近年、水分量の多い「高級食パン」や、素材にこだわったパンが人気ですが、パン屋さんにとって「焼成後の冷却」は頭の痛い工程です。 ラックに並べて冷ます間に水分が飛んでパサついたり、カビのリスクに晒されたり、場所を取ったり…。
今回は、焼き上がって粗熱が取れたばかりの43℃の状態から、カットせず「1本丸ごと」3Dフリーザーへ投入しました。 厚みのあるパンを乾燥させずに凍結できたのか?その結果をレポートします。
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テスト条件と結果

- サンプル名:食パン
- 投入温度:43℃
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:150分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

43℃から150分。 空気を含んだパンは断熱材のようなもので、中心の熱が抜けるには時間がかかります。一見長く感じるこの150分ですが、実は「パンの美味しさを守るための丁寧な冷却時間」なのです。
1. 長時間冷やしても「耳」が硬くならない
食パンを丸ごと冷凍する際、一番のリスクは「乾燥」です。 一般的な冷凍庫で2時間半も風を当て続けると、クラスト(耳)の部分から水分が奪われ、解凍した時にゴムのように硬くなったり、パサパサして噛み切れなくなったりします。
今回のテストでは、高湿度の冷気で包み込むことで、150分かけてもパンの水分を保持し続けています。 解凍後、耳までしっとりと柔らかく、中のクラム(白い部分)も瑞々しいまま。「水分量」が命の高級食パンでも、その価値を損ないません。
2. 「デンプンの老化」が進む前に、芯まで固定
パンが不味くなる(老化する)のは、水分が抜けながら冷えていく過程です。 特に自然放冷では、中心温度が下がるまでに時間がかかりすぎ、その間にどんどん老化が進んでしまいます。
43℃という温かいうちから強制的に冷却・凍結を行うことで、老化が進む前にデンプンの構造を固定します。 自然解凍やトーストをした時、まるで窯から出したてのような、小麦の香りとモチモチ感が蘇ります。
3. 「焼成→即冷凍」で、カビ防止と作業スペース確保
パン屋さんで一番場所を取るのが、焼き上がったパンを冷ますためのラック(棚)です。 また、梅雨時期などは放冷中にカビの胞子が付着するリスクもあります。
温かいままダイレクトに急速凍結機へ入れることで、放冷スペースを最小限にし、菌が付着する隙を与えません。 衛生的にクリーンな状態でストックできるため、廃棄ロスを減らしつつ、常に焼き立て品質のパンを提供・発送することが可能になります。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
食パンは、配合やサイズによって熱の抜け方が全く違います。
- サイズ:1斤か、2斤か、3斤棒か。サイズが大きいほど時間は長くなります。
- 配合:生クリームや蜂蜜たっぷりのリッチな生地か、シンプルなハード系か。
- 水分量:加水率が高いほど、中心まで凍るのに時間がかかり、変形リスクもあります。
「3斤サイズでも中心まで凍るか?」「解凍後にシワ(ケービング)が寄らないか?」 デモテストでは、貴社のパンを実際に丸ごと凍結・解凍し、「耳の柔らかさ」や「断面のキメの細かさ」を実食してご確認いただけます。
まとめ
今回の食パン(ホール)のテストでは、「43℃から150分かけて、乾燥させずに芯まで凍結」することで、耳まで柔らかいしっとり感と、焼きたての風味を維持できることが実証されました。
「焼き立ての食パンを、香りごと通販で届けたい」「冷却スペースを減らして、厨房を広く使いたい」とお考えのベーカリー様、食品メーカー様。 パンの水分を守り抜く技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
