角上魚類 通販扱い件数8割増

引用元:みなと新聞 2020年11月19日 掲載

1~11月初旬 3D凍結魚などけん引

角上魚類ホールディングス(HD、寺泊本社・新潟県長岡市、美園本社・さいたま市、柳下浩三会長兼社長)は約2年前に寺泊本社の通販商品向け厨房(ちゅうぼう)施設に古賀産業(山口県下関市)の急速冷却冷凍装置「3Dフリーザー」1台を導入し、主に生食用アマエビなど通販商品の急速凍結に利用する。村井幸夫同HD取締役業務部長は「解凍後のドリップ発生が抑えられる。色変わりもなく、アマエビの尾まで鮮やかな赤色のまま」と太鼓判を押す。鮮魚だけでなく、冷凍水産物でも鮮度感を生かして差別化する狙いだ。

同HD100%子会社の角上魚類は関東や信越地区で鮮魚専門小売店計22店舗をチェーン展開する他、鮮魚や水産加工品の通販にも力を入れる。同社は自社の通販カタログに「高品質冷凍」「獲れたて鮮度を実現」と明記し、3Dフリーザーで急速凍結した生食用新潟県佐渡産アマエビやノルウェー産アトランティックサーモン、自家製カズノコ松前・山海漬けをPRする。「ドリップ発生を抑えるためうま味を逃さない。素材のおいしさがそのまま味わえる。色変わりもないため、冷凍販売商品の幅を広げられる」と村井部長。現在は漬け魚の一部も3Dフリーザーで急速凍結して通販用に販売する。

同社通信販売課の大久保孝通課長は「夏場は天然マダイやヒラメなどのお刺身セットを3Dフリーザーで急速凍結して販売し、好評だった。一度食べてもらえれば、再び購入してくれるお客さまが増えた」と手応えを感じている様子。村井部長も3Dフリーザーで急速凍結した通販商品について「全般的にリピーターが増え、売り上げが伸びている。新型コロナ禍で内食需要が高まった影響もあろうが、今年の通販商品取り扱い累計件数は1月~11月初旬現在、前年同期比180%と大幅に増えた」。

同HDが導入した3Dフリーザーは幅85センチ、奥行き117・5センチ、高さ177・2センチのコンパクトな構造の機種。場所を取らないため、10月には試験的に日野店(東京都日野市)など鮮魚小売店計3店舗のバックヤードに同機種をそれぞれ導入し、刺身の一部などを急速凍結するのに利用する。急速凍結した刺身は「冷凍むらがなく、凍結中の乾燥も抑える。鮮魚と食べ比べて遜色ない。特に白身魚は鮮魚との違いが分からないほど。今までの冷凍・解凍の概念が変わった」と村井部長は強調する。刺身を急速凍結するのはアニサキス対策の目的もあるという。

 

自家製カズノコ松前・山海漬けも通販用に3D凍結をかける
3Dフリーザーで凍結した佐渡産アマエビ

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