日本の水産物輸出においても、圧倒的な人気を誇る「ホタテ(帆立貝柱)」。 世界中で需要が高まる一方で、加工現場では「冷凍品質」が常に課題となっています。 「解凍すると大量のドリップが出て、貝柱が一回り小さくなってしまう」「生特有のプリッとした繊維感がなくなり、グズグズ(またはゴム状)の食感になる」。 ホタテは水分量が非常に多く、細胞組織が繊細なため、緩慢凍結で細胞が破壊されると、命である「甘み(グリコーゲン)」が水分と共に流れ出てしまいます。
今回は、冷蔵庫でしっかり冷やし込んだ5℃の状態から、45分で中心まで急速凍結を行い、獲れたてのような「甘み」と「食感」を維持できるか検証しました。
Contents
テスト条件と結果

今回は、剥き身にして洗浄・冷却を行い、芯温5℃まで落ち着かせた状態(チルド)からのスタートです。
- サンプル名:ホタテ貝柱(生食用)
- 投入温度:5℃(※冷蔵・チルド)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:45分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

5℃から45分で凍結完了。水分の塊であるホタテにおいて、このスピードが「刺身品質」を守る絶対条件です。
1. 命である「ドリップ(甘み)」を逃さず、歩留まりを向上
ホタテの美味しさの正体は、豊富な「グリコーゲン(甘み成分)」です。しかし、通常の冷凍で細胞膜が破れると、解凍時にこの成分を含んだ水分(ドリップ)が大量に流出します。これは味の低下だけでなく、重量が減ることによる「歩留まりの悪化(利益減)」に直結します。 45分で一気に細胞内の水分を凍結固定することで、細胞破壊を最小限に抑えます。解凍してもドリップがほとんど出ないため、濃厚な甘みが残り、重量ロスも防ぐことができます。
2. 繊維が裂ける「割れ」を防ぎ、美しい見た目をキープ
急速冷凍機に入れても、風が強すぎると貝柱の表面が乾燥して「ひび割れ」が発生したり、色が黄色く変色(冷凍焼け)したりします。最高級のホタテも、見た目が悪ければB級品扱いです。 3Dフリーザーの高湿度冷気は、貝柱を優しく包み込んで凍らせるため、乾燥による割れを起こしません。解凍後は、生ホタテ特有の乳白色で艶やかな光沢が蘇り、高級寿司ネタとしてそのまま提供できる美しさを保ちます。
3. 「繊維感」を残し、ねっとり・プリプリの食感を再現
冷凍ホタテの失敗例として多いのが、解凍後に繊維が壊れてスポンジのようにスカスカになったり、逆に水分が抜けてゴムのように硬くなったりすることです。 今回のテストでは、ホタテ特有の縦に走る繊維構造を守ったまま凍結しています。口に入れた瞬間の「ねっとり」とした舌触りと、噛んだ時の「プリッ」と繊維がほぐれる食感は、まさに獲れたてそのものです。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
ホタテは、その加工形態やサイズによって最適な凍結フローが変わります。
- サイズ規格:2Sサイズか、肉厚な4Lサイズか(厚みによる時間の差)。
- 加工状態:生(刺身用)か、ボイル(加熱用)か。
- 殻の有無:貝柱のみか、片貝(殻付き)か。
「特大サイズでも中心まで白くならずに凍るか?」「解凍方法は流水か、冷蔵庫か?」 デモテストでは、貴社が扱う実際のホタテを使用して凍結を行い、解凍後の「ドリップの量」や「甘みの強さ」を実際に食べて厳しくチェックしていただけます。
まとめ
今回のホタテのテストでは、「5℃から45分」で処理することで、ドリップによる重量ロスを防ぎ、刺身グレードの甘みと食感を完璧に維持できることが実証されました。
「北海道・青森のブランドホタテを、最高品質で海外へ輸出したい」「旬の時期に加工して、相場が安定するまで高品質ストックしたい」とお考えの水産加工業者様、商社様。 世界で戦える「日本のホタテ」の品質こそ、3Dフリーザーの技術力で支えます。ぜひ一度、その違いをお試しください。
