クリスマスシーズンのローストチキンや、参鶏湯(サムゲタン)、フライドチキン用として流通する「丸鶏(中抜き)」。 ご馳走の主役となる食材ですが、その「大きさ」と「形状」ゆえに、冷凍加工の難易度は最高レベルです。 「表面はカチコチなのに、中心部はなかなか凍らない」「解凍すると、一番美味しいはずの胸肉からドリップが出てパサパサになる」。 丸鶏は厚みがあるため、中心まで冷気が届くのに時間がかかり、その間に細胞破壊が進んで旨味が逃げてしまいます。また、長時間風にさらされることで、皮が乾燥して白っぽくなる「冷凍焼け」も大きな課題です。
今回は、冷蔵庫で冷やした10℃の状態から、わずか60分で中心まで一気に急速凍結を行い、と畜直後のような鮮度とジューシーさを維持できるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、中抜き処理後に洗浄し、10℃(チルド帯)までしっかり予冷された状態からのスタートです。
- サンプル名:丸鶏(生・1羽丸ごと)
- 投入温度:10℃(※冷蔵・チルド)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:60分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

10℃から60分で、巨大な肉塊の中心まで凍結完了。この「1時間」という処理能力が、丸鶏の商品価値を決定づけます。
1. 厚みのある「胸肉」の細胞を守り、パサつきを回避
丸鶏の中で最もボリュームがあり、かつパサつきやすいのが「胸肉」です。緩慢凍結で時間をかけて凍らせると、内部の水分が大きな氷の結晶となり、繊維を破壊してしまいます。これが解凍後のドリップ流出と、食べた時の「ボソボソ感」の原因です。 60分で深部まで素早く凍結させることで、氷の結晶を微細に留めます。解凍後も肉汁(ジューシーさ)が繊維の中に留まるため、ローストした時にしっとりと柔らかい、極上の食感に仕上がります。
2. 複雑な形状でも「凍結ムラ」なし!お腹の中まで均一冷却
丸鶏は中が空洞になっているため、冷気の当たり方にムラが出やすい食材です。外側だけ先に凍って中が凍っていないと、解凍時に品質差(ドリップの出方の違い)が生じます。 3Dフリーザーの立体的な冷気は、丸鶏の表面だけでなく、複雑な形状の隅々まで包み込むように冷却します。全体を均一なスピードで凍らせるため、部位による品質のバラつきがありません。
3. 皮の「乾燥(冷凍焼け)」を防ぎ、美しい焼き上がりへ
ローストチキンの魅力は、パリッと焼けた黄金色の皮です。しかし、冷凍に時間がかかりすぎると、皮の水分が昇華して「冷凍焼け(乾燥して白くガサガサになる現象)」が起き、見た目が著しく悪くなります。 短時間で表面をガードし、水分の蒸発を防ぎながら凍結します。解凍後も皮には瑞々しい張りがあり、毛穴(ボツボツ)が黒ずんだり変色したりしないため、ショーケースに並べた時の見栄えが格段に向上します。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
丸鶏は、そのサイズや包装状態によって最適な凍結フローが変わります。
- サイズ規格:小ぶりな1kgサイズか、2kg超えの特大サイズか。
- 包装形態:真空パックか、シュリンク包装か、裸の状態か。
- 中身の状態:中抜きか、スタフィング(詰め物)済みか。
「詰め物をした状態でも、中心温度が下がりきるか?」「真空パックのフィルムにシワが寄らないか?」 デモテストでは、貴社が扱う実際の丸鶏を使用し、解凍後の「ドリップ量」や「皮の色味」を実際に調理して厳しくチェックしていただけます。
まとめ
今回の丸鶏のテストでは、「10℃から60分」で処理することで、厚みによる凍結ムラを解消し、胸肉のジューシーさと皮の美しさを完璧に維持できることが実証されました。
「クリスマス商戦に向けて、最高品質の丸鶏を大量ストックしたい」「ブランド地鶏の丸ごと冷凍を、贈答用として展開したい」とお考えの食肉加工メーカー様、養鶏業者様。 最も冷凍が難しい「巨大な肉塊」こそ、3Dフリーザーの技術力で差がつきます。ぜひ一度、その仕上がりをお試しください。
