「業務用急速冷凍機を導入したいが、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない」 「自社の食材に、本当に合った凍結方式はどれなんだろう?」
業務用急速冷凍機と一言で言っても、その冷却方式にはいくつかの種類があり、それぞれに得意なこと・不得意なことがあります。高価な設備だからこそ、それぞれの方式の特性を正しく理解し、自社の主力商品や生産体制に最も適した一台を選ばなければ、投資を無駄にしてしまうことにもなりかねません。
冷却方式の選定ミスは、
•「凍結後の品質が、期待したほどではなかった」
•「生産能力が足りず、作業のボトルネックになってしまった」
•「ランニングコストが、想定以上にかさんでいる」
といった、導入後の後悔に直結します。
この記事では、業務用急速冷凍機の専門メーカーであるKOGASUNが、現在主流となっている3つの冷却方式「エアブラスト式」「リキッド式(液体凍結)」「3Dフリーザー®」について、その仕組みとメリット・デメリットを徹底的に比較・解説します。
Contents
冷却方式1:エアブラスト式(冷風凍結)
【仕組み】 -50℃〜-30℃程度の非常に冷たい風を、ファンを使って食品に強く吹き付けることで凍結させる、最も一般的で普及している方式です。家庭用冷凍庫の強力版をイメージすると分かりやすいでしょう。
【メリット】
•汎用性が高い: 液体、個体、包装の有無を問わず、あらゆる種類の食品に対応できます。
•比較的安価: 他の方式に比べて、導入コストが比較的安い傾向にあります。
•機種が豊富: 様々なメーカーから、バッチ式(棚に並べるタイプ)やトンネル式(コンベアで流すタイプ)など、多様なサイズ・形状の機種が販売されています。
【デメリット】
•乾燥しやすい(冷凍焼け): 食品に直接強風を当てるため、表面の水分が奪われやすく、特に包装されていない食品は乾燥(冷凍焼け)しやすい傾向があります。
•凍結ムラが起きやすい: 風の当たり方によって、凍結速度にムラが出ることがあります。特に、食品を密集させて置くと、風の通り道がなくなり、中心部の凍結が遅れがちです。
•熱交換効率が低い: 空気は液体に比べて熱を伝える効率が悪いため、次に紹介するリキッド式に比べると、凍結速度は遅くなります。
【こんな事業者におすすめ】
•多品種の食材を扱う事業者
•初期投資をできるだけ抑えたい事業者
•すでに真空包装する体制が整っている事業者
冷却方式2:リキッド式(液体凍結)
【仕組み】 -30℃前後に冷却したアルコールや塩化カルシウムなどの液体(ブライン液)の中に、真空包装した食品を直接漬け込むことで凍結させる方式です。「液体凍結」とも呼ばれます。
【メリット】
•圧倒的な凍結スピード: 液体は空気の約20倍も熱伝導率が高いため、非常に速く凍結させることができます。このスピードは、ドリップの流出を抑え、高い品質を維持する上で大きな武器になります。
•凍結ムラがない: 液体が食品の形状に沿って全体を均一に包み込むため、風のように「当たりムラ」がなく、隅々まで効率的に凍結できます。
【デメリット】
•真空包装が必須: 食品を液体に直接漬けるため、防水性の高い真空包装が必須となります。包装されていないものや、包装が破れやすいものは凍結できません。
•液体の管理が必要: ブライン液の定期的な交換や濃度管理が必要です。電気代とは別に定期的なブライン液のランニングコストが発生します。また、食品にアルコールの匂いが移らないよう、注意が必要です(特に包装が不完全な場合)。
•対応できない食材: パンやケーキなど、柔らかく、真空包装すると形が崩れてしまう食品には適していません。
【こんな事業者におすすめ】
•肉や魚、ソース類など、真空包装できる食材が中心の事業者
•凍結スピードと品質を最優先したい事業者
•セントラルキッチンなどで大量生産を行う事業者
冷却方式3:3Dフリーザー®(ACVCS式)
【仕組み】 KOGASUNが特許を持つ独自の方式で、正式名称は「非貫流熱交換方式(ACVCS)」と言います。フィンコイル(熱交換器)の周りを、湿度を含んだ冷気が一方向に流れるのではなく、庫内全体を包み込むように循環します。これにより、食品から熱だけを奪い、水分(うるおい)は奪わないという、理想的な熱交換を実現します。
【メリット】
•乾燥しない(保湿凍結): 食品に直接風を当てないため、水分蒸発が極めて少なく、包装されていないパンやケーキ、和菓子、米飯なども、乾燥させずにしっとりと高品質に凍結できます。
•均一な高品質凍結: 庫内のどこに置いても温度ムラがほとんどなく、すべての食品を均一な品質で凍結できます。
•ランニングコストが安い: 効率的な熱交換により、一般的なエアブラスト式に比べて消費電力を約20%〜30%削減できます。
【デメリット】
•凍結速度: リキッド式に比べると、凍結スピードは緩やかです(ただし、一般的なエアブラスト式よりは速い)。
【こんな事業者におすすめ】
•パン、ケーキ、和菓子、米飯など、乾燥を嫌うデリケートな食品を扱う事業者
•凍結品の品質と歩留まり(重量ロス)を最重要視する事業者
•ランニングコストを抑えたい事業者
方式別比較まとめ
| 方式 | 凍結スピード | 品質(乾燥) | 汎用性 | 導入コスト | ランニングコスト |
|---|---|---|---|---|---|
| エアブラスト式 | △ | ×(乾燥しやすい) | 〇 | ◎(安い) | 〇 |
| リキッド式 | ◎ | ◎(要真空包装) | △ | △ | △ |
| 3Dフリーザー® | 〇 | ◎(乾燥しにくい) | ◎ | △ | ◎ |
まとめ:最適な一台は「冷凍テスト」で見つかる
ここまで、3つの代表的な冷却方式の特徴を解説してきました。それぞれに一長一短があり、「どの方式が絶対的に優れている」というものはありません。
•汎用性で選ぶなら、エアブラスト式
•スピードで選ぶなら、リキッド式
•保湿性・品質で選ぶなら、3Dフリーザー®
という大まかな指針はありますが、最終的にあなたのビジネスに最適な一台を見つけるための唯一かつ最良の方法は、「実際に自社の食材を、それぞれの方式で凍結・解凍し、比較検討すること」です。
カタログスペックだけでは分からない、微妙な食感や風味の違い、歩留まりの差などを、ご自身の目と舌で確かめる。この「冷凍テスト」のプロセスを抜きにして、最適な冷凍機選びはあり得ません。
KOGASUNでは、エアブラスト式、リキッド式、そして3Dフリーザー®と、あらゆる方式の急速冷凍機を取り揃え、お客様が持ち込んだ食材で、その違いを実際に体験・比較できる**無料の冷凍テスト**を実施しています。
専門のコンサルタントが、お客様のビジネスモデルや課題をヒアリングしながら、最適な機種選定から、より品質を高めるための包装・解凍方法まで、トータルでご提案させていただきます。後悔しない急速冷凍機選びのために、ぜひお気軽にご相談ください。
