トンネル型フリーザーの故障?トラブルシューティングと原因別対処法

生産ラインの心臓部であるトンネル型フリーザーが、ある日突然「冷えない」「異音がする」「止まってしまった」——。このような事態は、工場の生産計画全体を揺るがす一大事です。ダウンタイムは、そのまま生産量の低下と機会損失に直結します。

「メーカーを呼ぶ前に、自分でできることはないだろうか?」 「このエラーコードは何を意味しているんだ?」 「故障の原因を特定し、迅速に復旧させたい」

この記事では、トンネル型フリーザーで発生しがちな代表的なトラブルとその原因、そして現場でできる初期対応(トラブルシューティング)について、専門家の視点から詳しく解説します。もちろん、無理な自己判断は禁物ですが、原因を正しく切り分けることで、メーカーへの連絡もスムーズになり、結果として迅速な復旧に繋がります。

日々の安定稼働を守るための、お守りのような一本としてご活用ください。

故障を未然に防ぐためには、日々のメンテナンスが不可欠です。具体的な点検方法はこちらの記事をご覧ください。 トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応

メーカーに連絡する前に|まず確認すべき3つの基本事項

パニックにならず、まずは基本的な状況を確認しましょう。意外と単純な原因で解決することも少なくありません。

1.電源は入っていますか?

•制御盤のメインブレーカーは「ON」になっていますか?

•工場の主電源や、フリーザー専用の分電盤のブレーカーが落ちていませんか?

•緊急停止ボタンが押されたままになっていませんか?

2.エラーコードは表示されていますか?

•制御盤のタッチパネルに、エラーメッセージやエラーコード(例: E-01, F-52など)は表示されていますか?

•表示されている場合は、必ずスマートフォンなどで写真を撮って記録してください。この情報が、後の原因究明に非常に役立ちます。

3.取扱説明書は手元にありますか?

•取扱説明書には、エラーコードの一覧や、基本的なトラブルシューティングの方法が記載されています。まずは該当箇所を確認してみましょう。

【症状別】トラブルシューティングガイド

ここでは、現場から寄せられることの多い5つの代表的な症状について、考えられる原因と対処法を解説します。

症状1:庫内が冷えない・温度が下がらない

最も深刻なトラブルの一つです。複数の原因が考えられます。

考えられる原因 現場でできる確認・対処法
1. 冷凍機の異常 室外に設置された冷凍機(冷却ユニット)のファンは回っていますか?
異常な音や振動はありませんか?
冷凍機が停止している場合、専門家による診断が必要です。
2. 冷却器(クーラー)の霜詰まり 冷却器のフィンに霜が分厚く付着し、空気の流れを妨げている可能性があります。
デフロスト(霜取り)運転を手動で実行してください。
それでも改善しない場合、デフロストヒーターの故障も考えられます。
3. 冷媒ガス漏れ 専門的な知識が必要です。
配管の接続部などに油が付着している場合、ガス漏れのサインである可能性があります。
メーカーや専門業者による点検が必要です。
4. ドアの閉め忘れ・パッキンの劣化 フリーザーの扉が完全に閉まっているか確認してください。
ドアパッキンが硬化・断裂していると、そこから冷気が漏れてしまいます。
5. 過剰な負荷 処理能力を超える量の製品を投入したり、設定温度よりもはるかに高い温度の製品を入れたりすると、冷却が追いつかない場合があります。
投入量や投入品温を見直してください。

症状2:異音・異常な振動がする

普段と違う音や振動は、重大な故障のサインである可能性があります。すぐに運転を停止し、原因を調査してください。

考えられる原因 現場でできる確認・対処法
1. ファンモーターの異常 「ガラガラ」「キーキー」といった音は、ファンモーターのベアリング摩耗や、ファンと周辺部品の接触が考えられます。
運転を停止し、メーカーに連絡してください。
2. コンベアの異常 コンベアから「キーキー」「ガタガタ」といった音がする場合、チェーンの油切れ、テンションの不具合、ローラーの摩耗などが考えられます。
3. 冷凍機のコンプレッサー異常 冷凍機から「ガンガン」「唸るような」異音がする場合、コンプレッサー内部の深刻なダメージが考えられます。
直ちに運転を停止し、専門業者に連絡してください。

症状3:コンベアが動かない・止まる

考えられる原因 現場でできる確認・対処法
1. モーターの過負荷(オーバーロード) コンベアに製品が詰まったり、異物が噛み込んだりしてモーターに過大な負荷がかかると、保護装置(サーマルリレー)が作動して停止します。
原因を取り除き、制御盤のリセットボタンを押してください。
2. チェーンの緩み・外れ コンベアチェーンが緩んでいたり、スプロケット(歯車)から外れていたりしないか確認してください。
3. センサーの誤作動 製品の有無を検知するセンサーが汚れていたり、位置がずれていたりすると、コンベアが動かないことがあります。
センサー部分を清掃してみてください。

症状4:制御盤の電源が入らない・画面が映らない

考えられる原因 現場でできる確認・対処法
1. 電源系統の問題 「まず確認すべき3つの基本事項」で述べたブレーカーや緊急停止ボタンを再度確認してください。
2. 制御盤内部のヒューズ切れ 制御盤内部には、回路を保護するためのヒューズがあります。これが切れている可能性がありますが、交換には専門知識が必要です。メーカーに相談してください。
3. タッチパネルの故障 画面が真っ暗、またはタッチしても反応しない場合、タッチパネル自体の故障が考えられます。

症状5:デフロスト(霜取り)が終わらない・庫内が温まる

考えられる原因 現場でできる確認・対処法
1. 排水の詰まり 霜が溶けた水がうまく排水されず、庫内に溜まって再凍結している可能性があります。
排水口や排水トラップが凍結・詰まりを起こしていないか確認してください。
2. 温度センサーの異常 デフロストの終了を検知する温度センサーが故障し、不必要にヒーターが作動し続けている可能性があります。

故障を防ぐために|最も重要なのは「日常点検」

多くのトラブルは、その前兆を捉えることで未然に防ぐことができます。最も効果的な対策は、日々の始業前点検と終業後点検を習慣化することです。

【始業前点検の例】






【終業後点検の例】




これらの簡単なチェックを毎日行うだけで、異常を早期に発見し、大きな故障に繋がる前に対処することが可能になります。

より詳細な点検項目やメンテナンス計画については、こちらの完全ガイドをご覧ください。

トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応

まとめ:迅速な判断と連携でダウンタイムを最小限に

トンネル型フリーザーのトラブル発生時は、慌てずに状況を把握し、原因を切り分けることが重要です。しかし、決して無理な分解や修理は行わないでください。感電や怪我のリスクがあるだけでなく、かえって状態を悪化させてしまう可能性があります。

【トラブル発生時の行動フロー】

1.安全確保: まずは運転を停止し、安全を確保する。

2.基本事項の確認: 電源、エラーコード、取扱説明書を確認する。

3.症状の観察と記録: 異音、異臭、エラーコードなどを写真やメモで記録する。

4.初期対応: 本記事を参考に、現場でできる範囲の確認・対処を行う。

5.専門家への連絡: 改善しない場合や、専門的な判断が必要な場合は、速やかにメーカーや保守業者に連絡する。

KOGASUNでは、全国をカバーするサービスネットワークで、お客様の万が一のトラブルにも迅速に対応いたします。お電話でのヒアリングや、エラーコードから原因を特定し、必要な部品を持って駆けつけ、ダウンタイムを最小限に抑える努力をいたします。

また、導入前の段階で、お客様の運用に合わせた最適なメンテナンスプランや、トラブルを未然に防ぐためのトレーニングもご提案しています。

機械はいつか必ず故障しますが、そのリスクを最小限に抑え、万が一の際にも迅速に復旧できる体制を整えておくことが、安定した工場運営の鍵となります。

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