
スパイラルフリーザーの見積比較で迷わないための入門ガイドです。むずかしい計算や専門用語は最小限にして、見積書の見方・比べ方・注意点をやさしく解説します。まずは「スパイラルフリーザーとは?」で装置の基本を確認し、方式の違いは「急速冷凍の方式比較」も参考にしてください。
Contents
まずはここだけ!見積比較のコツ3つ
- 同じ条件で比べる 例)処理量(kg/時)・入庫温度・出庫(中心)温度・製品サイズを各社同じ前提にします。
- 本体以外の費用を確認 電源工事・配管・排熱・搬入重機などの「別途工事」が入っているかをチェック。
- 毎年かかる費用も見る 電気代・メンテ費・清掃時間(=人件費)。TCO(総額)で判断しましょう。
見積書の見方(10項目だけ覚えればOK)
- 処理量:◯kg/時。入庫・出庫(中心)温度の条件つきで。
- 消費電力:実運用でどれくらい?(1日の稼働時間・週の稼働日数も)
- 霜取り・清掃:1回の時間と頻度。止まっている間は生産できません。
- 衛生/清掃性:洗いやすさ、排水の流れ、点検口の有無など。
- 設置スペース:本体+作業・メンテ用の通路も含めて入るか。
- 付帯工事:電源・配管・基礎・排熱・搬入などは本体に含む?別途?
- 安全:非常停止、センサー、アラーム等。
- 性能保証:到達温度・処理量など、達成できなかった場合の扱い。
- 保守:定期点検の内容と費用、駆け付け時間(SLA)。
- 納期・工期:いつ使い始められるか。試運転と教育は含む?
さらに詳しくは「導入費用ガイド」もどうぞ。
よくある落とし穴(見逃しポイント)
- 別途工事の抜け:本体は安いのに、工事で合計が高くなる。
- 停止時間の影響:霜取り/清掃が長いと、1日あたりの実生産量が下がる。
- 乾燥や割れ:過度な冷却で品質ダウン→歩留まりに影響。
- 電気代の見積もりが甘い:理想条件の数値で出されることがある。
- 清掃に手間:洗いにくい設計だと人件費がかさむ。
かんたんTCOの考え方(数字の例つき)
TCO=本体などの初期費用 + 毎年の運用費(電気・保守・消耗品・人件費)×年数 − 最後に残る価値
例(7年運用)
・初期費用:2,500万円
・電気代:45kW × 16時間/日 × 300日 × 25円/kWh = 540万円/年
・保守:40万円/年、消耗品:25万円/年、清掃などの人件費:75万円/年
→ 毎年の合計:680万円/年/7年で4,760万円
・残る価値:200万円
TCO=2,500+4,760−200=7,060万円
つまり、本体が少し高くても、電気代や停止時間が少ない機種の方が得になることがあります。詳しくは「急速冷凍機の選び方」や「大型機の選び方」も参考に。
比較用テンプレ(参考)
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 本体価格(税別) | |||
| 処理量(kg/時|条件も) | |||
| 消費電力(kW|実運用) | |||
| 霜取り/清掃の停止時間 | |||
| 衛生/清掃のしやすさ | |||
| 付帯工事(含む/別途) | |||
| 性能保証(温度・処理量) | |||
| 年間保守・消耗品 | |||
| 年間電気代(概算) | |||
| TCO(7年) |
※スマートフォンでは横にスワイプして比較できます。
実機のデモや事例もチェック:「冷凍デモテスト」(例:ハンバーグ / 餃子)。
ベンダーに伝えること(コピペ用)
以下をメールに貼って依頼すると、同じ条件で見積が集めやすくなります。
- 製品名・サイズ・1時間あたりの処理量(kg/時)
- 入庫温度/目標の中心温度(例:+65℃ → -18℃)
- 稼働時間(1日◯時間、年間◯日)、周囲の温湿度感
- 霜取り・清掃の時間と方法(可能なら短い方を提案希望)
- 付帯工事の範囲(電源・配管・排熱・搬入など)
- 性能保証の条件(温度到達・処理量・検収方法)
- 保守内容と駆け付け時間、年間費用の目安
- 納期・工期・試運転・操作教育の有無
よくある質問
A. まずは処理量・電気代・停止時間の3つを同じ条件で横並び比較しましょう。
A. 必ずしもそうではありません。電気代や清掃の手間で、数年後のTCOが逆転することがあります。
A. 止まっている時間が増えると、そのぶん1日の生産量が減ります。短い方式や自動化は有利です。
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