連続式の急速冷凍機を検討する際、必ず比較対象となるのが「スパイラルフリーザー」と「トンネル型フリーザー」です。両者はどちらも優れた装置ですが、その特性は大きく異なり、自社の目的や環境に合わない方を選ぶと、生産効率の低下や無駄なコストを招きかねません。
本記事では、業務用冷凍機の専門メーカーであるKOGASUNが、両者の違いを「①設置面積」「②凍結品質」「③コスト」「④衛生管理」の4つの重要な軸で徹底的に比較・解説します。
この記事を読めば、貴社の製品、生産量、そして工場にとって、どちらが本当に最適な選択なのかが明確になります。
より網羅的な情報をお求めの方は、まずはこちらの完全ガイドをご覧ください。
→ スパイラルフリーザー完全ガイド|仕組み・選び方・価格まで徹底解説
Contents
比較1:設置面積とレイアウトの自由度
最も大きな違いは、コンベアの搬送方向と、それに伴う設置面積です。
| 比較項目 | スパイラルフリーザー | トンネル型フリーザー |
|---|---|---|
| コンベア形状 | 螺旋状(縦方向) | 直線状(横方向) |
| 設置面積 | 小さい | 大きい |
| レイアウト自由度 | 高い | 低い |
スパイラルフリーザーは、コンベアを縦に積み上げることで、限られた床面積でも長い搬送ラインを確保できます。「既存の工場に新しいラインを増設したいが、もうスペースがない」といった場合に最適です。
一方、トンネル型フリーザーは直線的に長いスペースを必要とします。新設の工場などで、レイアウトに制約がない場合には有効な選択肢です。


勝者:スパイラルフリーザー
比較2:凍結品質と得意な食品
凍結品質は、冷風の当て方と製品が庫内を通過する時間(滞留時間)に影響されます。
| 比較項目 | スパイラルフリーザー | トンネル型フリーザー |
|---|---|---|
| 得意な処理 | 長時間冷却が必要な製品 | 短時間で凍結する製品 |
| 品質の均一性 | 高い | 製品による |
| 得意な食品 | 揚げ物、パン、包装品 | バラ凍結(IQF)、薄い製品 |
スパイラルフリーザーは、長い滞留時間を確保しやすいため、ハンバーグやパン生地、調理済み食品など、中心までじっくりと熱を取る必要がある製品の冷却・冷凍に適しています。また、KOGASUNの3Dフリーザー®のように、高湿度の冷気で包み込むように冷却するタイプは、乾燥を防ぎ、高い歩留まりを実現します。
トンネル型フリーザーは、強力な冷風を直線的に吹き付けるため、瞬間的な冷却能力に優れています。ひき肉や魚の切り身、カット野菜などのバラ凍結(IQF)に適しています。
引き分け(製品による)
比較3:コスト(初期費用と運用費)
コストは、初期費用と運用費(ランニングコスト)を合わせた総所有コスト(TCO)で考える必要があります。
| 比較項目 | スパイラルフリーザー | トンネル型フリーザー |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い傾向 | 安い傾向 |
| 運用費(電気代) | 省エネ性が高いモデルも | 高くなる傾向 |
| TCO | モデルによる | モデルによる |
一般的に、トンネル型フリーザーの方が構造がシンプルなため、初期費用は安くなります。しかし、運用コスト、特に電気代は、装置のエネルギー効率によって大きく変わります。
スパイラルフリーザーは初期費用が高い傾向にありますが、KOGASUNの3Dスパイラルフリーザー®のように、ダクトレス構造でエネルギー効率を高めたモデルであれば、長期的に見て運用コストを大幅に削減できる場合があります。
コストに関するより詳しい解説はこちらをご覧ください。 → スパイラルフリーザーの価格・コスト完全ガイド
引き分け(TCOでの比較が必須)
比較4:衛生管理とメンテナンス性
食品工場において、衛生管理のしやすさは極めて重要な選定基準です。
| 比較項目 | スパイラルフリーザー | トンネル型フリーザー |
|---|---|---|
| 構造 | 複雑 | シンプル |
| 洗浄性 | CIP機能が重要 | 洗浄しやすい |
| メンテナンス性 | 部品点数が多い | 部品点数が少ない |
トンネル型フリーザーは構造がシンプルなため、部品の分解や洗浄、メンテナンスが比較的容易です。
スパイラルフリーザーは構造が複雑で、従来型は洗浄のしにくさが課題でした。しかし、近年はCIP(自動洗浄)装置を標準搭載したモデルが主流です。さらに、KOGASUNの3Dスパイラルフリーザー®は、雑菌の温床となりやすい庫内ダクトを完全になくしたことで、圧倒的な洗浄性を実現しています。
勝者:トンネル型フリーザー(ただし、最新のスパイラルフリーザーは同等以上の洗浄性を持つモデルもある)
結論:どちらを選ぶべきか?
| スパイラルフリーザーがおすすめな場合 | トンネル型フリーザーがおすすめな場合 | |
|---|---|---|
| 工場 | 設置スペースに限りがある | 設置スペースに余裕がある |
| 製品 | 揚げ物、パン、調理済み食品など、じっくり冷却したい | バラ凍結(IQF)など、瞬間的に凍結させたい |
| 方針 | 生産ラインの自動化、省人化を重視する | とにかく初期費用を抑えたい |
最終的には、「何を、どれだけ、どこで凍らせたいのか」を明確にし、両者のメリット・デメリットを比較検討することが重要です。
KOGASUNでは、お客様の製品での凍結テストを通じて、最適な機種選定をサポートいたします。どちらのタイプが適しているか迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。
