
トンネル型フリーザーは、食品工場の生産性と製品品質を左右する重要な設備投資です。しかし、高価で専門性が高いがゆえに、「どの機種を選べば良いのかわからない」「導入後に失敗したくない」と悩む担当者様は少なくありません。
価格だけで選んでしまうと、「生産量に能力が見合わなかった」「洗浄に手間がかかりすぎて生産性が落ちた」「メンテナンス費用が想定以上にかさんでいる」といった問題が発生しがちです。
この記事では、数多くの食品工場の設備導入をサポートしてきた専門家が、トンネル型フリーザー選びで絶対に失敗しないための5つの重要ポイントを徹底解説します。さらに、そのまま使える「導入前チェックリスト」もご用意しました。
これを読めば、自社の製品・生産ラインに本当にマッチした、コストパフォーマンスの高い一台を見極めることができるようになります。
トンネル型フリーザーの基本的な仕組みや全体像については、まずこちらの完全ガイドをご覧ください。
▶ トンネル型フリーザー完全ガイド|仕組み・価格・選び方から17の疑問に答えます
Contents
ポイント1:生産計画から「処理能力」を正確に算出する
トンネル型フリーザー選びで最も基本的ながら、最も重要なのが処理能力(kg/h)の選定です。ここを間違えると、能力不足による生産計画の遅延や、過剰投資による無駄なコストが発生してしまいます。
対象食品と目標温度から必要な冷凍能力を計算
必要な処理能力は、以下の要素から算出します。
•対象食品: 品名、形状、サイズ、重量、包装の有無
•投入温度: フリーザーに入れる直前の食品の中心温度
•目標温度: フリーザーから出した直後の目標とする食品の中心温度
•生産量: 1時間あたりに生産したい量(kg)
これらの情報をもとに、メーカーは食品の熱量を奪うために必要な「冷凍能力(kW)」を計算し、最適な機種を選定します。
将来の増産計画も考慮に入れる
「現在の生産量にギリギリ」の能力で選んでしまうと、数年後に増産が必要になった際に設備を買い替えることになりかねません。少なくとも3~5年後の事業計画を見据え、ある程度の余裕を持った処理能力の機種を選定することが、長期的なコスト削減に繋がります。
実機テストで最適能力を確認: 理論計算だけではわからないのが、実際の凍結時間や品質です。KOGASUNでは、お客様の製品を実際にお預かりして凍結テストを行う「無料凍結テスト」を実施しています。最適な処理能力と品質を、導入前にご自身の目で確認できます。
ポイント2:HACCPに対応する「衛生管理」のしやすさ
現代の食品工場において、HACCPに準拠した高いレベルの衛生管理は、企業の信頼性を担保する上で不可欠です。トンネル型フリーザーは食品に直接触れる設備であるため、その洗浄性は極めて重要な選定ポイントとなります。

CIP(自動洗浄)機能の重要性
CIP(Cleaning In Place)は、装置を分解することなく、ボタン一つで庫内の洗浄・殺菌・すすぎまでを自動で行うシステムです。手洗浄に比べ、以下のメリットがあります。
•時間短縮: 洗浄にかかる時間を大幅に短縮し、生産稼働率を向上させます。
•品質安定: 人による作業のばらつきがなくなり、常に安定した洗浄レベルを維持できます。
•安全性向上: 作業員の負担軽減と、危険な薬剤への接触機会を減らします。
清掃しやすい構造か確認
CIP機能の有無だけでなく、庫内の構造そのものが洗浄しやすい設計になっているかを確認しましょう。
•ダクトレス構造: 庫内に冷風を循環させるためのダクト(風道)がない構造です。部品の分解が不要で、内部に凹凸や死角が少ないため、圧倒的に洗浄しやすく、菌の増殖リスクを低減します。
•床タンク構造: 庫内の床全体が、大きな排水口を持つタンクのような一体構造になっています。大量の水を使った洗浄が可能で、水や汚れが残りにくく、常に清潔な状態を保てます。
KOGASUNのトンネル型フリーザーは、CIP自動洗浄はもちろん、清掃性を極限まで高めたダクトレス構造や床タンク構造を標準的に採用しています。詳しくは製品ページをご覧ください。
ポイント3:工場の動線を考慮した「設置スペースとレイアウト」
フリーザー本体のサイズだけでなく、工場全体の生産効率を最大化するレイアウトを考えることが重要です。設置後に「作業スペースが狭い」「前後のラインとの接続がうまくいかない」といった問題が起きないよう、事前にしっかり確認しましょう。
本体サイズだけでなく、前後の搬入・搬出スペースも確保
カタログに記載されている本体寸法(幅×奥行×高さ)だけでなく、以下のスペースも考慮に入れる必要があります。
•搬入・搬出コンベア: フリーザーの前後に接続するコンベアの長さと配置。
•作業動線: 製品の投入・取り出し作業や、品質チェックを行う作業員の動線。
メンテナンス用の作業スペースは十分か
日常の点検や万が一の修理の際に、作業員が安全かつ効率的に作業できるスペースが必要です。特に、制御盤やモーター、冷却ユニット周辺には十分なスペースを確保しましょう。
ポイント4:長期的な運用を見据えた「メンテナンス性」
フリーザーの安定稼働は、工場の生産計画そのものです。導入後のダウンタイムを最小限に抑えるため、メンテナンスのしやすさは重要なチェックポイントです。

部品交換のしやすさと供給体制
コンベアベルトやモーター、センサー類など、消耗品や定期的な交換が必要な部品に、工具を使わずに簡単にアクセスできる設計になっているかを確認しましょう。また、それらの部品が汎用品であるか、メーカーが安定した供給体制を築いているかも重要です。
メーカーのサポート体制と対応速度
どんなに優れた機械でも、トラブルがゼロということはありえません。万が一の際に、電話や遠隔で迅速にサポートしてくれるか、必要に応じてすぐに技術者を派遣してくれる体制があるかは、メーカー選定の大きなポイントです。
メンテナンスの具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ トンネル型フリーザーのメンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応
ポイント5:初期費用だけで判断しない「費用対効果」
価格の安さだけで選んでしまうと、ランニングコストが高くつき、結果的に損をしてしまうことがあります。必ず、長期的な視点での費用対効果(ROI)で判断しましょう。
省エネ性能とランニングコスト
ランニングコストの中で最も大きな割合を占めるのが電気代です。インバーター制御によるファンの回転数最適化や、高効率な冷凍機の採用、断熱性能の高いパネルなど、省エネ性能に優れた機種を選ぶことが、長期的なコスト削減に直結します。
歩留まり率の改善効果
高品質な凍結により、これまで廃棄していた製品の歩留まりが改善されれば、それは直接的な利益となります。例えば、ドリップの流出が減ることで、製品の重量ロスを抑えることができます。
費用対効果の詳しい計算方法や、導入コストを抑える補助金については、こちらの記事で解説しています。
▶ トンネル型フリーザーの価格相場は?費用対効果と補助金活用法を解説
【チェックリスト】トンネル型フリーザー導入前に確認すべき10項目
これまでの5つのポイントを、具体的なチェックリストにまとめました。メーカーへの問い合わせや機種比較の際に、ぜひご活用ください。
[基本要件]
[衛生管理]
[設置・運用]
[コスト・サポート]
まとめ:最適な一台を選び、生産性を最大化しよう
トンネル型フリーザー選びは、単なる機械選びではありません。自社の未来の生産体制を設計する、重要な経営判断です。
【失敗しないための5つの鉄則】
1.能力は、将来を見据えて余裕を持って選ぶ
2.衛生性は、HACCP対応を前提に洗浄しやすい構造を選ぶ
3.設置は、工場全体の動線を考慮してレイアウトする
4.保守は、メンテナンスのしやすさとメーカーのサポート体制で選ぶ
5.コストは、初期費用だけでなく費用対効果(ROI)で判断する
これらのポイントを総合的に評価し、自社の優先順位を明確にすることで、必ず最適な一台を見つけることができます。
KOGASUNでは、お客様一社一社の課題に寄り添い、製品選定からレイアウト設計、導入後のサポートまで、トータルでご支援いたします。「どの機種が合うかわからない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、まったく問題ありません。経験豊富な専門スタッフが、お客様の成功を全力でサポートします。
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全17記事へのクイックリンク集
あなたの疑問に直接答える記事へ、ここからすぐにアクセスできます
- No.1 トンネル型とスパイラルフリーザーの違いは?
- No.2 IQF(個別急速冷凍)とは?
- No.3 選び方|失敗しないための5つの重要ポイント
- No.4 価格相場は?費用対効果と補助金活用法
- No.5 省エネ術|電気代とランニングコストを削減
- No.6 導入に使える補助金・税制優遇ガイド
- No.7 サイズ・容量の選び方|生産量に合わせた計算方法
- No.8 【食品別】最適設定|惣菜・水産・畜肉・製菓
- No.9 設置スペースと工場レイアウトの注意点
- No.10 電気容量と電源工事の注意点
- No.11 レンタル・リース活用ガイド
- No.12 中古の選び方と注意点
- No.13 導入後の従業員トレーニング
- No.14 メンテナンス完全ガイド|点検・保守・トラブル対応
- No.15 洗浄・衛生管理マニュアル|HACCP対応
- No.16 故障?トラブルシューティングガイド
- No.17 騒音対策|原因とすぐにできる7つの方法
