マダラ卵など付加価値

引用元:水産新聞 2022年3月21日 掲載

「3D冷凍」活用、高品質に

寿都町漁協所属で定置・底建網などを営む㈲マルホン小西漁業(小西正之代表)は、最新の冷凍技術「3D冷凍」を活用し、“超高品質冷凍”の自社加工品を打ち出している。オスのニシンのフィレーやマダラの卵も販売。魚価安に見舞われがちな鮮魚の付加価値化を実現している。

数年前からホッケ、ヒラメなどに船上活じめを実施するなど、高鮮度での出荷を重視。アニサキス問題などで冷凍品のニーズが高いと捉え、2020年12月に古賀産業㈱の3Dフリーザー1台を導入した。

魚介類に3D冷凍を施し、全方位から高湿度の冷気で均一に短時間で凍結。昨年は冬のニシンなど鮮度落ちが早い魚種を使った前浜産加工品を産直アプリ「ポケットマルシェ」を通じ販売した。

今年も2月下旬から、新たにマダラの卵の冷凍品を産直アプリで個人向けに売り出した。加工直販担当の内山貴仁さんは「反響がいい。全国各地の魚好きがお客さんだと考えている」と話す。

続けて「地元ではマダラの卵を生で食べている。道外のお客さんは『どうやって漁師が魚を食べているか』ということに興味をもっている」と話す。商品発送時には地元での生たらこの作り方などを記載したレシピを同封している。

昨年に続き好評のオスのニシンのフィレーは、3Dフリーザーの本領を発揮。船上活じめや血抜きなど一連の処理を終えた鮮魚に、解凍時にドリップが出ない3D冷凍の技術が加わり、ニシン本来の脂乗りや鮮度を刺身で存分に味わうことが可能となった。

内山さんは「コロナ禍で北海道旅行を断念した本州の人が、北海道らしい食材として購入してくれる」と説明。岩内町のすし店などに納入しており「使い勝手の良さなどが好評」という。

また、昨年末から1月半ばごろまで後志管内でサバが大漁だったが、浜によっては仕向先を確保できず、極端な魚価安などで苦慮した。マルホン小西漁業では12月下旬に日量8㌧と穫れ、一部を加工に回すことで資源の有効活用に結び付けた。三枚おろしで販売、「サバ好きに人気だった」と売れ行きを示す。

法人向けの販路開拓も進展している。昨年11月には後志総合振興局が主催するニセコ町での商談会に参加。品質の高さが評価され、ホテルに対してホッケやサケ、マダラの3D冷凍品を販売するなど手応えをつかんだ。今後も商談会出展やなじみのある飲食へのアプローチを強化する。「3D冷凍の商材は飲食店側も保存や扱いのしやすさのメリットがある」と話す。

 

寿都町漁協のマルホン小西漁業
(左から)3D冷凍を施したニシン、サバ、マダラの卵

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