トンネル型フリーザー完全ガイド|仕組み・選定基準・費用・導入チェックリスト

トンネル型フリーザーは、ベルト搬送で食品を連続的に急速冷凍する産業用設備です。大量処理・品質安定・省人化に強みがあり、惣菜・水産・畜肉・野菜・米飯・菓子など幅広いラインで採用されています。
一般に「トンネルフリーザー」とも呼ばれる装置です(※「トンネルフリーザー」は他社の登録商標です。当社とは関係ありません)。
本ガイドでは、仕組み→選定→費用(TCO)→衛生設計→運用最適化→用途別条件まで、初めての方でも導入検討ができるレベルで体系的に解説します。

トンネル型フリーザーとは(基礎)

  • 連続式:ベルトで食品を通過させ、入口→出口の一方向で非停止のまま連続して凍結。バッチ式に比べ段取り待ちが少なく、品質のばらつきを抑えやすい。
  • 大量処理:処理量(kg/h)を仕様で決められるため、生産計画に合わせやすい。
  • 品質:急速凍結により氷結晶を微細化し、解凍時のドリップを抑制。IQFの採用でバラ凍結にも対応。

※当社の直線搬送モデルでは、省スペース性・衛生性・保守性に配慮した設計(例:ダクトレス、庫内CIP 自動洗浄、床タンク構造 など)を採用しています。詳しくは製品ページをご覧ください。

連続急速冷凍の仕組み

  • エアフロー:上下左右からの強制対流で熱奪取を最大化。温度帯を段階分けするゾーニングで、表面凍結→芯温到達を制御。
  • IQF(個別急速冷凍):粒状・カット品は風量・ベルト振動・撥水処理を組み合わせてダマ化を抑制
  • 計測:中心温度、露点、風速、滞留時間(ベルト速度)を計画値と実測値で管理。

選定基準(処理量・ベルト・冷媒・占有面積)

1) 処理量(kg/h)

代表的な要件:目標出口温度・品目・最小/最大ロット・連続稼働時間
概算は「ベルト幅 × 滞留時間 × 積載密度」を目安に算出します(実機テストで要検証)。

2) ベルト仕様

メッシュ、プラベルト、ダイレクトドライブなど。歩留まり・洗浄性・目詰まり耐性で選定します。

3) 冷媒

アンモニア(R717)/ CO₂(R744)/ HFC / 液体窒素(LN₂)など。安全・法規・イニシャル/ランニング・温度帯で評価。

4) 占有面積・レイアウト

設置スペース、動線、前後工程との高さ・投入/払出方向を考慮。
直線搬送モデルはダクトレス構造により本体サイズの小型化と清掃性の両立が可能です(詳細はこちら)。

費用と総保有コスト(TCO)の考え方

  • 初期費:本体、冷凍機、基礎工事、搬入据付、電源、周辺機器。
  • 運用費:電力(ピーク/力率)、デフロストの停止ロス、洗浄時間・水・薬剤、消耗品、保守部材。
  • TCO:5〜10年幅で評価。省エネ・停止時間短縮・歩留まり改善の便益まで含めて稟議化。
  • 省エネ要点:熱交換効率、断熱、インバータ、空調負荷連動、ゾーニング最適化。

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設計・衛生(CIP/洗浄性/結露・霜対策)

  • 洗浄性:分解レス化、ノズル配置、庫内CIP自動洗浄の採用。
  • 結露/霜:出入口防露、気流設計、定期デフロスト、床ドレン・防滑。
  • 構造:ダクトレスは死角を減らし衛生維持に有利。床タンク構造は洗浄・排水を円滑化。

運用最適化(立上げ・切替・デフロスト・省エネ)

  • 立上げ短縮:事前冷却の標準手順化、レシピ記憶。
  • 切替:多品種時は段取り順とベルト清掃の並行化。
  • デフロスト:停止時間最小化のため、温度・露点・圧損でトリガー管理。
  • データ化:運転ログ×品質KPI(中心温度/ドリップ/氷焼け)でPDCA

用途別の条件(惣菜/水産/畜肉/野菜・果実/米飯・菓子)

  • 惣菜:衣の食感維持。表面凍結→芯冷却までの時間差制御
  • 水産:酸化・乾燥抑制。高湿度エアで表面乾燥を抑え、グレージングを最適化。
  • 畜肉:成形品は表面クラックと中心温度到達の両立。
  • 野菜・果実:前処理(ブランチング/脱水)× IQF。
  • 米飯・菓子:温かい食品は温度プロファイルと搬送姿勢が肝。

当社の3Dフリーザー®ACVCS®(高湿度・三次元エアフロー)は、品質維持とロス低減に寄与します。技術の概要はこちら

導入チェックリスト(コピペしてお使いください)

  • □ 対象食品/仕上がり規格(質量、形状、包装有無)
  • □ 必要処理量(kg/h)と稼働時間(h/日、日/週)
  • □ 目標出口温度(中心温度)/許容ドリップ率
  • □ 搬送方式(メッシュ/プラベルト)と洗浄性要件(CIP要/不要)
  • □ 冷媒と電源・契約電力
  • □ 設置スペース(W×D×H)、前後工程の高さ・動線
  • □ 省エネ・稼働率目標(デフロスト、待機損失、保全体制)
  • □ 必要書類(HACCP、SSOP、記録様式)

よくある質問(FAQ)

Q1. バッチ式やスパイラル型との違いは?

A. バッチは段取りが必要、スパイラルは省スペース性に強み。トンネル型は連続処理工程直結がしやすく、大量ロットでの安定品質に向きます。

Q2. 価格の目安は?

A. 仕様によって大きく変動します。初期費+電力+洗浄/保守+停止ロスまで含めたTCOで評価してください。見積・テストで具体化しますカタログDL / お問い合わせ)。

Q3. 洗浄や衛生対応は?

A. CIP、ベルト洗浄、庫内水洗、床タンク構造などで洗浄時間短縮と衛生性を両立できます(モデルにより仕様は異なります)。

Q4. 多品種小ロットでも使えますか?

A. 運転メモリ記憶、ベルト清掃性、段取り順最適化で対応可能。事前テストで歩留まり・食感を確認しましょう。

Q5. まず何から始めれば?

A. ①対象食品と処理量の定義 → ②出口温度の決定 → ③設置条件の確認 → ④冷凍テスト→見積の順で進めるとスムーズです。

関連リンク・資料

※本文では一般名称として「トンネル型フリーザー」を用い、通称として「トンネルフリーザー」に一度だけ言及しました。「トンネルフリーザー」は他社の登録商標であり、当社とは関係ありません。

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