寿司の冷凍で最大の課題は「シャリの老化(白ロウ化)」です。 ご飯は、0℃〜4℃の温度帯をゆっくり通過すると、デンプンが劣化してボロボロ・パサパサの硬い状態になってしまいます。一方、ネタである生魚は、時間がかかるとドリップが出て生臭くなります。
今回は、この相反する課題を抱えた寿司を、予冷なしの15℃から一気に凍結させました。
Contents
テスト条件と結果

握ってトレーに並べ、少し落ち着かせた状態からのスタートです。
- サンプル名:握り寿司(マグロ、サーモン、エビなど盛り合わせ)
- 投入温度:15℃(※加工室温)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:25分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

15℃から25分。 この驚異的なスピードこそが、寿司の「解凍後の美味しさ」を決める唯一の鍵です。
1. シャリが「白ロウ化」する暇を与えない
「解凍したお寿司のシャリが、芯が残ったように硬くて不味い」。これは、凍結スピードが遅いためにデンプンが老化(β化)してしまった結果です。 一度老化したデンプンは、自然解凍では元に戻りません。
今回の「25分」というタイムは、ご飯が老化する「魔の温度帯(0℃〜4℃)」を秒速で突破しています。 これにより、デンプンの構造変化を防ぎ、解凍後も「人肌で握ったようなふっくら感」と、酢飯の程よい粘りを維持することができます。
2. ネタの「乾燥」と「ドリップ」をWブロック
生魚、特にマグロやサーモンは、冷風を当てすぎると表面が乾いて変色(冷凍焼け)し、時間がかかると細胞が壊れてドリップが出ます。 ネタが乾いて反り返った冷凍寿司は、商品価値がありません。
3Dフリーザーの包み込む冷気は、ネタの表面をしっとりと保ったまま、素早く熱を奪います。 ドリップが出ないため、魚の旨味が抜けず、臭みも出ません。「生のお寿司と変わらない」と言われる品質は、この乾燥させない技術から生まれます。
3. 「15℃投入」で、握りたての鮮度を海外へ
通常、寿司を冷凍する場合、一度冷蔵庫で芯まで冷やす(予冷)工程を挟むことがありますが、シャリにとっては冷蔵庫に入れている時間こそが劣化の原因です。
15℃(常温)からダイレクトに凍結できるということは、「握る→即冷凍」が可能ということです。 握りたての鮮度をそのまま閉じ込められるため、国内のスーパーや通販だけでなく、衛生基準の厳しい海外への輸出用商品としても最高品質を実現できます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
寿司は、シャリの大きさやネタの種類、そして「解凍方法」との組み合わせが重要です。
- シャリ玉の大きさ:ロボット握り(密度が高い)か、職人握り(空気が入っている)か。
- ネタの厚み:厚切りのホタテや、脂の多いブリなど。
- 解凍環境:レンジ解凍か、流水解凍か、冷蔵庫解凍か。
「軍艦巻きの海苔はパリッとするか?」「イクラが白く濁らないか?」 デモテストでは、実際に貴社の寿司を凍結し、ターゲットとする解凍方法で「一番おいしく食べられる条件」を見つけ出します。
まとめ
今回の寿司のテストでは、「15℃から25分で急速凍結」することで、シャリの老化を防ぎ、ネタの瑞々しさを両立できることが実証されました。
「日本の本物の寿司を、冷凍で世界に届けたい」「廃棄ロスゼロの寿司店を実現したい」とお考えの企業様。 寿司の冷凍は、もはや不可能ではありません。3Dフリーザーの技術が、その扉を開きます。
