居酒屋の煮込みメニューや、贈答用、お取り寄せグルメとしても大人気の「豚の角煮」。 しかし、製造現場では「冷ますのに時間がかかりすぎる(菌のリスク)」「冷凍すると脂の口当たりが悪くなる」という悩みが尽きません。
今回は、加熱殺菌温度帯である71℃の状態から、予冷なしでパックごと3Dフリーザーへ投入し、その仕上がりを検証しました。
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テスト条件と結果

- サンプル名:豚の角煮(タレ入りパック)
- 投入温度:71℃(※加熱直後)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:45分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

71℃から45分。 脂が多く、厚みのある肉塊を、高温から1時間足らずで凍結完了させることには、計り知れないメリットがあります。
1. 「魔の温度帯」を秒速通過し、ウェルシュ菌などのリスクを排除
煮込み料理を常温でゆっくり冷ます際、最も怖いのがウェルシュ菌などの食中毒菌の増殖です。これらは40℃〜50℃付近を好みます。 角煮のように厚みがある食材は、中心温度が下がるのに時間がかかり、菌のリスクにさらされる時間が長くなってしまいます。
71℃からダイレクトに急速凍結することで、菌が繁殖する隙を与えずに、安全な温度帯まで一気に下げ切ることができます。 HACCP対応の観点からも、この「高温投入」は極めて有効な衛生管理手段となります。
2. 脂身の「酸化」と「分離」を防ぎ、とろける食感をキープ
角煮の醍醐味である脂身。しかし、冷凍に失敗すると、脂と水分が分離してザラザラした舌触りになったり、酸化して「古油」のような臭いが出たりします。
今回のテストでは、液体(タレ)と脂、肉が一体となった状態で素早く固定しています。 脂の乳化状態が保たれるため、湯煎で温め直した時、作りたてのような「トロッ」とした滑らかな口溶けが復活します。 嫌な臭みもなく、豚肉本来の甘みが楽しめます。
3. 「粗熱取り」の時間をカットし、生産効率を劇的に改善
通常、真空パックした煮物は、氷水や流水で長時間かけて粗熱を取り、それから冷凍庫へ入れる工程が必要です。これには場所も水も人手もかかります。
71℃投入が可能になれば、「パック詰め→即冷凍」という最短ルートが組めます。 冷却工程の手間を省けるだけでなく、作業スペースの削減や、水道光熱費の節約にも大きく貢献します。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
角煮は、タレの粘度や肉のカットサイズによって条件が変わります。
- タレの粘度:サラサラの煮汁か、とろみの強い餡かけ風か(対流の仕方が変わります)。
- 肉のサイズ:一口サイズか、一本丸ごとか。
- 脂の量:バラ肉(脂多め)か、肩ロース(赤身多め)か。
「ブロックのまま凍らせても中心までパサつかないか?」「タレが分離しないか?」 デモテストでは、貴社のレシピで作った角煮を実際に凍結・解凍し、「脂身の口当たり」や「赤身の繊維感」を実食してご確認いただけます。
まとめ
今回の角煮(パック)のテストでは、「71℃から45分で急速凍結」することで、菌リスクのある冷却時間をカットし、脂の甘みとトロトロ食感を維持できることが実証されました。
「お取り寄せで、お店の味をそのまま届けたい」「セントラルキッチンの冷却工程を短縮したい」とお考えの食品メーカー様、飲食店様。 煮込み料理の課題を一挙に解決する技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
