スパイラルフリーザーのCIP洗浄マニュアル|中性洗剤・床排水で実現する衛生設計

結論:CIPは「中性洗剤×床排水設計」で決まる

  • 中性洗剤中心で洗うと、アルミのフィンコイルを腐食から守れます。
  • 強酸は使わず、必要なときだけアルミ対応のスケール除去剤を短時間で。
  • 洗浄しやすい庫内構造と床排水設計が、ムラのないCIPを支えます。

スパイラルフリーザーのCIPをやさしく説明

CIP(Clean-in-Place)は、分解せずに庫内やベルトを自動で洗う方法です。 ポイントは「4つのT」=時間・温度・濃度・流れ。むずかしく考えず、 『やさしい温度(35–45℃)で、中性洗剤を決めた濃度に薄め、まんべんなく当てて、決めた時間で流す』だけ。 仕上げにしっかりすすぎ→しっかり乾燥で、再付着や腐食を防ぎます。

まずここを見る(3つの衛生設計)

1) メンテナンス性の高い構造

スパイラルフリーザーは構造が複雑になりがちですが、庫内の見通しを良くし、手やノズルが届きやすいよう設計することが大切です。点検口や照明を適切に配置すれば、洗浄後の確認もスムーズになります。

2) 駆動部の防錆・防汚設計

モーターや減速機は庫内にありますが、ステンレスカバーや防滴シールを活用することで水分や洗剤の侵入を防げます。定期的な点検とグリス交換で錆びや摩耗を抑え、CIP洗浄時のリスクを低減します。

3) 床排水(床タンク)

床は1〜2%勾配を取り、水が滞留しないようにします。
太めのドレンやUトラップでスムーズに排水すれば、カビ・臭いの発生を防げます。

中性洗剤での標準フロー(例)

※工場のルール/SDS/メーカー指示を最優先。数値は目安です。

ステップ ねらい 目安条件 チェック
前洗浄(プレリンス) 大きな汚れを流す 35–45℃・3–5分 排水の濁りが減るか
中性洗剤洗浄 たんぱく・油の除去 pH6–8の食品用中性洗剤 0.5–1.5%
35–45℃・8–12分
設定濃度(導電率/容量法)・時間
すすぎ(リンス) 洗剤をしっかり落とす 常温〜40℃・3–5分 pH/導電率が原水レベル
(必要時)中性系の除菌 微生物リスク低減 メーカー承認の中性除菌剤
表示濃度・接触3–5分
濃度・時間(必要なら最終リンス)
乾燥・排水 再付着・腐食防止 ブロワや送風で完全排水・乾燥 水溜まり・結露なし

💡スマホでは左右にスワイプして表全体を確認できます。

注意:強い酸・酸性殺菌剤は基本使わない。どうしてもスケール除去が必要な場合は、アルミ対応の中性スケール除去剤(キレート系)でピンポイント、短時間・十分リンスで対応。

フィンコイル(アルミ)と銅配管を守るコツ

  • 強酸NG(アルミ腐食、ろう付け部へのダメージ)。
  • 塩素系の高濃度や低pHも避ける(点食リスク)。使うなら濃度・時間・温度を厳守。
  • すすぎを長めに:薬剤を残さない。最後は完全排水
  • ノズルの当たりムラをなくす(ベルト裏・コーナー・支柱の影を重点確認)。
  • 定期的にATP/色水テストで到達性チェック。

現場チェックリスト(貼って使える版)

  • 洗剤:中性(pH6–8)/濃度は量りで確認
  • 温度:35–45℃(高すぎ注意)
  • 時間:各ステップの開始・終了を記録
  • ノズル:影になっていないか/詰まりなし
  • 排水:床勾配1–2%・水溜まりゼロ
  • ログ:温度・時間・導電率(濃度)を保存

関連・参考(内部リンク)

FAQ(よくある質問)

Q. 酸は一切ダメ?

A. 基本は使いません。ただし、水垢などの固着がひどい部位に限り、アルミ対応の中性スケール除去剤で短時間のスポット洗浄は可(メーカー許可・十分リンス)。

Q. 中性だけで本当に落ちる?

A. 基本は使いません。ただし、水垢などの固着がひどい部位に限り、アルミ対応の中性スケール除去剤で短時間のスポット洗浄は可(メーカー許可・十分リンス)。

Q. 除菌はどうする?

A. 中性系の除菌剤(食品設備適合)を使います。濃度と接触時間を守り、必要なら最終リンスを。残留が出ないよう記録と確認を。

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