすすめフリーザー診断

これまでの比較を踏まえ、あなたの工場にはどちらのタイプが適しているか、具体的なケースで診断してみましょう。

ケース1:設置スペースが限られている場合

→ スパイラル型フリーザーがおすすめ

工場の床面積に制約があり、どうしても長い直線スペースを確保できない場合は、省スペース性に優れるスパイラル型が第一候補となります。

ケース2:多品種少量生産で、洗浄頻度が高い場合

→ トンネル型フリーザーがおすすめ

製品の切り替えごとに徹底した洗浄が必要な場合や、アレルギーリスクを最小限に抑えたい場合は、洗浄性に優れるトンネル型が圧倒的に有利です。品種切り替えのダウンタイムを短縮し、生産性を向上させます。

ケース3:カット野菜やひき肉のバラ凍結(IQF)がしたい場合

→ トンネル型フリーザー(IQF仕様)がおすすめ

IQFは、直線的な搬送と強力な送風・振動機構を組み合わせることで実現される技術です。このため、IQFを行いたい場合は、トンネル型が最適な選択となります。

より詳しい選定のポイントについては、こちらの記事で解説しています。

トンネル型フリーザーの選び方|失敗しないための5つの重要ポイント

まとめ:自社の優先順位を明確にして最適なフリーザーを選ぼう

トンネル型フリーザーとスパイラルフリーザー、それぞれの特徴をご理解いただけたでしょうか。

•省スペース性を最優先するなら → スパイラル型

•洗浄性、メンテナンス性、多品種対応、IQFを重視するなら → トンネル型

どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、自社が何を最も重視するか(優先順位)を明確にすることが、最適なフリーザー選びの鍵となります。

KOGASUNでは、メンテナンス性に優れたトンネル型フリーザーはもちろん、省スペースに対応するスパイラルフリーザーも取り扱っており、お客様の状況に合わせて最適な機種をご提案できます。

「どちらのタイプが自社に合っているか、専門家の意見が聞きたい」「実際に製品を凍結テストして比較してみたい」

そんなご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。長年の経験を持つ専門スタッフが、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。

▶ トンネル型フリーザー完全ガイド

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