辛子明太子のように厳密な衛生管理が求められる食品の工場を新設するとき、HACCP対応の設備計画と凍結品質の設計を別々に進めると、衛生基準は満たせても解凍後の食感や歩留まりでつまずき、投資したラインが思うように利益を生まないことがあります。福岡県宗像市の辛子明太子専門メーカー・海千様(かいせん)は、国道3号沿いに新工場を構え、HACCP対応の設計の中で、食品安全と凍結品質を一つの設備計画として同時に固めました。クリーンルームのパスボックスやX線異物検査装置で衛生・安全を固めながら、製品の凍結工程に3Dフリーザーを組み込み、辛子明太子の品質を保ったまま全国出荷と直売所販売の両輪を回す体制を整えました。この記事では、海千様のHACCP対応工場が衛生管理と凍結品質をどう両立させたかを整理し、衛生管理が重要な食品の工場新設を検討する事業者が自社に当てはめる考え方と、凍結テストの進め方まで解説します。
引用元:みなと新聞 2010年8月9日 掲載(社名は掲載当時のものです)
※本記事は、紙面で報じられた当時の内容をもとに、背景や現在の情報を補って読みやすく再構成しています。

結論:海千様は新工場で、HACCPの衛生設計と3Dフリーザーによる凍結品質の設計を同時に組み込んだ
要点は、HACCPの衛生設計と凍結品質の設計を、別々ではなく一つの工場計画としてそろえたことです。紙面の内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載紙 | みなと新聞(2010年8月9日付) |
| 紙面の見出し | 海千 辛子明太子の新鋭工場竣工 品質重視の本物志向貫く |
| 報じられた企業 | 海千様(福岡県宗像市・井川栄治社長)。辛子明太子の専門メーカー |
| 新工場 | 2010年1月、輸送・集客の面で立地条件に恵まれた宗像市内の国道3号沿いに移転・新設。HACCP対応の最新鋭工場 |
| 凍結設備(当時) | 製品凍結にエアオペレーションテクノロジーズ(現・株式会社コガサン)の3Dフリーザーを採用。原卵の解凍には静電式スピード解凍機 |
| 衛生設備(当時) | 製造ラインにX線異物検査装置、クリーンルームにパスボックス、作業場にHACCP対応の殺菌除湿機。将来的にISO22000認証の取得を予定 |
| 販路(当時) | 全国各地の市場卸へ出荷し、直売所で地域密着のファンづくり。新工場竣工に併せて北九州市八幡西区に直売所「八幡店」を開設 |
| 主力商品(当時) | 先代の味を引き継ぐレギュラー商品「選」、昆布漬け、ゆず仕込み、ハバネロなど |
独自の高湿度3D冷気で全体を包み込み、細胞を壊さないように冷凍することで、冷凍前と解凍後の品質の違いがほとんど判別できない凍結を実現したと、井川栄治社長は紙面で語っています。食品全体を均一に冷やし、氷結晶を微細に保つこの凍結方式は、食感と歩留まりが売価を左右する辛子明太子と相性の良い選択でした。
海千様がHACCP対応の新工場に3Dフリーザーを導入した背景(宗像市の辛子明太子メーカー)
辛子明太子を専門とする海千様は、福岡県宗像市に本社を置くメーカーです。先代の萩尾孝充氏が1995年に創業し、2007年に井川栄治氏が事業を継ぎました。紙面当時の主力は先代から続く看板のレギュラー商品「選」で、昆布漬けやゆず仕込み、ハバネロなど、味の幅を広げた品ぞろえを展開していました。
辛子明太子は塩蔵・熟成をともなう、衛生管理が特に重要な食品です。工場を新設するときは、衛生基準を満たす設計と、製品の食感や見た目を保つ凍結・保管の設計を同時に決める必要があります。海千様は2010年1月、輸送や集客の面で立地条件に恵まれた国道3号沿いへ工場を移転・新設し、HACCP対応の設計で安全性と品質の両方を満たす明太子づくりに踏み出しました。販路は全国各地の市場卸への出荷とともに、工場に直売所を設けて地域密着のファンづくりにも力を注いでいました。
製品の凍結工程には、山口県下関市で3Dフリーザーを手がけるエアオペレーションテクノロジーズ(AOT)の装置を採用しました。AOTは2011年10月に古賀産業へ吸収合併され、古賀産業は2022年10月に株式会社コガサン(KOGASUN)へ社名を変更しています。
衛生管理と凍結品質をどう両立させるかは、衛生基準の厳しい食品の工場設計に共通する課題です。紙面で井川社長は、3D冷気で全体を包み込んで細胞を壊さないように冷凍し、冷凍前と解凍後の品質の違いがほとんど判別できない凍結を実現したと語り、採用の決め手をこう続けています。
「食べたときにとても感動した。絶対これだと思った」
(海千・井川栄治社長の談話。引用元:みなと新聞 2010年8月9日 掲載)
HACCP設計と3Dフリーザーで両立させたこと(衛生管理と辛子明太子の品質)
海千様の新工場は、衛生・安全の設計と、凍結・解凍の品質設計を、同じ工場計画の中で組み合わせている点に特徴があります。衛生面では、クリーンルームにパスボックスを導入して人の出入りを減らし、菌の持ち込みを抑えました。製造ラインにはX線異物検査装置を組み込み、HACCP基準に沿って異物を検査する体制を整えました。作業場にはHACCP対応の殺菌除湿機を置き、室内を素早く乾かして、菌が繁殖しにくい環境を保つ運用としました。2010年の紙面時点では、将来的なISO22000認証の取得もめざしていました。
品質面では、製品の凍結工程に3Dフリーザーを据え、辛子明太子の食感や見た目を保ったまま冷凍できるようにしました。あわせて、原卵を戻す工程には静電式スピード解凍機を使い、解凍時のダメージやドリップの流出を抑えました。凍らせる工程と戻す工程の両方を品質設計に含め、衛生設備とあわせて、衛生と品質のどちらかを後回しにしない工場をつくりました。
HACCP対応の工場では、温度管理の記録が衛生管理の柱になります。凍結工程を機械で管理すると、凍結の温度と時間の条件をそろえやすく、記録も残しやすくなります。
辛子明太子の工場で急速冷凍機を選ぶ手順と凍結テストの進め方
急速冷凍機は、直売所・加工場向けの小型機から食品工場のライン向け大型機まで選択肢が広く、本体価格も処理量・設置条件・仕様で大きく変わります。機種の絞り込みは、検討項目を順序立てて整理すると速く進みます。最初に、明太子・原卵・切れ子・チューブなど商品別に、最盛期の1日・1ロットあたりの処理量を見積もります。次に、本体価格と設置工事費を分けて把握し、電源・排水・搬入経路に加えて、クリーンルームの区画や衛生動線との取り合いも確認します。最後に、投資回収は購入額単体ではなく、電気代・目減り(歩留まりの低下)・稼働ロスを合算した数年単位のトータルコストで確かめます。
設備を絞り込んだら、カタログや仕様だけで決めず、自社の辛子明太子や原卵で凍結テストを行うのが確実です。魚卵は塩分と水分が多く凍り方に癖が出るため、確認する項目は決まっています。テストでは、解凍後の粒の食感(プチプチ感)・表面のツヤ・色、ドリップ量と重量変化(歩留まり)、1回あたりの処理量と中心温度が下がりきるまでの時間を見ます。仕上がりを分けるのは投入温度・包装・トレー配置・解凍条件で、実際の商品で確かめれば、根拠を持って機種と凍結条件を決められます。
辛子明太子・魚卵の品質を守る3Dフリーザーの使いどころ
魚卵は食品のなかでも凍結の難度が高い部類です。辛子明太子や原卵は、粒の一つひとつが薄い膜で守られており、この膜が氷の結晶で破れると、ツヤも塩なじみも一緒に崩れます。KOGASUNの3Dフリーザー®が明太子工場で採用される理由は、この膜を守る凍結方式にあります。独自の高湿度3D冷気が製品を多方向から均一に冷やし、品質が落ちやすい最大氷結晶生成温度帯(マイナス1〜マイナス5℃)を短時間で通過させます。この温度帯を素早く抜けるほど氷結晶は微細で均一になり、組織へのダメージが小さくなるため、解凍時のドリップや食感の低下、目減り(歩留まりの低下)を抑えやすくなります。一般的なエアブラスト式のように強い冷風で表面の水分を奪う冷やし方と違い、湿度を保って凍らせるため、粒の乾燥を避けたい魚卵の加工と相性が良い方式です。3Dフリーザーが向くのは、粒のプチプチとした食感と表面のツヤを守りたい現場です。原卵から切れ子・チューブまで加工度を上げても品質を保ちたい場合や、ギフト用と業務用で仕上がりのばらつきを出したくない場合にも適しています。
海千様の辛子明太子工場のHACCP対応と3Dフリーザー導入に関するよくある質問
食品安全の設計と辛子明太子の凍結品質を、同じ工場計画の中で両立させるためです。2010年、福岡県宗像市の海千様は、衛生管理が特に重要な辛子明太子の工場を新設するにあたり、パスボックスやX線異物検査装置で衛生を固めながら、製品の凍結工程に3Dフリーザーを組み込みました。衛生と品質のどちらかを後回しにせず、一つの設備計画でそろえた点が特徴です。
凍結の温度と時間を一定の条件で管理でき、その温度・時間の記録を衛生管理に用いながら、品質も安定させやすい点です。HACCPでは温度管理の記録が衛生管理の柱になるため、凍結工程を機械で管理すると条件がそろい、解凍後の食感や歩留まりのばらつきも抑えやすくなります。海千様も2010年竣工の新工場で、凍結工程に3Dフリーザーを据えて品質と安全性を両立させました。
魚卵は凍結が遅いと氷結晶が大きく育って粒の組織を傷め、食感やツヤが落ちるためです。3Dフリーザーは独自の高湿度3D冷気で氷結晶を微細で均一にとどめるため、解凍時のドリップや目減りを抑えられます。一般的なエアブラスト式の乾いた強い冷風と違って湿度を保つので、明太子の粒の乾燥や霜付きも避けやすくなります。
試せます。実際の辛子明太子や原卵で凍結テストを行い、解凍後の粒の食感・ツヤ・色、ドリップや目減り、1回あたりの処理量や中心温度の到達時間を確認できます。塩分や水分の多い魚卵は一般的な食品と凍り方が異なるため、自社の商品で確かめれば、その商品に合った機種と凍結条件を選べます。冷凍・冷却テスト・デモ相談をご利用ください。
解凍後の食感・見た目・歩留まりが売価に直結する食品を、衛生管理を保ったまま冷凍したい工場に向いています。辛子明太子や魚卵、水産加工品のように、ドリップや目減り、乾燥を抑えたい食品の新工場やライン更新と相性が良い設備です。扱う食品・処理量・販路が決まれば、衛生設計と凍結条件、機種選定を具体的に組み立てられます。
まとめ:食品安全と凍結品質を両立させるなら、HACCP設計に3Dフリーザーを組み込む
福岡県宗像市の辛子明太子メーカー・海千様は、HACCP対応の新工場にクリーンルームのパスボックスやX線異物検査装置による衛生設計と、3Dフリーザーによる凍結品質の設計を同時に組み込みました。原卵を戻す段階にも静電式スピード解凍機を据え、全国出荷と直売所販売の両輪で品質を届ける体制を整えたと、2010年の紙面は伝えています。
衛生管理が特に重要な食品の工場新設では、衛生設計と凍結品質を別々に考えないことが要点です。粒の食感と歩留まりが売価を決める魚卵では、独自の高湿度3D冷気で膜を壊さず凍らせ切る3Dフリーザーが、衛生設計と並ぶもう一つの柱になります。
機種選びは、検討の最初ではなく最後で構いません。扱う食品・衛生要件・処理量・狙う販路が分かれば、合う機種と凍結条件を絞り込み、衛生設計との取り合いまで具体化できます。実物で解凍後の粒感と色を確かめれば、機種と凍結条件を根拠を持って選べます。カタログ請求やテストのご相談は、以下からお問い合わせください。
