引用元:水産新聞 2021年3月9日 掲載
水産加工の進化生み出す
前浜資源の減少など転換期を迎え、商品・経営戦略の改革に取り組む水産加工業界で導入が広がっている古賀産業㈱(山口県下関市、古賀靖社長)の「3D冷凍」。全方位から高湿度の冷気で包み込んで製品を均一に短時間で凍結。解凍後も品質が損なわれないハイグレードの冷凍加工品を生み出す新技術で、既存商品の高品質化や新規商品の開発、製造工程の効率化、商圏拡大などの突破口を開いている。導入3社に聞いた。
解凍時ドリップ抑制 マスいくらなど効果
森町砂原の㈱ワイエスフーズ(坂本拓也社長)は3年前に3Dフリーザーを2台導入した。ホタテのハーフシェル、マス・サケのいくら、スケソの白子など各種商品を凍結し、解凍時のドリップ抑制など凍結品質のレベルアップを実現。パッケージや出荷箱に「3D」の使用を表示し、販売拡大に臨んでいる。マイナス 38度に冷やした庫内に製品を投入し、芯温マイナス 25度を目安に凍結。ハーフシェフは35分程度で完了。導入前の通常のエアブラストに比べ最大氷結晶生成温度帯の通過が早く、細胞が壊れないため、本社工場の館山真司工場長は「解凍すると、生の食感が残っている。焼いても硬くならない」と話す。
また、いくらは1時間40分ほどの凍結時間。特 に冷凍卵から仕立てるマ スいくらが「一番導入効果が大きい」と説明。「通常のエアブラストではドリップが出てしまう原卵も3Dは出ない。製品の仕上がり品質が格段に良くなり、購入先の評価もいい」と続ける。
出荷時に「3D」使用を表示
マスいくらなどの凍結で稼働