テイクアウトや宅配弁当、給食事業において、「お弁当の冷凍販売」は大きなチャンスです。しかし、そこには「おかずごとの冷凍適性の違い」という高いハードルが存在します。 「メインの揚げ物はベチャベチャ、副菜の野菜は筋っぽくて水っぽい…」「煮汁が他のおかずに移ってしまい、味が混ざっている」。これでは、せっかくの手作り弁当も台無しです。
今回は、衣の食感が命である「チキンカツ煮」と、水分が多く冷凍が難しい「茄子」や「青菜」などの副菜が入ったお弁当を使用し、まるごと一食分の品質を維持できるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、盛り付け後に放冷を行い、芯まで常温(20℃)に落ち着いた状態からのスタートです。
- サンプル名:チキンカツ煮弁当(副菜:茄子の味噌だれ、青菜煮浸し、キノコ炒めなど)
- 投入温度:20℃(※常温・放冷後)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:20分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

弁当箱ごとわずか「20分」で凍結完了。この圧倒的なスピードが、複合的な食材を持つお弁当の課題を解決します。
1. 「カツ煮」の衣が溶けない!出汁を含んでも食感をキープ
今回のメインは「チキンカツ煮」。出汁やタレが染み込んだ衣は、通常の冷凍では水分過多でドロドロに溶けたり、剥がれ落ちたりしてしまいます(衣のパンク)。 20分という超・急速凍結なら、衣が水分を吸いすぎてふやける前に、その形状のまま凍結させることができます。解凍後も、出汁のジューシーさと、揚げ物特有のコクや衣の存在感がしっかり残ります。「煮カツなのに、ベチャッとしていない」プロの仕上がりです。
2. 茄子は鮮やか、青菜はシャキシャキ。副菜の「彩り」を守る
お弁当の蓋を開けた瞬間、消費者ががっかりするのは「変色した野菜」を見た時です。特に今回の副菜にある「茄子(ナス)」は冷凍で黒ずみやすく、「青菜」は繊維が壊れて筋っぽくなりやすい難敵です。 3Dフリーザーは、氷の結晶を極小に抑えるため、野菜の細胞壁を破壊しません。茄子の鮮やかな紫色はそのままに、青菜やキノコからもドリップ(離水)が出ないため、作りたてのみずみずしさと食感が維持されます。
3. 「味移り」なし!お弁当箱の中の境界線を守る
ゆっくり凍らせると、凍るまでの間に食材から水分が染み出し、隣のおかずに流れて味が混ざってしまいます。カツ煮のタレが副菜に侵入したり、野菜の水分でカツの底が濡れたりするのは避けたい現象です。 「20分」でカツも副菜も一気に凍結させることで、それぞれの水分と旨味をその場にロックします。仕切りを超えて味が混ざることがないため、一つひとつのおかずの味をクリアに楽しんでいただけます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
お弁当は、その構成要素によって冷凍の難易度が大きく変わります。
- 容器の材質:プラスチックか、紙製か。蓋をしたまま凍らせるか。
- 盛り付けの密度:ぎっしり詰めるタイプか、空間に余裕があるタイプか。
- ソースの粘度:とろみのある餡かけか、サラサラしたお出汁か。
「蓋をした状態で、20分で本当に中心まで凍るのか?」「ご飯とおかずをセットにした時のレンジ時間は?」 デモテストでは、貴社の実際のお弁当容器とメニュー構成で凍結を行い、解凍ムラのない最適な条件や、消費者が家庭で解凍する際のベストな温め時間まで検証いたします。
まとめ
今回のチキンカツ煮弁当のテストでは、「20℃から20分」で処理することで、揚げ物の衣、野菜の色味、そして全体の味の独立性を完璧に守れることが実証されました。
「冷凍弁当のラインナップを増やしたいが、品質に納得がいかない」「廃棄ロスを減らすために、日替わり弁当を冷凍ストックしたい」とお考えの給食センター様、飲食事業者様。 おかずの種類が多いお弁当こそ、3Dフリーザーの技術力がもっとも発揮される分野です。ぜひ一度、その「彩り」と「食感」の違いをお試しください。
