解凍で出る赤い液体「ドリップ」の正体|原因と防ぐ方法【急速冷凍で対策】

冷凍した肉や魚を解凍した際に、食材から赤い液体が流れ出て困った経験はありませんか。その赤い液体こそが「ドリップ」であり、食品の品質を著しく低下させる原因です。特に水産加工業者様や飲食店経営者様にとっては、製品の見た目、風味、そして商品価値に直結する深刻な問題ではないでしょうか。

この記事では、なぜドリップが発生するのかという根本原因から、ドリップを最小限に抑えるための「急速冷凍」技術、そして、せっかく急速冷凍した食品の品質を損なわないための「正しい解凍方法」までを徹底的に解説します。急速冷凍と適切な解凍方法を組み合わせることで、食材が持つ本来の鮮度・風味・食感を最大限に保ち、お客様に最高の品質を提供できることをお伝えします。

そもそも「ドリップ」とは?品質を落とすその正体と原因

冷凍した魚や肉を解凍すると、赤い液体が流れ出てくることがあります。これが「ドリップ」と呼ばれるものです。ドリップは単なる水分ではなく、食品の品質を大きく低下させるやっかいな現象です。特に水産加工品や食肉においては、見た目の悪さだけでなく、風味や食感が損なわれ、商品価値を著しく低下させてしまいます。このセクションでは、ドリップがどのようなものなのか、その正体と発生する根本的な原因について、基礎的な知識から詳しく解説していきます。

ドリップの正体はうま味成分!赤い液体は血液ではない

多くの人が「ドリップの赤い液体は血液ではないか」という誤解を抱いていますが、それは間違いです。ドリップの正体は、食品の細胞内から流出した水分と、その水分に溶け出したさまざまな成分の混合物です。特に、魚介類や食肉のドリップに含まれる赤い色素は、ミオグロビンという色素タンパク質であり、血液とは異なります。ミオグロビンは酸素と結合する性質があり、肉の色を赤く見せている成分でもあります。

ドリップにはミオグロビンだけでなく、アミノ酸やイノシン酸といった「うま味成分」、ビタミン、ミネラルなどの重要な栄養素も豊富に含まれています。これらの成分が食品の外へ流れ出てしまうということは、単に見栄えが悪くなるだけでなく、食品本来が持つ風味や栄養価が失われることを意味します。結果として、消費者が期待する食感や味わいが損なわれ、商品価値の低下に直結する深刻な問題となるのです。

このうま味成分の流出は、食品の品質保持において非常に重要な課題です。特に品質を重視する水産加工業者や飲食店経営者にとっては、ドリップの抑制が顧客満足度を向上させ、リピートに繋がるための必須要件と言えるでしょう。

なぜドリップは発生する?食品の細胞破壊が根本的な原因

ドリップが発生する根本的な原因は、食品が冷凍・解凍される過程で引き起こされる「細胞組織の破壊」にあります。食品には多くの水分が含まれていますが、この水分が凍結する際に体積が膨張します。特に、ゆっくりと凍結が進むと、水分は大きな氷の結晶へと成長し、細胞膜を物理的に突き破ってしまいます。

細胞膜が一度破壊されてしまうと、解凍時に細胞内に保持されていた水分や、その水分に溶け込んでいるうま味成分、栄養素が外部へ容易に流れ出してしまいます。これがドリップの直接的な原因となるのです。つまり、冷凍の際にいかに細胞へのダメージを最小限に抑えるかが、ドリップの発生を抑制し、食品の品質を維持するための鍵となります。

「最大氷結晶生成帯」の通過時間が品質を左右する

急速冷凍と緩慢冷凍の比較図(氷結晶の大きさと細胞ダメージの違い)

食品の品質を保ったまま冷凍するために最も重要な概念の一つが「最大氷結晶生成帯」です。これは、食品中の水分が最も氷の結晶に変化しやすい温度帯、具体的にはおよそマイナス1℃からマイナス5℃の範囲を指します。この温度帯をどれだけ速く通過させるかが、最終的な氷結晶の大きさを決定づけることになります。

この最大氷結晶生成帯をゆっくりと通過させる「緩慢冷凍」の場合、水分は時間をかけて徐々に凍結するため、大きく鋭利な氷結晶へと成長してしまいます。この大きな氷結晶が食品の細胞組織を大きく破壊し、解凍時の大量のドリップ発生に繋がります。一方、この温度帯を短時間で一気に通過させる「急速冷凍」では、氷結晶が非常に小さく、かつ均一に生成されます。これにより細胞組織へのダメージが最小限に抑えられ、解凍時のドリップ流出を大幅に抑制し、食品本来の品質を保つことが可能になるのです。したがって、冷凍品質を語る上で、この最大氷結晶生成帯の通過時間は極めて重要な要素となります。

急速冷凍がドリップを大幅に減らせる科学的な理由

ドリップは食品の品質を著しく低下させる原因となりますが、急速冷凍技術はこのドリップの発生を根本的に抑制する画期的な解決策です。これは、食品が凍結する過程で起こる細胞組織の変化に深く関係しています。特に、食品中の水分が氷の結晶に変わる際に、その速度が品質に大きな影響を与えることが科学的に明らかになっています。

従来の緩慢冷凍では、水分がゆっくりと凍るため、氷の結晶が大きく成長し、食品の細胞膜を物理的に破壊してしまいます。この細胞の損傷が、解凍時に細胞内の液体(うま味成分や栄養素を含む)が外部に流出する、つまりドリップの原因となるのです。しかし、急速冷凍ではこのプロセスを高速化することで、氷の結晶の生成をコントロールし、細胞へのダメージを最小限に抑えることができます。

この違いは、食品の鮮度、食感、風味を保つ上で決定的な要素となります。事業者の皆様が、お客様に「冷凍とは思えない」と評価されるような高品質な商品を提供するためには、急速冷凍がもたらす科学的な恩恵を理解し、その導入を検討することが極めて重要です。

急速冷凍と緩慢冷凍の決定的違いは「氷の結晶の大きさ」

急速冷凍と緩慢冷凍の最も重要な違いは、食品中に生成される「氷の結晶の大きさ」にあります。食品は細胞の集まりであり、その細胞一つひとつの中に水分が含まれています。冷凍する際、この水分が氷に変わることで、食品の品質が大きく左右されるのです。

急速冷凍では、食品が温度帯「最大氷結晶生成帯」(約-1℃から-5℃)を非常に短時間で通過します。これにより、細胞内や細胞外の水分が、細胞膜を突き破らない程度の非常に微細な氷の結晶として均一に生成されます。例えるなら、無数の砂粒のような小さな氷の結晶が細胞の隙間にきれいに並ぶイメージです。この微細な結晶は細胞組織への物理的な損傷をほとんど与えないため、細胞膜が健全に保たれます。

一方、緩慢冷凍では、食品が最大氷結晶生成帯をゆっくりと通過するため、水分が結合して大きく鋭利な氷の結晶へと成長してしまいます。これはまるで、食品の細胞組織の中に鋭いナイフを突き立てるようなものです。この大きな氷の結晶が細胞膜を物理的に破壊するため、細胞内のうま味成分や水分が外部に流れ出しやすくなり、解凍時に多量のドリップが発生する直接的な原因となるのです。

急速冷凍のメリット:鮮度・食感・風味を保ち、商品価値を向上

急速冷凍を導入することで、ドリップを効果的に抑制できるため、食品の品質保持において数多くのメリットが生まれます。最も顕著なのは、冷凍前の「獲れたて」「できたて」に近い鮮度を維持できる点です。細胞組織の損傷が少ないため、解凍後も食品本来の構造が保たれ、みずみずしい食感や弾力を失いません。

例えば、新鮮な魚介類を急速冷凍した場合、解凍後も身崩れしにくく、生に近いプリプリとした食感を保てます。これは、顧客が冷凍品に対して抱きがちな「食感が損なわれる」という先入観を覆し、高い満足度につながります。また、ドリップとして流出しがちなアミノ酸やイノシン酸といったうま味成分、そして香り成分もしっかりと食品内に閉じ込められるため、豊かな風味を維持できます。

結果として、急速冷凍品は、ただ冷凍された食品というだけでなく、生鮮品に劣らない「高品質な食材」として顧客に提供できるようになります。水産加工品であれば、遠方への配送でも鮮度感あふれる商品を届けられ、飲食店であれば、冷凍ストックしておいた食材でも提供時に「最高の状態」を再現できます。このように、急速冷凍は単なる保存技術を超え、提供する食品そのものの商品価値を格段に向上させる力を持っているのです。

【事業者向け】急速冷凍がもたらす経営改善効果

中小企業の経営者の皆様にとって、急速冷凍の導入は単なる品質向上に留まらず、事業全体の経営改善に直結する大きなメリットをもたらします。品質の安定は顧客満足度を高め、新たな販路開拓のきっかけとなるだけでなく、日々の生産におけるコスト削減にも貢献します。特に、生鮮品を扱う水産加工業や、多様な食材を扱う飲食店などでは、急速冷凍が経営の安定と成長の鍵となります。

ドリップによる品質劣化や廃棄ロスの問題は、多くの事業者様が抱える共通の課題です。急速冷凍はこれらの問題を根本的に解決し、生産効率の向上、顧客からの信頼獲得、そして最終的には売上拡大へとつながる持続可能な経営基盤を築く手助けをします。初期投資は必要ですが、長期的に見ればその効果は投資を上回るものとなるでしょう。

歩留まり向上によるコスト削減

ドリップの発生は、食品の重量減少に直結します。例えば、100kgのマグロを冷凍・解凍した際に、緩慢冷凍でドリップが10%発生すれば、使える身は90kgに減ってしまいます。しかし、急速冷凍でドリップを2%に抑えられれば、98kgの身を確保できます。この8kgの差は、日々の生産量や年間の取り扱い量を考えると、非常に大きなコスト削減につながります。

ドリップの抑制は、解凍後の食品の「歩留まり」を劇的に改善します。つまり、原料として投入した食品の量が、製品として無駄なく活用される割合が高まるということです。特に高価な食材を扱う場合、数パーセントの歩留まり改善でも、年間の原料コストを大きく削減できます。例えば、月間1000kgの高級魚を処理しているとして、ドリップによるロスが5%から1%に改善されれば、月に40kg、年間で480kgもの食材を有効活用でき、直接的な利益向上につながります。さらに、ドリップによる品質劣化が減ることで、廃棄ロスの削減にもつながり、食品廃棄コストの低減にも貢献します。

顧客満足度の向上と販路拡大

高品質な急速冷凍食品は、エンドユーザー(飲食店や一般消費者)の期待を上回り、「冷凍品なのにこんなに美味しい」「まるで生鮮品のようだ」という感動を与えます。このようなポジティブな体験は、顧客満足度を飛躍的に高め、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得へとつながります。お客様が「この店(会社)の冷凍品なら間違いない」という信頼感を抱けば、それは揺るぎないブランド力となるでしょう。

この高い品質と顧客からの信頼を基盤とすることで、これまで品質維持の難しさから諦めていた販路の拡大が可能になります。例えば、新鮮な魚介を遠隔地のレストランや個人宅へECサイトを通じて販売したり、これまで品質がネックで卸せなかった高品質を求めるBtoB市場(高級ホテル、専門レストランなど)への展開も現実的になります。急速冷凍は、地理的な制約や時間の制約を超えて、お客様へ最高の品質を届けることを可能にし、事業の成長に新たな展望をもたらす強力なツールとなるのです。

【冷凍と同じくらい重要】鮮度を保つドリップを抑える解凍方法

せっかく急速冷凍で食材の鮮度を閉じ込めても、解凍方法を間違えてしまっては、残念ながらその努力は水の泡になってしまいます。特に水産加工品や精肉の場合、解凍時に大量のドリップが出てしまうと、見た目が悪くなるだけでなく、本来のうま味や栄養が流出し、食感も損なわれてしまいます。これは、お客様に「冷凍なのに美味しい」と感じていただくためには絶対に避けたい事態です。

このセクションでは、急速冷凍した食品の価値を最大限に引き出すために、冷凍と同じくらい重要となる「ドリップを抑える解凍方法」を詳しく解説します。事業者様ご自身が実践する上での具体的な指針となることはもちろん、お客様へ案内する際の正しい知識としても活用していただけるよう、プロの視点からポイントをお伝えします。

適切な解凍方法を知り、実践することで、冷凍品の品質は格段に向上し、お客様からの信頼獲得にもつながります。これまでの冷凍保存の常識を覆し、食品の新しい価値を創造するためにも、ぜひこの機会に正しい解凍の知識を身につけていきましょう。

解凍の基本原則:低温でゆっくり、温度変化を少なく

ドリップを最小限に抑え、食品の品質を保つための解凍には、いくつかの基本的な原則があります。最も重要なのは、「低温でゆっくり時間をかけて解凍する」ことです。これは、凍結時に食品内で形成された氷の結晶を、解凍の過程で再び大きくさせないために非常に重要です。

急激な温度変化は、食品内部の氷結晶を不安定にし、再結晶化を促してしまいます。再結晶化とは、小さな氷結晶が結合して大きな氷結晶に成長する現象です。この大きな氷結晶が細胞組織をさらに傷つけると、解凍時に細胞内の水分やうま味成分が外部へ流れ出しやすくなってしまいます。低温でゆっくり解凍することで、細胞組織が溶け出した水分を再吸収する時間も確保でき、結果としてドリップの流出を抑えることができるのです。

この「低温でゆっくり、温度変化を少なく」という原則を理解することが、これからご紹介する具体的な解凍方法を選ぶ上での土台となります。それぞれの方法に共通する重要な考え方として、常に念頭に置いて実践していきましょう。

【品質重視】プロが実践するおすすめの解凍方法3選

食品の品質を最大限に引き出すためには、解凍方法の選択が非常に重要です。ここでは、プロの現場でも実践されている、ドリップを抑え、鮮度・風味・食感を保つためのおすすめの解凍方法を3つご紹介します。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、食材の種類や緊急性に応じて使い分けることが求められます。所要時間も考慮しながら、ご自身の事業に最適な方法を見つけていきましょう。

氷水解凍:最も品質を保ちやすいベストな方法

品質を最も高く維持したい場合に、私たちが自信を持っておすすめするのが「氷水解凍」です。この方法は、真空パックや密閉できるビニール袋に入れた冷凍食材を、氷水に完全に浸して解凍します。氷水は常に0℃に近い状態を保つため、食品が急激に温まることなく、低温で均一に、そして比較的スピーディーに解凍を進めることができます。

氷水解凍の最大の利点は、食品の表面温度と内部温度の差が小さく保たれることです。これにより、解凍ムラを防ぎ、ドリップの発生を最小限に抑えられます。また、食品が水に直接触れないため、乾燥を防ぎ、うま味成分の流出も防ぎやすいというメリットもあります。特にデリケートな魚介類や薄切り肉、高級食材の解凍に最適で、獲れたて・できたてに近い鮮度と食感を再現できます。

具体的な手順としては、まず冷凍品を完全に密閉できる袋に入れ、空気をしっかり抜きます。次に、ボウルやシンクに氷と水を入れ、その中に完全に冷凍品を沈めます。食材の厚みや量にもよりますが、数時間から半日程度かけてじっくり解凍するのが理想です。解凍中は定期的に氷を追加し、水温が上がらないように管理することが重要です。時間と手間はかかりますが、その分得られる品質の高さは、お客様の満足度向上に大きく貢献するでしょう。

冷蔵庫解凍:時間はかかるが失敗が少ない基本の方法

ご家庭でも広く行われている「冷蔵庫解凍」は、最も手軽で失敗が少ない基本的な解凍方法です。時間はかかりますが、「低温でゆっくり解凍する」というドリップ抑制の基本原則に忠実であるため、品質劣化のリスクが低く、衛生管理もしやすいというメリットがあります。

冷蔵庫解凍のポイントは、冷凍品をそのまま冷蔵庫に入れるのではなく、必ずバットなどの容器に入れ、さらにラップや蓋をして乾燥を防ぐことです。これにより、解凍中に食品から出るドリップが他の食材に付着するのを防ぎ、庫内の衛生を保つことができます。また、直接冷気に触れることによる表面の乾燥も防ぎ、食品の品質を保てます。

解凍時間は、食材の大きさや厚みにもよりますが、半日〜1日以上かかることも珍しくありません。例えば、一般的なブロック肉や魚の切り身であれば、前日の夜に冷蔵庫に移しておくのが良いでしょう。時間がかかるため計画的な準備が必要となりますが、一度冷蔵庫に入れてしまえば、あとは待つだけで良いため、手間がかかりにくいという利便性も兼ね備えています。特に飲食店などで大量の食材を扱う場合は、計画的に前日から冷蔵庫解凍を進めることで、効率的なオペレーションが可能になります。

流水解凍:急ぐ場合に。ただし温度管理に注意

「急いで解凍したい」という状況で検討されるのが「流水解凍」です。これは、密閉した冷凍食材に水を流しかけて解凍する方法で、氷水解凍や冷蔵庫解凍に比べて格段に短い時間で解凍できます。しかし、この方法は温度管理を誤ると品質を大きく損なうリスクがあるため、注意が必要です。

流水解凍の際に最も気をつけたいのは、水温が高すぎることです。水道から出る常温水や、ぬるま湯を使ってしまうと、食品の表面だけが急速に温まって解凍が進み、内部はまだ凍っているという「半解凍状態」になりがちです。この状態では、表面の細胞組織が急激な温度変化にさらされ、ドリップが大量に流出してしまいます。さらに、表面が温まることで細菌が繁殖しやすくなるという衛生上のリスクも高まります。

プロとして流水解凍を行う場合は、できるだけ冷たい水(可能であれば氷水に近い温度)を細く流し続けることが重要です。食品全体が均一に解凍されるように、途中で位置を変えたり、軽く揉んだりするのも効果的です。また、長時間水にさらしすぎないよう、短時間で解凍を終えることを意識してください。あくまで「急ぐ場合の次善策」として捉え、品質を優先するのであれば氷水解凍や冷蔵庫解凍を選ぶようにしましょう。

これはNG!品質を大きく損なう間違った解凍方法

ここまで、品質を保つための適切な解凍方法をご紹介しましたが、一方で、絶対に避けるべき「間違った解凍方法」も存在します。これらの方法は、食品の品質を著しく劣化させ、ドリップの大量発生だけでなく、風味の低下、食感の悪化、さらには衛生上の問題を引き起こす可能性もあります。なぜこれらの方法がNGなのかを科学的な理由とともに理解し、お客様にも周知を徹底することで、食品の価値を守りましょう。

常温解凍や電子レンジ解凍がダメな理由

多くのご家庭でついやってしまいがちな「常温(室温)解凍」は、最も避けるべき解凍方法の一つです。常温に放置すると、食品の表面温度だけが急速に上昇し、内部はまだ凍ったままという状態になります。この温度差によって、細胞膜の損傷が促進され、大量のドリップが流出してしまいます。さらに、表面温度が細菌の増殖に最適な温度帯(約10℃〜60℃)に長時間さらされるため、食中毒のリスクが非常に高まります。特に夏場や暖かい室内での常温解凍は厳禁です。

電子レンジの中に肉ミンチを入れて解凍しようとしている

もう一つ、手軽さから利用されがちなのが「電子レンジの解凍機能」です。電子レンジはマイクロ波によって食品内部の水分を振動させて温めるため、どうしても加熱ムラが生じやすくなります。これにより、一部が解凍される前に加熱調理された状態になってしまったり、逆にまだ凍ったままの部分があったりと、均一な解凍が非常に困難です。結果として、食品本来の食感や風味が大きく損なわれ、パサつきや硬化、煮えすぎといった残念な仕上がりになってしまいます。特に魚介類やデリケートな肉製品では、この影響が顕著に現れます。電子レンジでの解凍は、食品の品質を著しく損なうため、極力避けるようにしましょう。

ドリップ対策を強化する急速冷凍機の種類と選び方

これまでドリップの発生メカニズムと、それを防ぐ急速冷凍技術、そして解凍方法について解説してきました。ここからは、いよいよ具体的な解決策として急速冷凍機の導入を検討されている事業者の方に向けて、種類と選び方の基本情報をお伝えします。

自社の製品に最適な急速冷凍機を選ぶことは、ドリップ問題の根本的な解決につながり、食品の品質向上だけでなく、経営面においても大きなメリットをもたらします。このセクションが、お客様の事業に合った最適な一台を見つけるための一助となれば幸いです。

どのような製品を、どれくらいの量で冷凍するのか。設置スペースや予算はどのくらいかなど、具体的な検討のきっかけとしてご活用ください。

主な急速冷凍機の種類と特徴(エアーブラスト凍結・液体凍結・磁場凍結・3D凍結)

急速冷凍機にはいくつかの種類があり、それぞれ凍結の原理や得意な食材、特徴が異なります。代表的なものとして「エアーブラスト凍結式」「液体凍結式(ブライン凍結)」「磁場凍結式」「3D凍結式」などが挙げられます。

エアーブラスト式は、強力な冷風を食材に吹き付けて凍結させる方式で、汎用性が高く、様々な形状の食材に対応できます。一方で、液体凍結式は、不凍液の中に食材を浸して凍結させるため、非常に速い凍結速度が特徴ですが、容器の形状が限定されたり、食材によっては不凍液が浸透しないよう工夫が必要になります。

磁場凍結式は、磁場を利用して氷の結晶を小さく保ちながら凍結させる方式で、食品の細胞破壊をさらに抑制し、高い品質を保つことが期待されます。3D凍結式は、3Dフリーザー独自の技術で食材の細胞を壊さず、均一に凍結させることで、ドリップを極限まで抑えることを目指したものです。これらの特性を理解し、ご自身の扱う食材に最適な方式を選ぶことが重要です。

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自社の食材や生産量に合った急速冷凍機の選び方

急速冷凍機を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。

まず、「①主力で扱う食材の種類」です。
魚介類、肉類、調理済み加工品など、凍結したい食材の種類によって、適した冷凍機のタイプが異なります。例えば、繊細な魚介類であれば、細胞損傷を最小限に抑える液体凍結式や3Dフリーザーが有効かもしれません。

次に、「②1日の生産量や処理能力」です。
どれくらいの量をどれくらいの時間で冷凍したいのかによって、冷凍機のサイズや能力が変わってきます。過剰なスペックは導入コストやランニングコストの無駄につながり、逆に能力不足では生産計画に支障をきたします。

また、「③設置スペースや導入コスト、ランニングコスト」も重要な要素です。
限られたスペースに設置できるか、初期投資と長期的な電気代などの運用コストが見合うか、投資対効果を十分に検討する必要があります。

「④操作性や清掃のしやすさ」といった、現場での負担も考慮すべき点です。
従業員が毎日使うものですから、使いやすく衛生的に保ちやすい機種を選ぶことで、長期的な運用がスムーズになります。これらの要素を総合的に判断し、ご自身の事業規模や目的に最適な急速冷凍機を選定することが、成功への鍵となります。

まとめ:急速冷凍と最適な解凍方法で食品の価値を最大限に引き出す

これまでお伝えしてきた通り、食品の品質を著しく劣化させる「ドリップ」の問題は、冷凍・解凍のプロセスに深く根ざしています。しかし、この課題は克服できないものではありません。ドリップの発生を根本から抑制する「急速冷凍」技術と、食品の細胞組織へのダメージを最小限に抑える「最適な解凍方法」を組み合わせることで、冷凍食品は「冷凍とは思えない」ほどの高い品質を保つことが可能になります。

急速冷凍によって、食品が持つ本来の鮮度、食感、風味を閉じ込め、商品価値を向上させることができます。これにより、お客様はいつでも新鮮な状態に近い食材を手に入れることができ、顧客満足度の向上に直結します。さらに、ドリップの減少は歩留まりの改善にもつながり、原料コストの削減や廃棄ロスの抑制といった経営上の大きなメリットを生み出します。これは、特に品質にこだわる水産加工業や飲食業の皆様にとって、事業の持続的な成長を支える重要な要素となります。

「急速冷凍」と「最適な解凍方法」は、まさに食品の価値を最大限に引き出すための両輪です。この2つの要素を適切に管理・実践することで、品質を犠牲にすることなく販路を拡大し、ブランドの信頼性を高め、最終的にはお客様からの「おいしい」という最高の評価を得ることができるでしょう。ぜひ、貴社の事業に急速冷凍技術と正しい解凍方法を取り入れ、新たな価値創造と事業の発展にお役立てください。

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この記事を通じて急速冷凍に興味を持たれたものの、「どの冷凍機が自社の製品に最適なのか」「具体的な投資対効果はどれくらいになるのか」「まずは自社製品でテストをしてみたい」といった疑問やご要望をお持ちではありませんか?貴社の製品や生産規模、目指すビジネスモデルに合わせて、最適な機種の選定から導入後の運用サポートまで、一貫して支援させていただきます。

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