【2025年版】ブラストチラーとは?選び方・導入メリット・HACCP対応まで完全ガイド


結論:ブラストチラーは、調理後の食品を短時間で狙いの温度まで冷却・凍結し、衛生と品質の両立を実現する中核機器です。本ガイドでは「仕組み」「選び方」「HACCP対応」「導入手順」まで、プロの視点で体系的に解説します。

ブラストチラーとは?

ブラストチラー(Blast Chiller)は、強い送風と低温制御で食品温度を一気に下げる機器です。一般的な冷蔵庫に比べて冷却が段違いに速く、菌が増えやすい危険温度帯(約10〜60℃)を短時間で通過できるため、衛生・品質・作業効率を同時に高められます。類似語として「急速冷却器」「ブラストフリーザー(急速凍結)」があります。

導入メリット

  • 食品安全性の向上:危険温度帯の滞在時間を短縮。HACCPの冷却工程管理が容易に。
  • 品質保持:細胞破壊とドリップを抑え、解凍後の食感・旨みをキープ。
  • 効率UP:冷却待ちを圧縮。ピーク時の仕込みや大量調理のリードタイムを短縮。
  • メニュー拡張:製菓・製パンの温度管理が安定し、再現性の高い開発が可能に。
  • 廃棄削減・利益改善:日持ち向上でロスを減らし、販売機会を最大化。

仕組み

ポイントは強制対流(パワフル送風)×低温制御。食品表面から熱を効率良く奪い、中心温度の降下を加速します。最新機種はプローブ(芯温センサー)対応や、急速冷却/急速凍結の自動切替モード、ステップ制御などを備え、多様な食材に最適化できます。

失敗しない選び方

  1. 容量を決める:一度に冷やす量・トレー枚数・ピークの仕込み量を把握。
  2. モードと冷却速度:急速冷却(例:+3℃まで30〜60分)/急速凍結(例:-18℃まで60〜120分)の搭載とプリセット数。
  3. 設置と電源:設置スペース(前後左右の放熱/清掃動線)と電源容量(単相/三相・ブレーカー余裕)を確認。
  4. 清掃メンテ:庫内が洗いやすいか(棚・トレイの脱着、ステンレス内装、排水)とフィルター清掃性。
  5. サポート体制:保守・部品供給・全国対応・初期レクチャーの有無を確認。

用途別の容量目安

用途/規模おすすめ容量の目安想定トレー枚数コメント
小規模カフェ/個人店20〜30Lクラス3〜5枚日々の仕込みを安定化。まずは最小構成で。
レストラン/ベーカリー50〜100Lクラス6〜12枚冷却と凍結を併用し、ピークの待ちを削減。
大量調理/給食/セントラル100L以上/ラックタイプ15枚以上カートインや多段で一気に処理。省人・標準化に寄与。

運用のコツ

  • 下処理と小分け:油分が多い/塊肉は薄く・小分けで表面積を増やす。
  • タイミング:調理後すぐ投入。粗熱待ちでの常温放置は厳禁。
  • 包装と保管:目標温度到達後は、適切に包装して冷蔵/冷凍へ速やかに移送。
  • 記録:芯温・経過時間を記録し、HACCPのエビデンス化。
  • 定期メンテ:フィルター清掃・庫内消毒・排水確認で性能維持。

よくある失敗と回避策

  • 容量不足:ピーク量を見誤ると回転が滞留。→最繁忙日の仕込み量を基準化。
  • 電源/ブレーカー不足:起動電流を見落としがち。→電気工事会社と事前に負荷計算。
  • 放熱/清掃動線不足:壁ピッタリ設置や通路狭小はNG。→四周のクリアランス確保。
  • 運用記録なし:感覚運用は再現性が落ちる。→温度/時間の標準値とチェック表を整備。

導入手順

  1. 現場のピーク処理量・トレー規格を把握(記録ベース)。
  2. 必要容量・モード・設置寸法・電源条件を要件化。
  3. 図面(放熱・清掃動線)と電気負荷の事前確認。
  4. テスト冷却(可能なら)で狙い品質の再現性を確認。
  5. 納品時の操作・衛生・安全教育を実施、SOP化。
  6. HACCPの冷却工程記録フォーマットを運用開始。

FAQ

Q1. 冷蔵庫・冷凍庫との違いは?

A. 冷却速度と温度降下の設計が異なります。ブラストチラーは短時間で中心温度を落とすことに特化し、衛生と品質に直結します。

Q2. ブラストチラーとブラストフリーザーの違いは?

A. 前者は主に急速冷却(+3℃付近)、後者は急速凍結(-18℃以下)が主眼。兼用機もあります。

Q3. 小型機でも導入効果はある?

A. はい。仕込みのボトルネック(冷却待ち)を解消できれば、小型でも十分な費用対効果が見込めます。

Q4. 電気代が心配です。

A. 起動負荷はありますが、冷却待ちの短縮・歩留まり向上・販売機会拡大で総合的な利益はプラスになるケースが大半です。省エネ機種も増えています。

Q5. メンテナンスは面倒?

A. ルーティンは「フィルター清掃・庫内拭き上げ・排水確認」。週次/月次の点検を簡単なチェック表で回せばOKです。


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