
最新鋭のトンネル型フリーザーを導入しても、それを扱う従業員が正しい知識とスキルを持っていなければ、その性能を100%引き出すことはできません。それどころか、誤った使い方は機械の故障、製品の品質低下、そして何よりも重大な労働災害に繋がる危険性をはらんでいます。
「操作はボタンを押すだけじゃないの?」 「マニュアルを渡しておけば十分だろう」
もし、そうお考えでしたら、それは大きな間違いです。導入後の従業員トレーニングは、機械という「ハード」に、正しい知識という「ソフト」をインストールする重要なプロセス。機械と従業員、そして製品を守るための不可欠な投資なのです。
この記事では、トンネル型フリーザーの性能を最大限に引き出し、安全な職場環境を維持するために、従業員に何を教えるべきか、そしてどのように教えるのが効果的かについて、具体的なトレーニング内容と方法を解説します。
メンテナンスの全体像については、こちらの記事も併せてご覧ください。
▶ トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応
Contents
1. なぜ導入後トレーニングが重要なのか?
トレーニングは、単なる「機械の使い方」を教えるだけではありません。以下の3つの目的を達成するために行います。
1.安全の確保: 誤操作や禁止事項の周知を徹底し、挟まれ・巻き込まれなどの労働災害を未然に防ぐ。
2.品質の安定: 正しい設定温度やコンベア速度での運転を徹底し、凍結品質のバラつきを防ぐ。
3.生産性の維持: 日常の清掃や簡単なトラブル対応を従業員自身が行えるようにし、機械の停止時間(ダウンタイム)を最小限に抑える。
2. これだけは教えるべき!4つの必須トレーニング項目
では、具体的に何を教えれば良いのでしょうか。最低でも以下の4つの項目は、全オペレーターが習得すべき内容です。
① 基本的な運転操作
最も基本となる、機械の動かし方と止め方です。
•起動と停止: 電源の入れ方、運転開始・停止ボタンの操作手順
•各種設定: 温度設定、コンベア速度設定の変更方法
•表示の見方: 現在の温度、設定値、アラーム表示などの意味を理解する

② 安全に関する教育
事故を未然に防ぐための、最も重要なトレーニングです。
•非常停止ボタン: 場所と役割を全員が把握し、いつでも押せるようにする。
•安全装置: ドアが開いたら停止するインターロックなど、各種安全装置の役割を理解させる。
•禁止事項の徹底: 運転中に庫内に手や工具を入れない、コンベアに乗らないなど、危険な行為を具体的に教える。
•服装の規定: 巻き込まれを防ぐため、袖や裾が広がった服装を禁止する。
③ 日常の清掃と衛生管理
製品の安全を守り、機械を長持ちさせるために不可欠です。
•清掃範囲と手順: 1日の終わりにどこを、どのように清掃するかを具体的に示す。
•使用する洗剤・道具: 機械の材質を傷めない、適切な洗剤やブラシを教える。
•分解・組立方法: CIP(定置洗浄)装置がない場合、清掃のために取り外す部品(コンベアネットなど)の正しい脱着方法を教える。
詳しい清掃方法については、こちらの専門記事をご覧ください。
▶ トンネル型フリーザーの洗浄・衛生管理マニュアル|HACCP対応の実践ガイド
④ 簡単なトラブルシューティング
専門のメンテナンス担当者を呼ぶまでもない、簡単な一次対応の方法を教えます。
•よくあるアラームとその原因: 「温度異常」「ドア開放」など、よく発生するアラームの原因とリセット方法を教える。
•製品の詰まり対応: コンベア上で製品が詰まった際の、安全な取り除き方を教える。
•報告・連絡・相談: 自分たちで解決できない場合は、すぐに誰に報告すべきかを明確にする。
より詳細なトラブル対応については、こちらの記事が役立ちます。
▶ トンネル型フリーザーの故障?原因と対策を解説するトラブルシューティングガイド
3. 効果的なトレーニングの方法
一方的にマニュアルを渡すだけでは、知識は定着しません。以下の方法を組み合わせることが効果的です。
| 方法 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| OJT (On-the-Job Training) | 熟練者が新任者に付き添い、実際の作業を通じて教える。 | 「見て覚えろ」ではなく、一つ一つの操作の意味を言語化して教えることが重要。 |
| マニュアル・手順書の整備 | 写真や図を多用し、誰が見ても分かるような手順書を作成し、機械の近くに掲示する。 | 専門用語を避け、簡潔な言葉で書く。 |
| 定期的な復習会 | 半年に1回など、定期的に安全教育や清掃方法の復習会を開き、知識の形骸化を防ぐ。 | ヒヤリハット事例などを共有し、危険感受性を高める。 |
まとめ:KOGASUNは導入後のトレーニングまで徹底サポート
従業員トレーニングは、機械を導入したメーカーの責任において、しっかりと行うべきだと私たちは考えています。
KOGASUNでは、機械の設置・試運転が完了した後、お客様のオペレーターの方々を集めて、責任を持って導入後トレーニングを実施いたします。
•経験豊富な技術者が直接指導: 設計・製造に携わった技術者が、機械の構造から理解した上で、安全な使い方、メンテナンス方法を丁寧に指導します。
•お客様専用マニュアルの作成: 標準的なマニュアルだけでなく、お客様の仕様に合わせた写真付きの分かりやすい手順書を作成・提供します。
•導入後も続くサポート: 運用開始後に不明な点が出てきた場合も、電話や訪問でいつでもサポート。定期的な復習会の開催などもご相談ください。
トンネル型フリーザーは、正しく使えば、貴社の生産性と品質を劇的に向上させる強力な武器となります。その性能を最大限に引き出すため、そして何よりも従業員の安全を守るため、導入後のトレーニングを軽視しないでください。
私たちコガサンは、機械を納めて終わり、ではありません。お客様が安心して、末永くフリーザーを使いこなせるようになるまで、責任を持ってサポートし続けることをお約束します。
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