タラバ商品 安定供給へ

引用元:水産新聞 2017年12月4日 掲載

「3D冷凍」で生産性向上

カニなど卸・加工の株式会社札幌大成(札幌市、作間健太郎社長、電話011・633・8020)では、年末年始用やギフトなどで販売が伸長しているタラバガニ1肩のシュリンクパックの生産が最盛期に入った。今年急速冷凍の新技術「3D冷凍」のフリーザーを新たに備え、商品の品質向上と併せて生産性を大幅に増強。取引先の追加注文などへの対応力を高め、安定供給に臨んでいる。

札幌大成

ボイル、生のシュリンクパックは主力商品の一つ。実入りを厳密にチェックし製造。見栄えを追求し、金字の英語表記と真っ赤なタラバを配したラベル、出荷用外装箱のデザインも好評を得ている。

年末ギフト向けなどで道内外の量販店、ネット通販のほか、今年からシンガポール市場向けに供給を開始。販売数量が年々伸長し「需要期には冷凍処理が追い付かず、注文に応えきれなかった」と作間社長。チャンスロスの解消に向け、3Dフリーザーのバッチ式を導入した。

従来、エアブラスト式冷凍庫(マイナス25度)で凍結完了まで8時間以上。原料を回答し、成形後、冷凍庫に投入すると、次工程のグレーズ処理は翌日に持ち越し。グレーズ処理後、再度冷凍庫で寝かせ、シュリンク包装がさらに翌日となり「製品化まで日数を要していた」と話す。

3Dフリーザー(マイナス35度)は、1肩800㌘の製品を1回に160個ほど投入し、30~40分で凍結完了。「すぐにグレーズ処理を行うことができ、その時点で1日短縮。グレーズ処理後も3Dフリーザーに投入すれば、1日で製品に仕上げられる」と説明。生産効率が上昇し「人手も増員せずに生産量を増やすことができる」と、コスト削減も導入効果に挙げる。

また、直接冷気を庫内に吹き出し、商品に当てる強制循環方式と異なり、3Dフリーザーは全方位から高湿度の冷気で包み込んで均一に一気に冷凍。「表面が白くならず、真っ赤なままで凍り、見栄えも良くなる」という。

新規事業に挑戦

冷凍処理の機能強化で「今年からは需要期の注文に十分に応えていける」とし、年明け以降はエビ製品の立て直しなど「今までできなかった受託加工も可能」と強調。さらに冷凍時のダメージを防ぎ、解凍後も冷凍前に限りなく近い品質・風味を再現できる特徴を踏まえ「いろいろ挑戦していきたい」と、新食品の開発など事業拡大に意欲を高めている。

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