おでん、お弁当、磯辺揚げなど、日本の食卓に欠かせない「ちくわ」。 しかし、練り物メーカー様や食品工場様にとって、ちくわの冷凍は非常に頭の痛い問題です。 最大の課題は、解凍した時に「『す』が入ってしまい、食感がボソボソのスポンジ状になる」こと。 「冷凍ちくわを使ったら、ゴムのように硬くて味がしなかった」「皮がシワシワになってしまい、見た目が悪い」。 これは、凍結スピードが遅いために氷の結晶が大きくなり、すり身の命である「タンパク質の網目構造(足)」を破壊してしまうことが原因です。
今回は、製造後に冷却された14.4℃の状態から、わずか20分強で急速凍結を行い、作りたての弾力を維持できるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、焼成後に粗熱を取り、14.4℃(※少し冷えた状態)まで落ち着かせた状態からのスタートです。
- サンプル名:ちくわ(焼きちくわ・包装なし)
- 投入温度:14.4℃
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:21分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

14.4℃から21分で凍結完了。水分と空気を含むデリケートな練り物において、このスピードが品質保持の要となります。
1. 氷の結晶を極小に抑え、スポンジ化(す)を防ぐ
ちくわの中に気泡や水分が多く含まれるため、緩慢凍結すると氷の結晶が巨大化し、身を内側から突き破ってしまいます。これが解凍後の「スカスカ(スポンジ状態)」の正体です。 今回のテストでは、21分というハイスピードで凍結することで、氷の結晶を微細なまま留めました。細胞破壊が起きないため、解凍後も「プリッ」とした弾力と、滑らかな舌触りがそのまま残ります。
2. 皮の「シワ」を防ぎ、ハリのある見た目をキープ
冷凍ちくわのもう一つの悩みは、乾燥による「皮の劣化」です。風を当てすぎて乾燥すると、表面の焼き皮がシワシワに縮んでしまい、商品価値が下がります。 3Dフリーザーの高湿度冷気は、食材の水分を奪わずに優しく包み込んで凍結させます。解凍後も皮に「ハリ」があり、焼きたてのようなふっくらとした見た目を再現できます。
3. ドリップを出さず、旨味を逃がさない
「す」が入ったちくわは、解凍すると保水力を失い、噛んだ瞬間に水(ドリップ)が出てしまいます。これでは魚の旨味が抜けてしまい、味気ないものになります。 すり身の組織を守ったまま凍結するため、水分と旨味が繊維の中にしっかり保持されます。煮物にしても出汁を吸いやすく、また揚げ物にしても衣が剥がれにくい、高品質なちくわとして提供できます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
練り物は、原材料や厚みによって「す」の入りやすさが異なります。
- でんぷんの量:つなぎの澱粉が多いか、魚肉100%に近いか。
- 厚みとサイズ:薄い竹輪か、肉厚のぼたん焼きちくわか。
- 包装形態:バラ凍結(IQF)か、真空パック詰めか。
「真空パックした状態でも、弾力が残るか?」「自然解凍でそのまま食べられるか?」 デモテストでは、貴社の製品を実際に凍結し、解凍後の断面(きめ細かさ)や、歯応え(足の強さ)を厳密にチェックしていただけます。
まとめ
今回のちくわのテストでは、「14.4℃から21分」で処理することで、練り物特有の「す」の発生を防ぎ、プリプリの食感と美しい見た目を両立できることが実証されました。
「冷凍でも、生のような食感のちくわを届けたい」「おでんセットの日持ちを長くさせたい」とお考えの水産加工メーカー様、惣菜製造業者様。 誤魔化しの利かない「食感」こそ、3Dフリーザーの技術力で守れます。ぜひ一度、その違いをお試しください。
