海千 辛子明太子の新鋭工場竣工

引用元:みなと新聞 2010年8月9日 掲載

品質重視の本物志向貫く

【福岡】海千(福岡県宗像市、井川栄治社長)は辛子明太子の専門メーカー。今年1月に輸送、集客など立地条件に恵まれる宗像市内の国道3号沿いに工場を移転・新設し、HACCP対応の最新鋭工場で良質の辛子明太子を製造する。全国各地の市場卸に出荷するとともに、直売所を設けて地域密着のファンづくりにも力を注いでいる。

海千は先代の萩尾孝充氏(終身名誉顧問)が1995年に設立し、萩尾氏の下で修業を積んできた井川栄治氏が2007年に後を継いだ。宗像市内の新工場と直売所竣工に併せ、北九州市八幡西区萩原に直売所「八幡店」もオープンした。井川社長は「辛子明太子は贈答品のイメージが強いが、日常の食卓でより多く食べていただくことが大切と感じている。直売所では常に来店された方に試食をしていただき、出来立ての辛子明太子のおいしさを伝えている。地域密着でファンを広げたい」と話す。

3Dフリーザーを採用

おいしさと品質を追求する井川社長のものづくりの姿勢は、新工場のハード・ソフトの細部に反映する。原卵解凍には静電式スピード解凍機を導入。電気エネルギーで食品の細胞のダメージを抑え、ドリップの流出を抑制。高品質で制菌力に優れた解凍ができる。製品凍結にはエアオペレーションテクノロジーズ㈱(山口県下関市)の3Dフリーザーを採用。「3D冷気で全体を包み込み細胞を壊さないように冷凍し、冷凍前と解凍後の品質の違いがほとんど判別できないほど高品質の凍結を実現。食べたときにとても感動し、絶対これだと思った」(井川社長)。製造ラインにはエックス線異物検査装置を完備する。

また、クリーンルーム内で物品を受け渡しする際、塵埃の最大の原因となる人の出入りを極力避けるため、パスボックスを導入。直売所に並ぶ商品はパスボックスを通じで工場から直接搬入される仕組みだ。作業場では無菌乾燥HACCP対応の殺菌除湿機を完備。迅速な室内乾燥を実現し、殺菌繁殖防止に大きな効果を発揮している。

同社は将来的にISO22000認証を取得する考え。主力商品は先代の味を引き継ぐレギュラー商品「選」をはじめ、昆布漬け、ゆず仕込み、ハバネロなどの辛子明太子をラインアップする。井川社長は30代半ばの若手経営者。品質重視の本物志向で、成熟期を迎えた辛子明太子業界に新たな風を起していく。

 

辛子明太子・昆布漬け
直売所では地元密着のファンづくりに取り組む
宗像市内の国道3号沿いに立地する本店(工場兼直売所)

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