札幌ヤマグチ カニ加工事業を内製化

引用元:水産新聞 2021年10月18日 掲載

銭函に北海道工場が竣工

カニを主力に取り扱う札幌市の水産専門商社・㈱札幌ヤマグチ(山口良美社長)は、小樽市銭函5丁目に北海道工場を新設した。細心の冷凍技術「3D冷凍」のフリーザーなど冷凍・加工機器・設備を備え、自社の製造体制を確立。製品の高品質化と併せて多様化する需要先のニーズにより迅速、きめ細かく対応、安定供給に取り組んでいく。18日に稼働を開始する。

商品提案力に磨き 「3Dフリーザー」基礎に

北海道工場は敷地面積4039平方㍍、建築面積991平方㍍に、鉄骨造2階建て延べ1400平方㍍。設計・監理は㈱コアプランニング、建築工事は㈱田中組が請けた。冷凍加工の主力設備となる3Dフリーザーは、1回に80㌔ほどを収容できるラック式2台を導入。マイナス45~50度の急速凍結で、製品によって15~40分の短時間で凍結が完了。日産2㌧の凍結能力を確保した。

企業成長へ一層進化 商材拡充やOEM生産

同社は創業以来、インポーターや商社との直接取引などによる水産物、特にカニ類の調達力を築くとともに、商品力を磨き上げて業容を拡大。近年はネット通販業者を主力に卸業者、観光土産店など小売店に高品質商品を供給している。主力のカニ類は昨期(2021年3月期)の取扱量がズワイ1500㌧、タラバ150㌧、毛ガニ80㌧など。他社への委託加工で加工品も取りそろえてきたが、従来原料販売が多く、自社工場の新設で製品販売を強化。長年培ってきた卸業に製造機能を付加し、さらに進化を目指していく。

カニ製品は小箱(3㌔詰め)のボイルズワイセクションを売れ筋に、ズワイ・タラバのシュリンク、ハーフカットなどを提供。解凍後もうま味成分の流出や変色などの劣化が生じない「3D冷凍」で高品質化を図る。

また、既存のホタテ、エビなどに加え、取扱商品を拡充し、セット物などの商品提案力を高める。さらに消費地・札幌圏に立地し、迅速に納品できる強みなどを生かし、OEM生産も新たに手掛けていく。売上髙は昨期の47億5千万円から、今期(22年3月期)は60億円の増収を見込む。工場の新設で新規取引先の開拓も進めていく。

 

売れ筋商品のボイルズワイセクション(右)とボイルタラバシュリンク(下)
冷凍加工の基盤となる3Dフリーザー
自社製品の製造を担う北海道工場

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