連続運転 エアブラストの2倍可能
東京海洋大学の渡辺学推教授らの研究チームは非貫流方式3Dフリーザー(3D)は、通常のエアブラスト式冷却機(AB)より「2倍以上の連続運転が可能」なことを実証した。「着霜が遅く、熱交換性能の低下が起こりにくい」ため。この実験結果は先週、中央大学駿河台記念館であった日本冷凍空調学会年次大会で21日、食品・生体冷凍の最新技術の一例として発表された。
これは、3Dメーカーのエアオペレーションテクノロジーとの共同で実施したもの。実験は3DとABとの比較試験で、冷却装置の寸法、湿度など同一の条件にし、庫内温がマイナス30℃になったところで温水を注・排水。湯気ができる着霜の影響で連続運転が不能に陥る時間を比べた。
その結果、ABは約2時間50分で運転不能に陥った一方、3Dは運転し続け約7時間で実験を打ち切った。このため「3Dの連続運転可能時間は見極められなかったが、少なくともABの2倍以上ある」(研究チーム)ことを実証した。
3Dは冷却器の後ろを壁でふさぎ、通気孔のないダクトレス構造を採用しているのが最大の特徴。これによって、水分を含む食品が放つ水蒸気の貫流を防ぎ、着霜の大幅軽減を可能にした。
AOTでは、3Dは冷蔵庫につきまとうデフロスト(霜取り)を各段に減らす、エネルギーなどロスを省くことで「ランニングコストは最大30%削減できる」という。また「着霜の軽減は庫内の保湿力増大を意味し、冷凍による食品の乾燥抑制、品質向上にもつながる」としている。
冷凍空調学会発表
AOT社内での実験風景
渡辺教授(左)と先の学会で実験結果を発表した東京海洋大4年生の浦上真吾さん