あさりを冷凍すると、低温ストレスによって細胞内のグルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分が増えると言われています。しかし、ゆっくり凍らせすぎると、細胞が壊れて解凍時に旨味エキス(ドリップ)が流れ出してしまい、調理した時には身が痩せてスカスカになってしまいます。
「旨味は増やしたいが、身は縮ませたくない」。 今回は、この矛盾する課題を解決するため、13℃から15分というスピード凍結を行いました。
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テスト条件と結果

- サンプル名:あさり(殻付き・生・砂抜き済み)
- 投入温度:13℃(※砂抜き水温・洗浄後)
- 取出温度:-18℃(中心温度)
- 凍結時間:15分
この結果から分かる「3Dフリーザー」3つのメリット

13℃から15分。 殻付きの貝類としては異例の速さです。このスピードが、あさりの商品価値をどう変えるのでしょうか。
1. 加熱しても「身が縮まない」プックリ食感
冷凍あさりの一番の不満点は、お味噌汁や酒蒸しにした時に、身がキュッと縮んで硬くなってしまうことです。 これは、凍結時に細胞が破壊され、保水力がなくなっている証拠です。
今回の「15分」という急速凍結なら、細胞を壊さずに水分をキープしたまま凍結できます。 加熱した時、殻が開くと同時にふっくらとした身が現れ、食べた時のプチュッとしたジューシーな食感が楽しめます。「冷凍=身が小さい」という常識を覆す仕上がりです。
2. 貝類特有の「生臭さ」をシャットアウト
あさりは鮮度が落ちるのが非常に早く、少しでも処理が遅れると嫌な生臭さが発生します。 冷凍に時間がかかると、その間に微量ながら鮮度劣化が進み、解凍・加熱時に臭いが立ってしまうことがあります。
13℃から一気に冷やし込むことで、劣化の原因となる酵素の働きや菌の活動を瞬時に停止させます。 解凍後は、磯の良い香りだけが残り、臭み消しの酒や生姜を大量に使わなくても美味しく食べられます。
3. 「砂抜き→即冷凍」で、最高鮮度をストック
あさりの砂抜きは、通常15℃〜20℃程度の塩水で行われます。その後、洗浄してすぐに冷凍ラインへ流せるのが理想です。
13℃(洗浄後の水温)からダイレクトに投入できるため、「砂を吐かせた一番きれいな状態」ですぐに商品化できます。 旬の時期(春先など)に大量に加工してストックしておけば、身入りが良く旨味の強いあさりを、年間通じて安定供給することが可能になります。
なぜ「デモテスト」が必要なのか?
あさりは、産地や加工形態によって条件が変わります。
- サイズ:味噌汁用の小粒か、酒蒸し用の大粒か。
- 状態:殻付きか、ボイル剥き身か。
- 包装:真空パックか、バラ凍結(IQF)か。
「真空パックの中で殻が割れないか?」「剥き身の場合のドリップ量は?」 デモテストでは、貴社の商品形態に合わせて凍結し、「加熱後の殻の開き具合」や「身のふっくら感」を実食してご確認いただけます。
まとめ
今回のあさりのテストでは、「13℃から15分で急速凍結」することで、身縮みと臭みを防ぎ、旨味たっぷりのプックリとした食感を維持できることが実証されました。
「スーパーの鮮魚コーナーで、高品質な冷凍あさりを販売したい」「飲食店のランチメニューで、ロスなくあさりを使いたい」とお考えの水産加工業者様、卸業者様。 旨味と食感を両立させる技術を、ぜひ3Dフリーザーで体感してください。
