
ベーカリーや食品工場の皆様から、「パンを焼きたての状態で保存したい」というご相談をよくいただきます。 特に「あんぱん」のように、皮(パン生地)と中身(あんこ)で水分量や熱の通り方が違う商品は、冷凍の難易度が高いアイテムの一つです。
今回は、あえて「60℃」というまだ温かい状態から3Dフリーザーに投入し、焼きたての品質をどこまでキープできるかテストを行いました。
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テスト条件と結果

今回は、焼き上がって少し落ち着かせた、まだ湯気が出ているような状態からのスタートです。
- サンプル名:あんぱん(焼成後)
- 投入温度:60℃(※温かい状態)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:60分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

60℃のあんぱんを、中心までカチカチにするのにかかった時間は60分。 一見長く感じるかもしれませんが、パンの品質保持、特に「あんぱん」という特性を考えると、このデータには非常に重要な意味があります。
1. 「老化」する隙を与えない!焼きたてを閉じ込める
パンが最も劣化(デンプンの老化=パサパサになること)するのは、水分が抜けながら冷めていく過程、特に2℃〜4℃付近と言われています。 自然冷却でゆっくり冷ますと、この「老化温度帯」に長く留まることになり、どんどん水分が飛んで固くなってしまいます。
今回のテストのように60℃から一気に冷凍庫へ入れるメリットは、この老化が進む前に時間を止められることです。 解凍したとき、パン生地がしっとりとしていて、まるで窯から出したてのような香りが残るのは、この「高温投入」ができる急速冷凍ならではの強みです。
2. 厚みのある「あんこ」も、生地を乾かさずに芯まで凍結
あんぱんの難しさは、中心にある「あんこ」にあります。糖度が高く密度が高いあんこは、パン生地に比べて非常に熱が抜けにくく、凍りづらいのです。 中心のあんこが凍るのを待っている間に、外側のパン生地が冷風にさらされすぎて「カピカピに乾燥してしまう」というのが、一般的な冷凍庫の失敗例です。
3Dフリーザーは、「高湿度な冷気」で包み込むため、60分間冷やし続けてもパンの表面から水分を奪いません。 その結果、中心のあんこはしっかり-18℃まで落ちているのに、外側のパン生地はふっくらとした質感を保つことができます。
3. 「冷ます時間」をカットし、菌の繁殖リスクも低減
通常、パンを包装・冷凍する前には、ラックに並べて数時間「放冷(粗熱取り)」を行う必要があります。しかし、この放冷時間はスペースを取る上に、空気中の菌が付着したり、水分が飛びすぎたりするリスクがあります。
60℃という高温から冷凍プロセスに入れるということは、「焼き上げ→(短時間の粗熱取り)→即冷凍」というラインが組めることを意味します。 作業効率が上がるだけでなく、衛生面でも非常にクリーンな状態で商品を保存・出荷できるようになります。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
パンの種類によって、最適な冷凍条件は全く異なります。
- フランスパン:皮のパリパリ感を残したい
- 食パン:クラム(中身)のしっとり感を守りたい
- 惣菜パン・菓子パン:具材と生地のバランスを見たい
今回のあんぱんのように「具材」がある場合、中心温度が下がるまでの時間は具材の量や種類によって大きく変わります。 デモテストを行うことで、「芯までしっかり凍っているか(未凍結による腐敗リスクの回避)」と「解凍後の生地の食感」をご自身の舌で確かめていただけます。
まとめ
今回のテストでは、60℃のあんぱんを60分で急速凍結することで、「焼きたての香りとしっとり感」を維持したまま長期保存が可能であることが実証されました。
「ロスを減らすために冷凍したいが、味が落ちるのは嫌だ」「焼きたてのおいしさを通販で届けたい」とお考えのベーカリー様、食品メーカー様。 ぜひ一度、貴社の自慢のパンで、3Dフリーザーの実力を試してみませんか?
