和食弁当の定番であり、高齢者施設などでも人気の「魚の煮付け・おろし煮」。しかし、これを冷凍で美味しく提供するのは至難の業です。 最大の壁は「大根おろし」です。「解凍したら、大根おろしから大量の水が出て、タレが薄まってしまった」「魚の衣がふやけて、ドロドロに剥がれてしまった」。 大根は水分の塊であるため、緩慢凍結で細胞が壊れると保水力を失い、ただの「水」になってしまうのです。また、デリケートなカレイの身はパサつきやすく、レンコンなどの根菜は筋っぽくなりがちです。
今回は、たっぷりの大根おろしがかかったカレイの唐揚げと、食感の再現が難しいレンコンの煮物が入ったお弁当を使用し、和食ならではの繊細な風味を守れるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、調理後に放冷し、常温(20℃)まで下げた状態からのスタートです。
- サンプル名:カレイのおろし煮弁当(副菜:レンコンと野菜の煮物、トマトマカロニ、青菜のお浸し)
- 投入温度:20℃(※常温)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:29分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

常温から30分を切る「29分」で凍結完了。水分の多い「おろし煮」において、このスピードが品質の明暗を分けます。
1. 大根おろしの「ふわっと感」を残し、水戻りを防ぐ
「おろし煮」の主役である大根おろしは、通常の冷凍では繊維と水分が分離し、解凍時にシャバシャバの水浸し状態になります。これではタレの味も薄まり、見た目も悪くなります。 29分で一気に凍結させることで、大根の細胞内に水分を留めたまま固定します。レンジアップ後も、大根おろしの繊維感と「ふわっ」とした口当たりが残り、タレとしっかり絡んだ状態をキープできます。
2. 繊細なカレイの身を「ふっくら」守り、衣剥がれなし
カレイなどの白身魚は、冷凍焼けを起こすと身がスポンジのようにスカスカになりがちです。また、長時間水分に触れていると、揚げた衣がふやけて剥がれ落ちてしまいます。 短時間で表面をガードするように凍らせるため、衣は剥がれず、中の身はふっくらとしたままです。お箸ですっと切れる柔らかさと、魚本来の旨味を楽しんでいただけます。
3. レンコンの「シャキシャキ」食感を再現
今回のお弁当の副菜には、冷凍食品の鬼門とも言える「レンコン(根菜)」が入っています。レンコンは組織が強いため、ゆっくり凍ると「す」が入り、解凍後にフニャフニャと筋っぽい食感になってしまいます。 3Dフリーザーの高湿度の包み込む3D冷気は、根菜類の繊維も傷つけません。噛んだ瞬間のレンコン特有の「シャキッ」とした歯応えや、マカロニのプリッとした弾力を、そのまま食卓へ届けることができます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
和食のお弁当は、出汁の量や食材の切り方ひとつで仕上がりが変わります。
- あんかけの濃度:とろみの強い餡か、サラサラのお出汁か。
- 根菜のカット:乱切りか、薄切りか(厚みがあるほど食感維持が難しい)。
- 魚の種類:カレイ、タラ、サバなど、魚種による脂の量の違い。
「汁気の多い煮物でも、味が混ざらないか?」「解凍後に魚が硬くならないか?」 デモテストでは、貴社のレシピで作られたお弁当を実際に凍結し、もっとも美味しく、かつ見た目も美しいまま提供できる条件を検証いたします。
まとめ
今回のカレイのおろし煮弁当のテストでは、「20℃から29分」で処理することで、大根おろしの保水性と根菜の食感、そして魚のふっくら感をすべて維持できることが実証されました。
「手作りのような優しい味の和食弁当を届けたい」「病院や介護施設向けに、食べやすい魚料理を冷凍ストックしたい」とお考えの食品メーカー様、給食事業者様。 素材そのものの食感がごまかせない「和食」こそ、3Dフリーザーの技術力で差がつきます。ぜひ一度、その再現性をお試しください。
