鍋物、シチュー、バター焼きと、家庭での使い勝手が抜群な「ボイルホタテ」。 スーパーや通販で定番の商品ですが、パック詰めして冷凍販売する際、メーカー様を悩ませるのが「パッケージ内の霜」と「身の縮み」です。 「冷凍ケースに並べると、パックの内側に霜がびっしり付いて、中身が古く見える」「解凍して加熱調理したら、水分が抜けて豆粒のように小さくなってしまった」。 これは、凍結スピードが遅いために、ホタテから蒸発した水分が袋の内側で氷(霜)になったり、細胞破壊によって保水力が失われたりすることが原因です。
今回は、ボイル加工後に冷蔵温度(10℃)まで冷やし、パック詰めされた状態のホタテを使用し、見た目の美しさと食べた時の満足感を維持できるか検証しました。
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テスト条件と結果

今回は、ボイル後に冷却し、パック包装まで完了した10℃の状態からのスタートです。
- サンプル名:ボイルホタテ(パック詰め・包装済み)
- 投入温度:10℃(※冷蔵・チルド)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:60分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

パック包装の状態で60分で凍結完了。断熱性のあるフィルム越しでも、この時間で芯まで凍らせるパワーが、商品の「見た目」と「食感」を大きく変えます。
1. パック内の「霜(冷凍焼け)」を防ぎ、売り場での見栄えを向上
消費者様が冷凍食品を手に取る際、一番気にするのが「袋の中に氷(霜)が付いていないか」です。霜が多いと「古そう」「一度溶けたのでは?」と敬遠されてしまいます。 これは、凍結中にホタテ表面から水分が蒸発し、フィルムの内側で再結晶化するために起こります。 60分でパックごと急速に冷やし込むことで、水分の蒸発を最小限に抑えます。クリアなフィルム越しに、プリッとしたホタテの肌がきれいに見えるため、売り場での商品力が格段に上がります。
2. 加熱しても「縮まない」!ボイルのふっくら感を維持
ボイルホタテの不満点として多いのが、料理に使った時の「身の縮み」です。緩慢凍結でスポンジ状になったホタテは、再加熱すると水分が一気に抜け出し、カスカスに小さくなってしまいます。 細胞内の水分をガッチリ固定してから出荷するため、ご家庭で鍋やフライパンに入れても水分流出(ドリップ)が起きません。ボイルしたての「ふっくら」としたサイズ感を保ち、食べた時の満足感を損ないません。
3. 繊維っぽさを残さず、やわらかい食感に
ボイル済みの貝類は、冷凍すると繊維が硬くなり、ゴムのような食感になりがちです。特に貝柱の繊維が強いホタテは顕著です。 3Dフリーザーの包み込む冷気は、パックの外側から均一に熱を奪います。加熱で凝固したタンパク質を優しく凍らせるため、解凍後も歯切れが良く、高齢の方でも噛み切りやすい「やわらかさ」を実現できます。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
パック詰め商品は、その「空気の層」や「並べ方」によって凍結効率が変わります。
- 包装形態:密着した真空パックか、空気が入ったトレー包装か(空気は断熱材になります)。
- 入り数:重なり合わない平詰めか、ゴロゴロ入ったバラ詰めか。
- サイズ:ベビーホタテか、大粒の2Lサイズか。
「トレー包装の空気層があっても、裏側までしっかり凍るか?」「ドリップシートは必要か?」 デモテストでは、貴社の実際のパッケージ形態で凍結を行い、もっとも霜がつかず、かつ効率的に生産できる条件(並べ方や風量設定)をご提案します。
まとめ
今回のボイルホタテ(パック)のテストでは、「10℃から60分」で処理することで、パッケージ内の霜付きを防ぎ、加熱しても縮まない高品質な製品作りが可能であることが実証されました。
「通販で届いた時に、霜だらけでガッカリされたくない」「特大ボイルホタテのボリューム感をそのまま届けたい」とお考えの水産加工業者様、食品メーカー様。 包装済み商品の課題である「霜」と「縮み」こそ、3Dフリーザーの技術力で解決できます。ぜひ一度、その違いをお試しください。
