名物の貝汁、家庭でも

引用元:みなと新聞 2023年3月17日 掲載

飲食店が3Dフリーザー導入

【山口】山口県山陽小野田市にある飲食店みちしお。国道沿いにドライブインや宴会、軽食店などを展開し、名物の貝汁を提供することで知られる。この貝汁を急速冷凍して、家庭で味わえる冷凍貝汁が話題を呼んでいる。

祖父から受け継ぐ味を守るのが3代目の西川満洋社長だ。コロナ禍で苦戦する飲食業界、繁盛店のみちしおも例外ではなかった。「何か新しい業態を模索していた」と西川社長は振り返る。過去には、看板商品の貝汁を冷凍商品へ展開しようと試みたことはあった。だが、具材のアサリを冷凍すると、解凍後に身がやわらかくなりすぎ本来の食感や味が損なわれた。

最近になり、地元で急速冷却と急速冷凍装置を製造、販売するコガサン(同県下関市、古賀靖社長)の存在を知った。3Dフリーザーは、加熱調理した商品をそのまま庫内へ入れて急速冷凍ができる特長がある。すぐさま小型のバッチ式タイプを導入し、商品の製造を開始した。

仕入れるアサリは、業者が砂抜きや異物除去をしている貝だが、それでも最終処理と選別はみちしお側で行っている。自社が設置する水槽で、濃度3%の塩水に漬け時間をかけ丁寧に貝の砂抜きをしている。貝汁のレシピは、アサリの他、米みそをベースに昆布、カツオ節、サバとイワシの削り節でだしを取るなど店で提供するものとまったく同じだ。

炊き上がった汁を長方形の立方体型枠に充填(じゅうてん)し、3Dフリーザーの庫内へ入れる。固まれば真空パックした後に包装紙で包めば完成となる。半年以上、試行錯誤を繰り返し2021年2月から店頭やインターネットなどで販売を始めた。

テークアウト需要の高まりを背景に、売れ行きは伸長し凍結装置を2台に増設。それでも間に合わず、カートインタイプで大容量の3Dフリーザーを導入した。これによって、従来の2倍の生産が可能になり、一度に200個以上の冷凍貝汁が2時間ほどで完成する。

小田晋支配人は「個人的には、冷凍した方が味が凝縮した感じで好きだ」と実感している。冷凍貝汁は、2人前の400グラム入りが主力商品。最近、1人前の200グラムも売り始めた。生協や地元の多くのスーパーなどでも取り扱いが広がる。同社では、冷凍加工した商品のアイデアを今後も模索していく方針だという。

 

みちしおの看板メニューの貝汁
3Dフリーザーで冷凍貝汁を作る小田支配人
アサリ コガサン 機器 資材 山口
2023年03月17日 18時20分 配信

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