引用元:みなと新聞 2010年5月10日 掲載
エアオペレーションテクノロジーズ(AOT)は、独自の「3Dフリーザー」を用いた実験で、これまで不可能とされてきた養殖ブリの冷凍保存に成功しました。
従来、養殖ブリは冷凍すると血合いが黒褐色に変色し、商品化が難しいとされていましたが、AOTはその常識を覆し、22日後の解凍でも色・食感・味をほぼ保持することを実証。
これは日本の魚介類輸出や冷凍技術の進化において、画期的な一歩となります。
血合いの黒化を克服した3D冷凍技術
AOTは2020年4月16日、独自の3D冷凍技術を活用し、養殖ブリの冷凍試験を実施しました。
真空包装したスキンレス・ロインを使用し、通常より低温のマイナス50℃で約40分間凍結。芯温がマイナス20℃以下に達するまで冷却しました。
この方法により、魚肉の酸化を抑え、血合い部分の黒化変色を防止することに成功しました。
22日間保存後も生鮮に近い品質を維持
凍結後の試料はマイナス35℃で22日間保存。その後、家庭用冷蔵庫(5〜10℃)で約17時間解凍し、室温(20℃前後)で1時間放置後に開封しました。
結果、ブリの切断面は血合い・白身ともに凍結前とほとんど変わらない色合いを維持。ドリップ(解凍液)もほぼなく、食感・風味ともに生鮮品と同等と評価されました。
試験に立ち会った専門家は「従来の冷凍技術では不可能だった品質保持を実現した」と高く評価しています。
輸出促進と冷凍技術の新たな可能性
養殖ブリは近年、中国・欧米市場を中心に需要が急増しています。
AOTの3D冷凍技術は、品質を損なわずに長期保存・長距離輸送を可能にすることで、国産養殖魚の輸出促進に大きく貢献する可能性があります。
AOTは今後も学識経験者と連携し、冷却・保存・解凍の最適化技術を深化させ、さらなる品質向上を目指すとしています。
3D冷凍による比較写真
3D冷凍を行い22日後に解凍した養殖ブリの切断面(写真上)は、血合い部分の変色がほとんど見られません。一方、従来のエアブラスト緩慢凍結では、血合いが黒褐色に変色していることが確認できます。
この差が、3D冷凍の精密な温度制御と立体的冷却の効果を明確に示しています。



