脱・漁獲物へ”製品“前面に

引用元:みなと新聞 2018年1月5日 掲載

上越漁協6次化で成果

【新潟】漁獲物ではなく、製品という感覚で魚を取り扱う。魚が海にいる時点から最高の製品を作っているんだと-。上越漁協(JF上越、新潟県糸魚川市)の磯谷光一組合長が語気を強める。自営の加工場(同市)でコンブ締めフィレーなど冷凍加工品を製造する同漁協。魚の漁獲から最終製品化まで一貫し、いずれの工程も衛生・品質管理に手を抜かない。30年以上前から漁業者自ら鮮度・品質保持を実践。若い担い手づくりにも取り組み、地元の基幹産業として着実に成果を上げているようだ。

自営加工場で冷凍フィレー

同漁協所属の漁業者は魚が傷付かないようタモスキ(網)を使って水揚げ。漁船の多くは船上に滅菌海水の生成装置と冷却装置を装備し、魚の鮮度を保つ。傷みが早くウロコが落ちてしまうメギス(ニギス)も「ウロコ付き。こんなメギスは見たことないと買受人から評価される」(小野清隆同漁協参事)。

同漁協は水揚げ場や荷さばき場なども滅菌海水で常時洗浄。衛生管理に気を配りながら隣接する自営工場で効率よくフィレーなどを製造する。製造した商品は真空パック後、6月に導入した古賀産業(山口県下関市)の3Dフリーザーで急速凍結して出荷する。

冷凍技術の活用は「天然魚が獲れ過ぎた際、値崩れしてしまうから(需給調整のため)冷凍するという以前の考え方とは全く異なる」(小野参事)。魚を冷凍することで付加価値を高め、需要を掘り起こす試みだ。

ユニークな販売手法も

ユニークなのが同漁協の販売手法。自らコンパクトな冷凍ケースを利用した販売提案を手がけ、販路開拓に努める。具体的にはマイナス20度前後まで下がる小型冷凍ケースを販売先に貸し出す。設置スペースを取らない同ケースにPOPを飾って効率よくPRするもので、「組合員の獲った魚をいかに販売するか。これが漁協の役割。組合員の鮮度保持の苦労が報われるよう安全・安心を売り込みたい」(同)。貸出先は東京・築地場外市場など県外でも着実に増えているようだ。

同漁協が製造するのはマダイやマダラ、ホウボウ、ナンバンエビ、カワハギなどのコンブ締め冷凍フィレー。粉付けした冷凍メギスやナンバンエビなどもラインアップする。粉付け商品は油調すれば食べられる。

 

売り込み手法もユニーク。小型冷凍ケースを販売先に貸し出す(東京・築地場外市場の新潟中央水産市場築地支店内)
マダイ上越漁業協同組合新潟
2018年01月04日 19時00分 配信

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