
Contents
この記事でわかること
特殊冷凍機は、急速冷凍機にメーカー独自の方式・制御・構造を付与し、より品質の再現性を高めた装置。
食品の中心温度を短時間で下げ、最大氷結晶生成帯(約−1〜−5℃)を素早く通過させる装置です。
3Dフリーザーは、氷結晶は微細になり、解凍後の食感・色・風味・歩留まりが保たれます。
1. 特殊冷凍機の定義と位置づけ
本稿では、「急速冷凍機+独自技術」を特殊冷凍機として扱います。つまり、温度・風量・湿度・気流・熱交換の制御と構造を最適化し、品質劣化の主因(乾燥・ムラ・着霜・再現性不足)を系統的に抑える装置です。
2. 特殊冷凍機「3Dフリーザー」とは?
- ACVCS®(非貫流熱交換方式):食品に強風を直当てせず、高湿度の3D冷気で包み込むように均一冷却。乾燥や表面凍結の偏りを抑制します。
参考:3Dフリーザー®とは。 - ダクトレス構造:循環ダクトが庫内にないため、洗浄性・サニタリー性が高い。死角が減り、丸洗いしやすい設計。
- 着霜の抑制:非貫流方式により熱交換器への着霜進行を低減。結果として連続運転耐性が向上し、省エネやデフロスト回数削減につながります。
これらは“乾燥を抑えながら全方向から均一に冷却”するための仕組みです。氷結晶形状が歪みにくく、目減りも抑制できるため、歩留まりの改善が期待できます。(技術・衛生:KOGASUN公式、着霜実証:大学×AOT)
3. 科学的エビデンス
- 大学連携の比較実験:東京海洋大学×AOT(KOGASUN)の共同実験では、エアブラスト比で連続運転2倍以上と報告(着霜軽減が主因)。→ 記事
- 大学連携の比較実験:山口大学×KOGASUNの共同実験では、従来比で細胞生存率が30%以上と報告(特殊冷凍技術が主因)。→ 記事
- 技術仕様の公開:ACVCS®・ダクトレス構造・高湿度3D冷気などの技術的説明。→ 技術ページ
他社の“特殊冷凍”表記は多様ですが、公的機関・大学との公開実証が確認できるケースは限られます。3Dフリーザーは公開実証と新聞掲載が整理されており、第三者視点の情報に触れやすいのが強みです。
4. 通常/一般的エアブラストとの違い(早見表)
| 項目 | 通常冷凍 | 一般的エアブラスト | 3Dフリーザー(ACVCS®) |
|---|---|---|---|
| 冷却方式 | 自然対流中心 | 強風直当ての貫流 | 非貫流+高湿度3D冷気 |
| 乾燥・目減り | 起きやすい | 乾燥や表面凍結でロス | 乾燥抑制・歩留まり向上 |
| 着霜 | 進行 | 進行(デフロスト頻発) | 着霜進行を低減 (連続運転2倍以上の事例) |
| 衛生・洗浄 | 一般的 | ダクト内清掃が負担 | ダクトレスで死角減・丸洗い容易 |
| 解凍後品質 | ドリップ多 | 改善するがムラの懸念 | 微細結晶で食感・色・風味を保持 |


5. 生産性とコスト:なぜ“着霜低減”が大事なのか

- 連続運転の伸長:着霜が遅い→デフロスト回数が減る→1日の停止ロスが減少→生産数量が上がる。
- 省エネ:霜取りは熱損失が大きい。回数削減は電力削減に直結。
- 品質と衛生:ダクトレスは洗浄時間短縮と残渣リスク低減に寄与。

6. 導入メリット
- 歩留まり・見栄え:乾燥・ドリップを抑え、盛り付けや重量の安定に直結。
- 仕込み平準化:ピーク前倒しで人件費の山谷をならす。
- 衛生と再現性:手順の標準化が容易。HACCP運用に馴染む。
7. 失敗しない選び方
| 比較項目 | エアブラスト | 液体凍結 | 窒素凍結 | 電磁場 | 3D |
|---|---|---|---|---|---|
| 初期導入コスト | 低~中 | 中~高 | 高 | 中~高 | 中 |
| 月間運用コスト | 中(電気) | 高(液体補充) | 非常に高(窒素補充) | 高(電力大) | 低~中(電気のみ) |
| 包装の必要性 | 不要 | 真空必須 | 不要 | 不要 | 不要 |
| 乾燥リスク | 高 | 低 | 中 | 高 | 低 |
| 冷凍ムラ | 発生しやすい | 少ない | 少ない | 発生しやすい | 非常に少ない |
| 生産効率 | 高 | 中 | 中~低 | 高 | 高 |
| 品質保持 | 中 | 良好 | 優れている | 良好 | 優れている |
| 管理の容易さ | 比較的簡単 | やや複雑 | 複雑 | やや複雑 | 比較的簡単 |
8. 活用シーン
飲食・セントラルキッチン
- 前日仕込み→当日仕上げでピーク分散。色・食感・艶の再現性が高い。
- 旬食材の確保と在庫平準化で、原価・販売機会の最適化。
食品工場
- 連続運転×デフロスト削減で生産効率の向上。
- 歩留まり改善で粗利を圧迫するロスを低減。

9. よくある質問(FAQ)
A. 本稿では、急速冷凍の基本に独自技術(方式・制御・構造)を加え、品質の再現性を高めた装置を特殊冷凍機と呼びます。
A. 非貫流熱交換方式により高湿度の3D冷気を作り、全方向から均一に冷却します。乾燥・ムラ・着霜を抑えやすいのが特徴です。
A. 連続運転時間が伸び、デフロスト回数が減少します。結果として省エネ・生産性向上に直結します(大学連携の比較で2倍以上の事例)。
A. 冷却プロファイル、着霜耐性、衛生性、電源(三相200V等)、保守SLA、そして実機での試験凍結です。
A. 本記事は食品分野の特殊冷凍機を扱っていますが、氷結晶や冷却プロファイルの制御という観点は医療分野でも注目されています。参考:再生医療分野の新聞報道
高湿度な冷気で冷却するので、歩留まりが抑えられ品質も向上します。詳しくはこちらをご参照ください。急速冷却のFAQ集
A. いいえ。当社KOGASUNの「3Dフリーザー®」および特許技術「ACVCS®」は当社の独自技術・独自製造です。2025年11月時点で、当社が第三者へ当該技術のライセンス供与・OEM供給・後継機認定を行った事実はありません。類似表現や比較表示を見かけた際は、出所のご確認をお願いいたします。技術の正式情報は下記をご参照ください。
→ 3Dフリーザー®の技術ページ(公式)
→ 着霜低減・連続運転に関する検証記事(公式)
ご不明点は お問い合わせ からお気軽にご相談ください。
色々な質問をまとめた記事がありますので、詳しくはこちらをご参照ください。急速冷凍のFAQ集
