急速冷凍機の選び方と見積書の見方|落とし穴チェック

急速冷凍機の「選定ミス」は、導入後の品質・歩留まり・電気代に直結します。本記事は、選び方の要点 → 見積書の読み方 → 典型的な落とし穴の順で、実務で迷いやすいポイントを図表とチェックリストで解説します。

急速冷凍機の選び方と見積書の見方の概要図

本記事のまとめ

  • 「凍結能力」の表記条件(食材・初期温度・庫内温度・目標温度・時間)を必ず合わせて比較する。
  • 目的に合わせて、方式×サイズ×運用(バッチ/連続)を決める。悩んだら先に冷凍テストで品質を見極める。
  • 総コストは「本体+搬入設置+冷媒配管工事+電力+保守+消耗品」。補助金・税制も含めて回収期間で判断。
  • 見積書は抜け漏れと前提条件を精査。能力・到達温度・処理時間・電源容量・スペース・衛生設計をチェック。

基礎の仕組みや方式差は 「瞬間冷凍と急速冷凍の違い」「急速冷凍機の仕組み」 で復習しておくとスムーズです。

1. 急速冷凍機の選び方:7ステップ

ステップ1|目的・食品・品質基準を決める

  • 例:刺身品質を維持/油脂多めの惣菜の歩留まり改善/焼成品の乾燥ロス低減 など
  • 基準例:解凍後のドリップ/食感/光沢、中心温度の到達時間、連続稼働性、衛生要件(HACCP)

実機の品質はテストが最速。冷凍・冷却テストのご案内 から予約し、まず自社食材で確認しましょう。

ステップ2|方式を選ぶ(用途×コスト)

  • エアブラスト:汎用・量産向け。多品種対応。
  • ブライン/コンタクト:伝熱が速く均一。形状が揃った製品に。
  • 極低温(液体窒素等):超高速・高品位だがランニングコストに注意。
  • 3Dフリーザー:乾燥や収縮を抑え、味・食感を保持しやすい。多品種対応。

方式比較の要点は 3D凍結®ラボ(方式比較) を参照。

ステップ3|処理量と運用(バッチ/連続)を決める

  • 目標処理量(kg/日・ピーク時/h)から、バッチあたりのkgとサイクル時間を逆算。
  • バッチ頻度が高い・定型品は連続(コンベア/スパイラル)も検討。

該当製品:製品ラインアップカートインタイプ

ステップ4|設置条件と衛生設計

  • 電源容量・排熱・動線・床荷重・清掃性(分解洗浄しやすさ、ドレン、結露/霜対策)。
  • HACCP準拠の温度管理・トレー運用・交差汚染対策。

ステップ5|品質の決め手(氷結晶帯の通過と乾燥抑制)

  • 最大氷結晶生成帯(約-1〜-5℃)を短時間で通過すると、細胞破壊が抑えられ、解凍品質が安定。
  • 3Dフリーザーは乾燥ロス・収縮を抑え、艶・食感を維持しやすい。

参考:瞬間冷凍と急速冷凍の違い3Dフリーザー®とは

ステップ6|補助金・税制・レンタル

  • 補助金:対象・補助率・スケジュールを確認。
  • 税制:中小企業経営強化税制の即時償却/税額控除。
  • 短期はレンタルも選択肢。まず実績と回収を検証。

参照:補助金について税制優遇レンタル完全ガイド

ステップ7|事例で確認し、テスト→選定→導入

近い業種・製品の事例:導入事例一覧魚介パン/菓子 ほか)

2. 見積書の見方:重要項目チェック

項目 見るポイント 落とし穴
凍結能力(kg/バッチ or kg/h) 食材/初期温度/庫内温度/目標温度/時間の前提を明記。 公表値は仮定条件で能力が記載されている。
到達温度・時間 品温の基準(中心温度)、-18℃到達の定義を確認。 表面温度で記載、中心温度が未記載のことがある。
方式・ファン/気流 乾燥抑制やムラの少なさを確認。 乾燥ロス・収縮・艶落ちが増加するリスク。
設置・電源・工事 電源容量/排熱/給排水/ダクト/床荷重を確認。 搬入・設置・電気工事費が別見積もりの場合あり。
衛生・清掃 分解洗浄性、ドレン、結露/霜対策の確認。 洗浄が手間で生産停止が増えるリスク。
保守・保証 年次点検・消耗品の確認。 稼働停止時の機会損失が大きいため要注意。

3. よくある「落とし穴」チェックリスト(導入前に✓)

  1. 能力表記の条件不一致(中心温度の定義が違う)。
  2. テスト食材と現場食材の脂・含水率差で品質が変わる。
  3. 庫内湿度が低く乾燥ロス/収縮が増加。
  4. 連続稼働で霜・霜取り時間が増え、実効能力が低下。
  5. 搬入経路・設置スペースの見落とし(カート/台車の回転半径)。
  6. 電源容量不足・ブレーカ選定ミス。
  7. 清掃・ドレン設計不足で衛生リスク
  8. 温度記録・バッチ記録がなくHACCP証跡が弱い。
  9. 補助金・税制のスケジュール遅延で発注タイミングを逃す。
  10. レンタル/リース/購入の資金計画未検討。

4. 方式比較の早見表

比較項目 エアブラスト 液体凍結 窒素凍結 電磁場 3D
初期導入コスト 低~中中~高中~高
月間運用コスト 中(電気)高(液体補充)非常に高(窒素補充)高(電力大)低~中(電気のみ)
包装の必要性 不要真空必須不要不要不要
乾燥リスク
冷凍ムラ 発生しやすい少ない少ない発生しやすい非常に少ない
生産効率 中~低
品質保持 良好優れている良好優れている
管理の容易さ 比較的簡単やや複雑複雑やや複雑比較的簡単

詳細は 方式比較ガイド を参照。

5. 参考事例(品質と運用の解像度を上げる)

6. 補助金・税制・レンタルの活用

補助金の最新情報税制優遇レンタル完全ガイド を確認。投資回収の見立てを早期に。

7. 導入ステップ(現場で失敗しない段取り)

  1. テスト予約冷凍・冷却テスト に自社食材を持込/郵送。
  2. 前提の固定:能力・時間・温度・重量・トレー段取りを仕様書化。
  3. 現地確認:搬入経路・電源・排熱・ドレン・清掃性を現地で擦り合わせ。
  4. 資金計画:補助金/税制/レンタル可否とスケジュール整合。
  5. 立上げ支援:初期レシピ・解凍手順・温度記録の運用を固める。

8. よくある質問(FAQ)

Q. 凍結能力はどの数値を信じればいい?

中心温度の到達時間を基準に、食材・初期温度・庫内温度・目標温度を合わせて比較します。実機テストの結果と一致する条件で見積書に明記を。

Q. 乾燥や収縮を抑えたい。

庫内湿度と気流の当て方、霜取りの運用が鍵です。3Dフリーザーは乾燥ロスを抑えやすい設計です。

Q. レンタル・リース・購入の違いは?

短期はレンタル、キャッシュフロー重視はリース、長期コストは購入が有利になりやすいです。補助金・税制も合わせて回収年数で比較を。

9. まとめ

選び方は「方式×処理量×品質基準×運用」で決まります。まずは自社食材でテストし、同条件で見積を比較しましょう。ご相談はお問い合わせから。

KOGASUN PRESS

3D凍結®で「食」の未来を変える。 技術と品質に絶対の自信をもつKOGASUNが、豊富な経験と専門知識に基づいた有益な情報をお届けします。

関連記事

お問い合わせ