スパイラルフリーザーは、省スペースで大量生産を可能にする非常に優れた装置ですが、導入を成功させるためには、そのメリットとデメリットを正確に理解し、自社の状況と照らし合わせることが不可欠です。
本記事では、スパイラルフリーザーがもたらす5つの主要なメリットと、導入前に必ず知っておくべき3つのデメリット、そしてその対策について詳しく解説します。
Contents
1. 導入で得られる5つのメリット
メリット1:圧倒的な省スペース性
スパイラルフリーザー最大のメリットは、その省スペース性です。コンベアを縦方向に螺旋状に配置することで、床面積を最小限に抑えつつ、非常に長いコンベア長を確保できます。これにより、従来はスペースの都合で設置が難しかった場所でも、大規模な冷凍ラインを構築することが可能になります。

メリット2:生産性の向上と自動化
スパイラルフリーザーは、工場の生産ラインに組み込みやすく、製品の投入から搬出までを完全に自動化することが可能です。これにより、人件費を削減できるだけでなく、人為的なミスや製品の汚染リスクを低減し、生産性の大幅な向上に貢献します。
メリット3:品質の安定と均一な冷却
長いコンベア長を確保できるため、製品が庫内を通過する時間(滞留時間)を十分に確保できます。これにより、製品の中心までムラなく均一に冷却・冷凍することができ、高品質な冷凍製品の安定生産が可能になります。
メリット4:柔軟なレイアウト設計
製品の入口と出口の方向や高さを自由に設計できるため、既存の建屋や生産ラインのレイアウトに合わせて柔軟に設置できます。これにより、大規模な工場改修を行うことなく、スムーズな導入が可能です。
メリット5:多様な食品への対応力
コンベアベルトの種類(プラスチックメッシュ、ステンレスネットなど)や、コンベアの速度、庫内温度を調整することで、パンや菓子、揚げ物、水産加工品、冷凍食品など、形状や特性の異なる様々な食品に対応できます。
2. 事前に知っておくべき3つのデメリットと対策
デメリット1:導入コストが高い傾向にある
スパイラルフリーザーは、その複雑な構造から、シンプルな構造のトンネルフリーザーと比較して初期投資額が高くなる傾向があります。
•対策:
•総所有コスト(TCO)で判断する: 初期費用だけでなく、省エネ性能によるランニングコストの削減や、歩留まり改善による利益向上まで含めた、長期的な視点で投資価値を評価することが重要です。
•補助金を活用する: 省エネ設備導入に対する補助金制度などを活用することで、初期投資の負担を軽減できます。
デメリット2:洗浄やメンテナンスに手間がかかる
内部構造が複雑なため、隅々まで洗浄するには手間と時間がかかる場合があります。特に、アレルゲンを含む食品など、コンタミネーションのリスク管理が重要な工場では大きな課題となります。
•対策:
•CIP(自動洗浄)機能付きモデルを選ぶ: 洗浄ノズルが庫内を自動で洗浄してくれるCIP機能を搭載したモデルを選ぶことで、洗浄時間を大幅に短縮し、衛生レベルを高く維持できます。
•洗浄しやすい構造のモデルを選ぶ: KOGASUNの「3Dスパイラルフリーザー®」のように、内部のダクトをなくし、シンプルな構造にすることで、洗浄性を格段に向上させたモデルもあります。
デメリット3:冷却効率が若干劣る場合がある
製品に対して多方向から冷風を当てる構造上、製品の片面から集中的に冷風を当てるトンネル型フリーザーと比較して、瞬間的な冷却効率では劣る場合があります。特に、薄い製品や表面積の大きい製品ではその差が出ることがあります。
•対策:
•導入前に凍結テストを行う: 自社の製品を実際に冷凍テストし、品質や凍結時間に問題がないかを確認することが最も確実な方法です。多くのメーカーはテストルームを完備しており、導入前に性能を検証できます。
3. まとめ:メリットを最大化し、デメリットを克服する選択を
スパイラルフリーザーの導入を成功させる鍵は、そのメリットを最大限に活かしつつ、デメリットを技術や工夫でいかに克服できるかにかかっています。
•省スペースという最大のメリットを活かし、生産ラインの最適化を図る。
•コストの課題は、TCOの視点と補助金活用で乗り越える。
•メンテナンスの課題は、CIP機能や洗浄性の高い構造で解決する。
•冷却効率の不安は、事前の凍結テストで払拭する。
これらのポイントを踏まえ、自社の課題解決に最も貢献する一台を選びましょう。
